PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

Carl Zeiss Milvus 2/35

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

デジタルカメラの高画素化に伴い、一眼レフ用にラインナップされていたツァイスレンズ各種は「Milvusシリーズ」として順次リプレイスされています。本レンズはZEISS Milvus 2/35。現在はZEISS Classicレンズと称されるレンズシリーズ「Carl Zeiss Distagon T* 2/35」からのリプレイスです。レンズ設計は旧製品と同様にDistagonとなっており、画の隅々まで高い解像力を維持。準広角とも言うべき35mmでのランドスケープ撮影時には、伸びやかな線を描き出します。もちろんツァイスT*コーティングが施されており、フレアやゴーストもしっかり抑制。スナップやランドスケープだけでなく、ポートレート撮影でも活躍する、オールラウンダーです。今回はニコンFマウント用のレビューをお届け。じっくりと作例をご覧ください。

( Photography : Z II / Text : Z II & Rica )

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

本レンズは、ZEISS Milvusシリーズで最も軽量コンパクト。見た目もスッキリスマートでとてもスタイリッシュな印象です。ならばスナップにちょうど良いはずと、まずは都会のスナップに出かけてみました。初夏の爽やかな天気も相まって、カラフルな衣装が街に映えます。ツァイスらしいこってりとした色のりがベストマッチ! 歩きながらのスナップでは絞り開放でピントを合わせるのは難しく、F8まで絞り、感度を上げてブレない程度までシャッタースピードを稼いだというわけです。

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

本レンズはマニュアルフォーカス。一瞬を切り取るというよりはゆったり、じっくり撮るというスタイルになると思います。軽量なので長時間持ち歩けることや、鞄にサッと出し入れできることも大きなメリットですが、何よりもツァイスらしい写りが最大の魅力。開放絞りはF2で中間距離や引いた画では盛大なボケ量はないものの、色のりや、質感の描写はツァイスそのもの。

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II


Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

街を出て、千葉の里山に来てみました。そろそろ見納めとなる水を張った水田がいたるところにあり、早朝や夕暮れに空が映るととても美しい光景が見られます。日の出は午前4時40分。雲ひとつない紫がかった空を狙い、都内を午前3時前には出発しました。今回は少し雲が多かったのですが、それでも空の表情もしっかりと捉えてくれ、想像以上の絵作りができました。

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

水田の脇で強烈な香りを放っていたのはみかんの白い花。朝の柔らかな光の中に美しく咲き誇っていました。香りに引き寄せられて覗き込むと、撮ってよ! と呼ばれたような気がしてカメラを向けました。いいレンズはファインダーを覗いただけで分かるものですね。MFでじっくりと被写体と向き合うと、小さな花でもすぐに合焦させることができました。クセのない自然なボケが印象的です。

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

ひとしきり撮影して里山を降りれば、すぐに真っ青な海が広がるのが千葉の魅力です。潮溜まりでは観光客や子どもたちで賑わっています。開放では四隅が若干落ちますが、空のグラデーションと相まって爽やかな晴れの日を演出してくれました。

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II

海を見たら、お昼はもちろんお魚。お店のおすすめの黄金アジ定食。獲れたてのアジの刺身は弾力がすごいです。店主が「もう1日寝かせた方が美味い」と言うほどの鮮度でした。いや〜十分美味しくいただきました。Milvus 2/35の最短撮影距離は30cmと短く、もっと寄って撮れるのですが、ここはあえて料理とともに窓の外の海まで画面に収めました。こんな風に背景を入れることができるのも35mmならではですね。ズームレンズには出せないシャープな写り、料理と景色を同時に写しこめるちょうどいい画角に加え、混み合うお店にも持っていけるコンパクトさで、休日の撮影レンズには最高です。

Nikon D850, ZEISS Milvus 2/35, Photo by Z II


  • PHOTO YODOBASHI動きのある被写体をマニュアルフォーカスで狙うのはある程度の熟練が必要ですが、信号待ちで立ち止まった瞬間なら、さっと構えてすぐにピントを合わせられます。絞り開放では合焦部からなだらかにデフォーカスしていく様がとても美しいです。
  • PHOTO YODOBASHI棚田の水面に映った空を狙ってみました。ピントピークの抜群のキレと濃厚な色のり、水面の様子やしっとりした早朝の空気感がとてもよく出ています。カエルの鳴き声までも聞こえてきそうです。

PHOTO YODOBASHI

画面に物語を紡ぎ出す35mmのツァイス

ほどよく背景を入れたフレーミングができる35mmという焦点距離は風景から人物まで幅広い被写体に対応でき、被写体を取りまく状況も写し込むことで、自ずと画にストーリー性が生まれます。F1.4やF1.2などの大口径レンズが増加傾向にある昨今、本レンズのF2という開放値はやや控えめな印象を受けますが、ピントピークのキレとしっかりとした線、引き締まったシャドー部の表現、そして階調豊かなボケがメインの被写体を際立たせ、見る者の心を奪います。撮った画を見れば、これぞツァイスと拍手を送りたくなるでしょう。本レンズは、レンズ構成こそClassicシリーズと変わらないものの、異常部分分散ガラスの採用、レンズに最適化されたT*コーティング、また、レンズのエッジにまでも手作業での黒塗装が施されています。さらに、内面反射抑制のための表面処理やフレアカッターなど、徹底した内面反射の防止策がなされており、結果として、逆光など難しい光の状態でもシャープでコントラストの良好な画を得ることができるのです。自身の目で見た感動を、そのまま一枚の画に閉じ込めるために、さまざまな技術を駆使して誕生したMilvus 2/35。人々の息づかい、そしてそこにある気配を感じる画を生み出す、非常にツァイスらしいレンズです。


( 2019.05.30 )

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ディスタゴン設計のMilvus 2/35。コンパクトかつシンプルなデザインとMFの滑らかなフォーカシングが心地良く、日常の何気ないシーンに彩りを与えてくれます。

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メーカーがツァイスレンズの性能を最大限に引き出すと謳うT*コーティングが施されたUVカットフィルターは、レンズ前玉保護に常用できます。

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連綿と続くツァイスの歴史を、名レンズで撮影したたっぷりの写真と共にこの一冊で振り返ることができます。この本を読めば、現行品のツァイスの描写の中に、しっかりとツァイスの伝統が生きていることを感じていただけるはずです。

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電子書籍版なら、いつでもどこにでも携行できますから、現行品のツァイスレンズを携えての撮影時にぜひお供にしていただきたい! お好きなタイミングで、スマートフォンやタブレットから気軽に読んでいただくことができます。

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