実写インプレッション [dp0 Quattro]

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SIGMA dp0 Quattro, 1/1250, F4.5, ISO 200, Photo by NB

SIGMA dp0 Quattro | SHOOTING REPORT

dp0 Quattro SHOOTING REPORT 01 | dp0 Quattro SHOOTING REPORT 02

お待ちかねSIGMA dp Quattroシリーズの第4弾「dp0」の登場です。Quattroシリーズについての説明はもう不要でしょう。垂直色分離方式のFoveon X3センサー、レンズフィックスで焦点距離別のラインナップ、そして独創的な形状のボディ。もはや他の何者にも似ていない、孤高の存在として後光すら差すカメラです。

Quattroシリーズは、これまでにdp1(35ミリ判換算で28mm相当)、dp2(同45mm)、dp3(同75mm)というラインナップで出てきましたが、今回は21mm相当の超広角。いよいよ出てきたか!という焦点距離ですが、これをシグマがどう料理するのか。「センサーに合わせてレンズを設計し、それをボディに固定する」という方法論は、元はと言えばシグマが先駆者。シグマのこのやり方に賭ける思いが並大抵ではないのは、今までのモデルを見れば分かること。となればこちらも、並大抵ではない期待を抱きつつ使わせてもらうのが礼儀というものです。さてさて。

( 写真/文:NB )


SIGMA dp0 Quattro, 1/125, F5.6, ISO 200, Photo by NB

21mmという画角をどう使うか。まずは街中のスナップから。個人的には「21mm=街中スナップ」というイメージがあります。古今東西の写真家が、この画角で都市の息づくさまを記録してきました。超広角が生み出すダイナミックな画が、都市の持つダイナミズムと符合するんですね、きっと。

SIGMA dp0 Quattro, 1/500, F4, ISO 100, Photo by NB

とは言え、眼前の光景をまるっと包み込んでしまう画角ですから、真面目に作画をしようとすると被写体を選びます。ありとあらゆる意図しないものが画面に入り込んで来る上、水平垂直のズレにも極めて敏感です。であれば、あまり考え過ぎずに気持ちの赴くままにシャッター切るというやり方もあります。そんな風に自分のエモーションと右手の人差し指を直結させた方が、意外と都市の本質みたいなものが写っている(ような気がする)のです。

SIGMA dp0 Quattro, 1/13, F4, ISO 200, Photo by NB

今度は室内。超広角レンズのウィークポイントと言えば倍率色収差やディストーションですが、心配ご無用。プレス文をそのまま引用すると、「蛍石と同等の性能を誇るFLDガラス4枚と、SLDガラス2枚、大口径両面非球面レンズを含む、非球面レンズ2枚を採用」しているとのこと。ひとことで言えば妥協してないということです。

SIGMA dp0 Quattro, 1/60, F4, ISO 200, Photo by NB

特にディストーションは本当によく補正されていて、「ゼロ・ディストーション」を謳うのも頷ける写りです。

SIGMA dp0 Quattro, 1/30, F4, ISO 200, Photo by NB

これまでの3モデルのレンズはすべて開放f2.8でした。さすがに21mmともなると同じようには行かないとは言え、敢えてf4というクラシカルなスペックを採用したことは、この端正な写りを体験した今となっては大正解としか言いようがありません。

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SIGMA dp0 Quattro, 1/320, F8, ISO 100, Photo by NB

感心したのはディテールの残り方。特にシャドウ側は特筆すべきものがあります。今回のテストシューティングでも、一見潰れているように見える部分をちょっと持ち上げただけで「まったく自然に」(ここが大事)そのディテールが復活したものがあり、これには助けられました。フィルム時代から何ら変わらないことですが、撮った写真のその後の可能性が広がるという意味において、「見えなくてもちゃんと記録されている」ことがいかに大事か。そもそも記録されていないものは、どうやっても復活できないんですから。

SIGMA dp0 Quattro, 1/125, F9, ISO 100, Photo by NB

カラーで撮ったものをモノクロに変換してみました。これは単に色を変換させるだけでなく、「説明する」から「想像させる」という、写真とそれを見る人の関係の変換でもあります。まぁそんな難しい話はさておき、せっかくそういう機能が画像処理ソフトにあるのですから、使わない手はありません。当然ですがイメージが一変すると同時に、コントラストや階調、あるいは立体感が、モノクロにすることでさらに際立つことがあります。カラーできれいに撮れている写真はモノクロにしてもそのまま成立するものです。

SIGMA dp0 Quattro, 1/125, F4, ISO 100, Photo by NB

最短撮影距離(センサー面から18cm)での作例です。レンズの物理的な長さが結構あるので、前玉は被写体と触れんばかりになります。超広角レンズは「広いものを広く撮る」のが王道ですが、一方で「寄れる」という特徴もあります。寄れると言ってもそこは広角ですから、マクロや望遠と同じようにとは行きませんが、また違った魅力があるのは事実。ついでに申し上げるとAFは素早く、正確。以前のモデルに比べるとスピードもさることながら、合焦を迷う場面がかなり少なくなったように感じます。実はAFもかなり進化しているのではないでしょうか。

SIGMA dp0 Quattro, 1/40, F4, ISO 200, Photo by NB

Foveonセンサーの発色で特徴的なのが「赤の表現」であることは、過去のシューティングレポートでも触れました。赤というか、緋色と呼んだ方がしっくり来るでしょうか。とにかくこの妖しげとも言える赤の表現は相変わらず見事で、シャドウに至る階調も素晴らしいものがあります。街中を歩いていても、つい赤いものばかり探してしまいます。

SIGMA dp0 Quattro, 1/1000, F4, ISO 100, Photo by NB

そしてFoveonと言えば、圧倒的な解像感と、それがゆえのリアルな質感表現。画を等倍にしてモニターに顔を近づけ、おじいちゃんの背中のシミや白髪の一本一本を眺めてニヤニヤするような人間に、私もなってしまいました。だってスゴいんですよこれ。小さ過ぎてここに載せたものでは分からないと思いますが、実は遥か彼方の水平線に、船がうっすらと何隻も写っているんです。いやはや。

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PHOTO YODOBASHI

シグマが投げた、どストレート

正直なところ、このボディに抵抗感がある人は今でも多いでしょう。私もそうでした。しかし実際に使ってみればすべて分かります。「ああ、なるほど」って。使った人は腑に落ちる、そういうボディなんです。大事なのは、このボディも、センサーも、レンズフィックスも、奇をてらおうとしてこうなったわけではないということ。これらにはすべて理由があり、その理由とは「ただひたすら美しい写真を撮るための道具でありたい」という一言に要約されるのです。その理想を実現するために、シグマは渾身のストレートをど真ん中に投げただけ。打者の目を欺く変化球では断じてない。dp0を使っていると、それがよく分かるのです。



( 2015.07.09 )




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シグマが投げたどストレート、dp0 Quattro。受け止めるキャッチャーはもちろんあなた。これはかなりズシンと来ますよ。ご覚悟を。

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LCDモニターを拡大表示するビューファインダー。これが本当に良く出来ていて、作例を撮影している間はこれをつけっぱなしでした。特に画面の隅々まで見渡すことが自ずと多くなるdp0では必需品でしょう。スライド式で着脱も簡単。

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LCDビューファインダーの必要性はシグマさんも重々承知されているようで、dp0本体とのキットが出ました。別々に買うよりかなりお買い得。この値差なら、すでにお持ちの方でもこちらを選びたくなる筈。

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非常に見え味の良いアルバダ式逆ガリレオファインダーです。液晶モニタを使わずにファインダーを覗いて構図を決めるので確実なフレーミングができます。レンジファインダー使いの人にとっては、超広角レンズといえばこれですよね。

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dp0はその写りと画角からして、三脚に据えてきっちり構図を考えたくなるカメラでもあります。使うシャッタースピードに関わらず、三脚とケーブルレリーズは常にワンセットですよ。

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最初から2個同梱されているほどのカメラです。この意味をよーく考えましょう。いや、私は何も言ってません。

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