Canon EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

EOS Mシリーズ用のマクロレンズ「EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM」は、鏡筒の先端に2灯のLEDライトを備えているという大変ユニークな一本です。通常撮影から等倍のマクロ撮影も可能な「標準モード」と、マクロ撮影に特化した「スーパーマクロモード」のいずれかの撮影モードが選択できます。スーパーマクロモード選択時の影倍率はなんと1.2倍まで対応。これだけの倍率になるとやはり欠かせないのが手ブレ補正機構でしょう。本レンズには、カメラを軸としてレンズが動く"角度ブレ"に加え、カメラとレンズが被写体に対して平行方向に動いてしまう"シフトブレ"を同時に補正する、光学式の「ハイブリッドIS」を搭載しています。おかげで神経を使う等倍撮影でもシャッターボタンを半押しすれば、手ブレの影響はスポイルされてファインダーの像はピタッと静止。三脚等の使用が難しいシチュエーションでも、手持ちでグイグイ被写体に迫って行くことができるとあって、頼もしいことこの上なしという印象です。もちろん、マクロレンズだからといって接近戦だけが能ではありません。フルサイズ換算約45mm相当の画角になるので、単焦点の標準レンズとしてスナップ撮影になどにもぜひ活用したいところです。

( Photography : EYTZ.T / Text : KIMURAX )

こちらは「標準モード」での撮影です。等倍撮影もできるとあって猛烈に寄れるので、テーブルの上をちょっと撮りたいなという時にも重宝します。フォーカスしたのは、東南アジアの川や海沿いに自生するケレベラの種。乾燥した樹皮のような質感もよく捉えられており、前後のボケ味も良好ですね。

「スーパーマクロモード」での撮影可能距離は11〜9.3cmに限定され、撮影倍率は0.7〜1.2倍となります。ちょっとでも油断したら被写体にレンズがぶつかってしまいそうなくらいまで接近することができます。
では突然ですが、ここでクイズです（笑）。こちらのカットは何を撮影したものでしょうか！？ 答えは後ほど！！

またまた何なのかよくわからないものが写っていますね。こちらはフィラメント電球を撮ったものです。肉眼では到底見ることのできない世界。これはもう面白いの一言に尽きます。いろんな被写体に「スーパーマクロモード」でグイグイ迫ってみてはいかがでしょうか。

「標準モード」でのマクロ撮影。こういった被写体はまさに本領発揮というところでしょう。ピントピークは艶感たっぷりリアルに描きながら、ボケ味も美しいですね。鼻を近づけてククンしている距離感？いや、もっと近づいた感じでしょうか？

冒頭でもお伝えしましたが「ハイブリッドIS」のおかげで、手ブレの心配はまったくといっていいほどに無いです。手持ちでサクッとマクロ撮影ができちゃうのですから、被写体探しがますます楽しくなるというものです。

標準よりもちょっぴり広めな45mm相当の画角。狙った場所での一瞬を切り取ってみました。レンズの重さはたったの130gですから、軽快に撮影ができます。強力な手ブレ補正もあることですし、流し撮りに挑戦してみるものいいでしょう。

EOS M5のチルト式液晶モニターを活用。視点はさらに広がります。

マクロレンズだからといって、いつも被写体に寄ってばかりでなくてもいいのです。風景撮影にも便利な画角ですからね。いかがでしょうか、ボディ側の力を差し引いて考えても、なかなか良好な階調表現だと思います。やはり絞り開放では周辺光量落ちが顕著ですが、もし気になるようでしたらカメラ側での自動補正も可能。この被写界深度を活かしながら四隅がスッキリとした画に仕立てられます。

絞り開放からこの解像感です。拡大して細かく見ていけば色収差も見られるのですが、通常の鑑賞サイズであれば差ほど気になるようなレベルではありません。フリンジが出易い被写体ながらよく抑えられていると思います。

ショーケースのガラス越しですが、こんがりと焼きあがったパンの質感がちゃんと伝わってきます。

ハイライト部分に露出を合わせて撮影しているため、さすがにシャドー部は潰れていますが、なかなかよく粘っていますね。輝度差の大きいシーンながら、安定した色調で再現してくれました。

それなりに距離があってもビシッとシャープ。絞り開放ですよこれ、侮れませんね。キレ味鋭い標準レンズとしてもぜひ活用してください。

ハイ、お待たせいたしました。先ほどのクイズの答えは、こちらのランプでした～。オイオイ、こんなのわかるはすないだろ！というツッコミも聞こえてきそうですが、どうかご容赦を。兎にも角にも被写体にたっぷり寄れる、実に楽しいレンズなのであります。

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一般的にマクロレンズというと、ドーンと存在感のある躯体をイメージしてしまうものですが、本レンズは非常にコンパクトな設計で取り回しが大変楽でした。最大径×長さは、60.9mm×45.5mm（収納時）。重さは、たったの130g。そこにLEDライトや手ブレ補正機構まで積んでいるというのですから、これまたびっくりなわけです（笑）。随分軽いからといって写りもそこそこ、な～んて妥協は一切なしの手堅い描写を見せてくれることは、もうすでにお解かりいただけたことと思います。肉眼では到底及ばない、小さな世界を炙り出す表現力はまさにこれぞマクロという醍醐味。はたまた、切れ味のいい標準レンズとして使用すれば、強力な手ブレ補正を味方に付けたスナップシューターとしても大いに活躍。まさに、これ一本で二度美味しいレンズなのであります。そしてなんといっても価格的にも大変リーズナブル。マクロ好きな方だけに限らず、多くの方に手放しでお勧めできる一本ですので、ぜひ手にとってみてください。

( 2017.07.04 )