PHOTO YODOBASHI
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Carl Zeiss Milvus 2.8/15
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
Milvusシリーズの中で最広角となる「Milvus 2.8/15」。焦点距離15mm、水平100度というワイドな画角域を有するMFレンズです。非球面レンズ2枚、異常部分分散性の特殊ガラス製レンズ5枚も擁するリッチな光学系は、ツァイスの超広角レンズのアイコン的存在でもある「Distagon T* 15mm F2.8」を踏襲しています。レンズ構成は同じとはいえ、本レンズはじめMilvusシリーズではデジタルカメラ向けのチューニングが施されているとのこと。絞れば先鋭さが増し、開いて主要被写体に寄ればボケ味も添えることができる楽しい一本です。今回お届けするレビューはフルサイズFマウント用。超広角レンズを手にしてまず気にすることがあるとすれば、やはり直線が直線として描き出されるか否かでしょうか。さぁ、そのあたりの収差にも注意を払いつつ、本レンズの実力の程をがっぷりご覧頂ければと思います。
( Photography : T.T / Text : T.T & KIMURAX )
何を撮ってもパンフォーカスという超ワイド15mmですが、最短撮影距離も25cmと短く、どこまでも寄る事が出来ます。またその描写もすばらしく、ピントがスッと立ち上がってくる想像以上に柔らかいボケ味があります。ワイドマクロの撮影も色々楽しめますね。
奥能登にある大きな庄屋の梁です。日中の強い陽射しが差込むという難しいシーンですが、薄暗い屋根裏のディテールもしっかり出ており、強い光にフレアを感じる事もなくバランスよく写し出してくれました。
15mmという超ワイドがあれば、こういった強烈なパースを生かした力強い構図が楽しめますね。思わず一歩、また一歩と前進してしまいます。
日没のシーン。雲ひとつない空のグラデーションを美しく捉えることができました。木の葉っぱの細かい描写に加え、水面に映る空のトーンも見事ですね。周辺光量の落ち具合も絶妙で、夕暮れの風景に得も言われぬ情緒を添えてくれました。
とにかく逆光に強いです。ZEISS T*コーティングの良さはもちろんの事、レンズのエッジ部分の黒塗りや、内面反射を抑える表面処理など、フレアやゴーストを抑える処理が徹底的に施されています。逆光に向かってシャッターを切りたいユーザーの気持ちに、力強く応えてくれます。
突き抜ける直線力が、撮り手を大胆にさせる。
絞り開放からビシッとシャープな像を結び、色収差もほとんど見当たらないのですから感心しきり。そこからさらに絞り込んでいっても簡単に線が太るようなことはなく、とにかくキレ味の鋭い描写を見せてくれるものです。周辺画質においても開放から不足はまったく感じられず、仮に隅の隅まで解像感が必要だ、という場合でも1段半～2段も絞ればもう十分も十分という印象。もちろんこれだけの焦点距離ですから、被写体との距離を縮めない限りはほとんどのケースがパンフォーカスになるわけで、積極的に絞りを活用するのもいいでしょう。絞り開放の描写がよいレンズは、大抵絞り込んでもよいものですからね。そして感心したのが超が付くほどの広角レンズであるにもかかわらず、歪曲収差が実によく抑えられていることです。直線が直線としてビシッと通る気持ちよさ。この直線力があればこそ、パースのついた大胆なフレーミングだってビシバシ思いどおりにキマルというものです。「Milvus 2.8/15」は旧モデルの光学系を踏襲しているとはいえ、しっかりとデジタル向けの調整が行われていることが伺える隙の無い描写を見せてくれました。もしかすると性能的には、さらにアップしているようにも感じてしまった次第です。ZEISSブランドに恥じない快心の写りに、心動かされた人も多いのではないでしょうか。超広角レンズって難しそう・・・そんな不安さえも吹き飛ばし、虜にしてしまいそうな描写力を備えた一本です。
( 2019.06.06 )
Milvusシリーズ最広角。15mmという超広角でありながら歪みや各種収差を徹底して抑えた圧倒的な写り。広角ファンには必携の一本です。
着脱可能なフードがあるとはいえ、広い前玉をしっかり守ってあげましょう。そこはやはり純正で揃えておきたいところ。
ZEISSファンのみならず、ZEISSレンズやその歴史が気になっているという方は、まずコチラの資料を手にされることを強くおススメします。
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