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Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

Irix Dragonfly 150mm F2.8 Macro

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

「Irix Dragonfly 150mm F2.8 Macro」というマクロレンズのレビューをお届けします。本レンズは、等倍マクロとなっており、150mmという中望遠域の単焦点レンズです。マニュアルフォーカスですから、ピント位置を自身で仔細に調整することができます。マクロレンズは小さな被写体を大きく写すことができ、150mmという焦点距離ではありますが最短撮影距離は0.345mと非常に短いため、被写体にグっと迫ることができます。等倍マクロというのはつまり、センサー上に被写体を等倍で写し込めるということ。普段見ているものにマクロレンズで寄ってみるだけで、これまで見たことのない新しい世界がファインダーいっぱいに広がります。CP+ 2019でも展示されていたため、覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、Irixは設計はスイス、製造は韓国で行なっているレンズメーカー。絞りの制御が電子式になっているため、絞り値はカメラ側から操作することが可能。アルミ、マグネシウムを採用、5カ所にシーリングが施されており、ハードな撮影条件でも問題なく使用できます。レンズ構成は9群12枚、絞り羽根は贅沢に11枚を採用。ボケの美しさも特長のひとつ。フォーカスリングはなんと回転角が270度となっており、そのトルク感もいい塩梅でピントの調整がとてもしやすいのも魅力です。まずは作例をご覧になっていただき、その実力を確認してみてください。

( Photography & Text : Rica )

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

マクロレンズとはいえ、150mmという中望遠域では絞り込んでも前後がボケていきます。質感とボケのバランスが良いのはF6.3からF8あたりかなと感じました。焼き物のマグカップの取っ手部分にグっと寄ってみましたが、少しザラっとした表面の質感と、人のぬくもりを感じる曲線にゾクっとします。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

真鍮を叩いて作られた自転車のベルに最短撮影距離までグっと寄って撮ったカットです。真鍮の柔らかさがよく伝わってくる質感描写に、F2.8のとろけるようなボケが伴って、とても立体感のある描写です。


Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

アイスコーヒーのグラスの縁が全部入るよう距離を撮ると約80cm。MFレンズですから、ピントをしっかり合わせてシャッターを切れば、ピント位置がズレてしまったなんてこともありません。画像をクリックしていただくと、最短撮影距離0.345mでの画をご覧いただけます。最短撮影距離では、アイスコーヒーと氷がまるで宇宙?のよう。よりアブストラクトな表現にトライすることができそうです。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

中望遠レンズらしく、被写体から2m程度離れてもこの通り。ピントの合った部分から前後にゆるやかにボケていく様がとても美しく、奥行きをしっかりと感じることができます。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

マクロレンズですが、150mm F2.8というスペックを生かし、開放、最短撮影距離で撮影したカットです。これはエレキベースのペグですが、金属のエッジと大きなボケで自身の目で見ているのとはまったく違った画になります。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

さて、これは一体何だと思いますか?
実はポップコーンなのです。山になったポップコーンのいちばん上の一粒に寄って開放で撮影したのですが、一粒の表面部分以外はすべてボケるほど被写界深度が浅いです。マクロレンズは深度を深くして、小さな被写体を隅々まで写すものというセオリーは脇に置き、自由に撮って、これまで見たことのない世界を楽しむのも一興です。


Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

さて、ここからは中望遠域でのスナップを楽しんでみました。自分の座っている席から5-6mあたりの距離、カフェのなかでの撮影ですが、開放でもキリっとシャープに写るのはマクロレンズならではかもしれません。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

電球も、それを吊るしているロープの質感も自然に描き分けてくれます。開放から問題なく使っていけるという印象を受けました。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

クラシックカメラを無造作に置いてあるだけなのですが、中望遠で切り取るととても雰囲気のある画になります。カメラの光沢感やロゴの凹凸、金属の質感もしっかりと描写しています。

Nikon D850, Irix 150mm F2.8 Macro, Photo by Rica

中望遠レンズですから、人を撮りたくなります。背景との分離感もよく、開放ではピントを合わせた人物がふわっと浮き上がってくるような素晴らしい立体感です。マクロ撮影だけでなくポートレート撮影にも使っていただきたい一本です。


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等倍マクロで異世界を堪能する

特筆すべきは、やはり「等倍」のマクロレンズであることでしょう。ただ被写体に寄れるだけでなく、センサーにそのままの大きさを写し込める楽しさこそが、本レンズの醍醐味。ボリュームのあるボケと、マクロレンズらしいシャープな描写で、驚きのある画を得ることができます。また、150mmという焦点距離ですから最短撮影距離まで寄らずとも、かなり被写体に迫った画作りができるのも面白いところです。レンズ内に手ブレ補正はなく、重量は840gとカメラと合わせれば2kg程度となり、さらに中望遠となると手持ちの撮影ではブレが心配になりますが、F2.8という開放値を生かせばシャッタースピードもかなり稼げます。今回はNikon D850で撮影していますが、ピントの山はとても掴みやすく、ピントリングの回転角の大きさ(270度)も手伝って、開放でのピント合わせもしやすかったです。マクロレンズをマクロレンズらしく使うだけでなく、F2.8という明るい開放値、0.345mという最短撮影距離を最大限に利用し、通常では見ることのできない“異世界”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

( 2020.09.02 )

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最短撮影距離0.345mで等倍撮影が可能な中望遠の単焦点マクロレンズです。美しいボケを再現できる11枚円形絞りを採用。270度の回転角を持つフォーカスリングで高精度なフォーカスが可能です。フォーカスロック機構を備え、必要な位置に固定することもできます。

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新開発の「フローティングフレームシステム」を採用し、特殊弾性緩衝剤によってフィルターガラスへの負荷を限りなくゼロに近づけることで、レンズ本来の描写力を存分に引き出します。4Kや8Kといった高解像度カメラにも対応します。

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本格的なマクロ撮影をする際には三脚があると便利です。出先で見つけたお花なども、三脚を使用できるシーンであれば、しっかりとピントを合わせて撮影することができます。携行にも便利な軽量な三脚が重宝します。

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接写、複写に威力を発揮するのが2軸のフォーカシングレールです。雲台のセット位置を変えることなくカメラ位置を微調整できるので、マクロレンズと併せて使用することで写真の仕上がりがグっとよくなります。

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