PHOTO YODOBASHI

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SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary

単焦点、ズーム問わず、意欲的なレンズを続々と世に放つシグマから、軽い・小さい・スリムと三拍子そろった「SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN|Contemporary」の登場です。設計自体は、先行してリリースされていた「SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art」(レンズ構成15群19枚)の最新の光学系をベースにしつつ28mmスタートに。レンズ構成12群16枚のうち、FLDガラス2枚、SLDガラス2枚、非球面レンズ3枚といった特殊硝材を組み込むことで、カメラ側では対応しきれない軸上色収差やサジタルコマ収差を抑えているそうです。また、絞り羽根には9枚の円形絞りを使っているとあって、ズームレンズながらボケの柔らかさにも大いに期待が持てます。今回お届けするレビューはLマウント用ですので、身軽なSIGMA fpにマウントして旅行に持ち出し、後半では趣味性の高いスナップを楽しむべくLEICA SLにて試写してきました。それでは、ご覧いただきましょう。

( Photography : TA / Text : KIMURAX )

SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

本レンズを手にして、まず驚いたのがその軽さ。そしてファインダーを覗くと、その瞬間に素性の良さを感じました。こちらはワイド端28mmで撮影したカット。ともすれば画がフラットになりがちな時間帯での撮影でしたが、奥行きが感じられ、そのうえ細部まで描き切られているのがわかります。「SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art」と本レンズの相違点はワイド側の焦点距離。4mmの違いがありますが、景色を広々と写し込むのに不足感を感じることはさほどなく、むしろ描写力という点においては、28mmスタートがアドバンテージになっているように思います。

SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

本レンズは、ボディ内レンズ補正を効果的に利用することで、コンパクトネスと高い描写性能を実現しています。fpにマウントさせると歪曲収差補正は自動的にオンになりますが、他の全ての補正機能もオンにして全カット撮影しました。周辺の光量落ちは、絞り開放での撮影もご覧の通り気にならない程度。光はかなり拡散された環境下でしたが、色乗り、そしてコントラストも申し分のない写りです。


SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

微妙な光の変化をすくい上げ、窓の向こう側の世界と屋内の柔らかい雰囲気が描かれています。想像をかきたてられるような表現力も持ち合わせているので、どんなものにもレンズを向けてみたくなります。

SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

焦点距離を50mmにセットし、最短撮影距離付近で。表面がカリッと焼かれたパンの匂いが漂ってきそうです。最短撮影距離はワイド側で19cm、テレ側で38cmと撮影の自由度が高く、表現の幅を広げてくれます。コンパクトで取り回しの良いF2.8通しの標準ズーム。これはもう最強の一本としか言いようがありません。

SIGMA fp, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA


LEICA SL, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

LEICA SL, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

カメラボディをSIGMA fpからLEICA SL(Typ601)に替え、今度はスナップ撮影に出かけました。ボディ内レンズ補正の効果は、SIGMA fpでの使用時と特に変わらないといった印象。ボディバランスでみるとfpに分があるものの、ボディを付け替える楽しさが広がるのがLマウントならではですね。露出を切り詰めたカットから一転し、若干オーバー目に振ってみました。トーンの厚みを感じる描写に思わずニンマリ。ボディパワーを差し引いても、これはやはり良いレンズだと確信しました。積極的にこういった遊びができるのは、性能の高いレンズであることに他なりません。

LEICA SL, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

メタルのエッジに気になるような色滲みもなく、色収差も良好に補正されているようです。質感の描きわけも見事です。


LEICA SL, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

AFは速く至って静か。ピントの合った花弁や葉の輪郭はしっかりとシャープです。ヌケの良さと絶妙なコントラスが、自然な奥行きを感じさせてくれます。

LEICA SL, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA

撮影距離に関わらず、前ボケもスムースで画作りがしやすいという点も魅力な本レンズ。人物撮影にも向いていそうなのはもちろんのこと、こちらのような被写体は、自分自身でピントの置き所を探りあてたいものです。そんな時、搭載されているフォーカスモード切換えスイッチやDMFといった機能が便利です。スイッチひとつでマニュアル操作に切り替えることができ、またフォーカスリングのトルク感もあり、おのずと作画の幅も広がりそうです。

LEICA SL, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by TA


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欲張りながら、妥協もしない。見事な一本。

予想を裏切らないというか、期待通りというか。ズーム全域に渡って隙の無い描写を見せてくれました。携行性がよい上に、ここまで写るのですから文句の付けようが無いというのが正直なところ。あえて言うならArtレンズと同様にワイド端は24mmにして欲しかった、という声が聞こえてきそうなところぐらいでしょうか。「ワイド側がもっと広ければと思ったシーンも確かにありましたが、そういう時って24mmでも収まりきらないんですよ、きっと。」とはカメラマンの談。まさしくその通りで、たらればの話をすればキリがありません。カバー域が広いに越したことはないのですが、サイズ感や重さはもちろん、描写性能をちょっぴりでも我慢するとなっては本末転倒。我々はすでに、先行するArtレンズの一級の写りを見てしまっているわけですから、本レンズに対するハードルは上がりまくり。そんな所に、スパッと「SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」を投げ込んできたシグマさんはしてやったりと、ほくそ笑んでいることでしょう。ズームレンズとしては、あれもこれもと欲張りつつも、どれも見事に高いレベルでクリアしてますからね。妥協なんて言葉を微塵も感じさせず、単焦点レンズで撮影したんじゃないの?と見紛うほどのクオリティと表現力には脱帽です。さあ、私たちは本レンズがもたらしてくれる恩恵に浴するのみです。

( 2021.04.07 )

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日常のスナップはもちろん、旅先での思い出も美しく残せる、明るい大口径。身軽にかさばらずに、28~70mmという利便性に優れた焦点域をこれ一本で賄えるとは、超お買い得すぎます。

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