Canon TS-E90mm F2.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シフトレンズはティルトやスイングといったアオリ機能によってレンズを傾け、斜めに対面している面にもピントを合わせることができます。TS-E90mm F2.8は、パースがつかない焦点距離なのでブツ撮りに便利で、絞り込まずにピント面等の調整を行うこともできます。フィールドワークに繰り出す際は、絞らずに遠景から前景までを被写界深度内に収めることができたり、ピントが欲しい部分のみにピント面を持ってきたりすることができるため、なにかと重宝します。これとは逆に極端にピントを薄くして、ボケの大きさをコントロールした印象的な写真に仕上げたり、今流行のジオラマ風の写真に仕立てることもできます。スナップで使用すると、切り取り感の強い撮影が可能であり、90mmという焦点距離からポートレート等にも活用できます。つらつらと述べましたが、もうとにかく表現の幅が広いレンズですので、まず手にとっていろいろと遊んでみるのがいいでしょう。

( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )

（下から上へあおってマグカップ前面全体を被写界深度内へ）特殊なレンズは組み込まれていませんが、絞り開放からでもクリアな描写です。カップ前面や木の質感もしっかりと再現。ナチュラルなボケ味が空気感を漂わせています。

（上から下へあおって手前から奥まで全て被写界深度内へ）高い視点から見下ろした格好となり、ヨットのボリューム感が出たことで奥行き感がさらにアップ。ぐっと絞り込めばこのとおり、隅々までシャープに描き出すのもお手のものです。

（下から上へあおってピント面を極端に薄く）立ちはだかるビルもシフトレンズのマジックにかかれば、かわいらしいジオラマ風に。

（下から上へあおってピント面を極端に薄く）辺りが暗くなりだした浜辺にて。満潮に向かうにつれて海水は砂地を徐々に浸食。わずかなピント面での艶感を境にして、前後に広がっていくボケで景色の抽象化が進んでいます。ただならぬ気配がありますね。