Nikon Fan Meeting 2018 in Tokyo
ニコン ファンミーティング 2018 in 東京 開催レポート
昨年のニコン100周年を記念して開催された「ニコン ファンミーティング キャラバン 2017」から約1年。今年も開催となりました「ニコン ファンミーティング 2018」。今回は2018年9月1日(土)〜2日(日)に東京会場からスタート。フォトヨドバシでも早速その様子をレポートいたします。会場を有明からベルサール渋谷ファーストへと移し、昨年のFマウントシステムを中心とした製品紹介と100周年にちなんだニコンの光学製品の歴史を振り返るものから、先日発表されたばかりのニコン初のフルサイズミラーレス「Zマウントシステム」を大々的に紹介するイベントへと大きく変わりました。開催のタイミングもバッチリ。実は前回からこのタイミングでの製品発表やイベントの開催がスケジューリングされていたのではないかと想像させる絶妙な設定。実際の会場もそれだけの意気込みを感じるものでした。広々とした会場に入るとまず目に飛び込んできたのが、入り口正面に展示されたニコンの光学製品を並べたひな壇。その最上段中心に鎮座したZマウントボディと同時発表となった3本のレンズ。それらを囲むように、Fマウントボディと数多くのFマウントレンズが並んでいました。では早速、ニコンの新しいチャレンジとなるZ7・Z6およびZマウントシステムについて詳しくご紹介いたします。我々フォトヨドバシ編集部にとっても初めて目にし、手にする機会となりましたこれらの製品。興奮を交えてお伝えできればと思います。
いよいよニコンが本格参入、待ちに待ったフルサイズミラーレスシステム。
来場者のお目当てがそうであるように、会場もZ一色と言ってもいいほどの力の入りよう。フルサイズのミラーレスシステムとしてはソニーのαシリーズが先行していましたが、そこへニコンが本格的に参入します。その注目度と話題性はニコンユーザーに限らずとても高いものでしたらから、昨年のファンミーティング以上に他社製のカメラを提げた来場者を多く見かけたように思います。
写真で見た印象よりも小さく薄いボディ。手にするとしっかりとホールドできるグリップの大きさも相まってそう感じさせてくれます。重量は約675g、D850と比べて26%もの軽量化を実現しました。Z7とZ6との違いは撮像センサーの画素数によるものがほとんどで、ファインダーや5軸手ブレ補正などのメカニカルなものから、マグネシウム外装を含むボディーワークはほぼ同一とのこと。そういう意味ではZ6のお買い得感は相当高いと言えるかもしれませんね。
見慣れてきたFマウントの細身な印象からすると、マウント基部からかなり太く、それ故にボディがよりスリムに感じられることでしょう。ZマウントもFマウント同様に息の長いシステムになるよう、Fマウントにとってウィークポイントになっていたものは全て潰してきた印象です。35mmフルサイズに対応したマウントとしては非常に大きな“55mm”という内径を確保しました。またマウントからセンサー面までの距離に相当するフランジバックは、使い勝手や安全性を確保しながらF0.95まで対応可能な“16mm”という短いものに。メカ連動のない完全な電子連動となり、11個の接点によりレンズと通信を行います。その通信速度はFマウントと比べてもひと桁高いレベルで、間もなく訪れる8K時代にも対応できる余裕を持った設計とのことです。
軍艦部には小ぶりな有機ELパネルによる情報表示と大きなダイヤルが配置。シャッターボタンの周囲に露出補正ボタンを装備するなど、これまでのニコンのデジタル一眼レフユーザーなら違和感なく使える操作体系。大きく重くなりがちなペンタプリズムがなくなり、電子ビューファインダーになったことにより、ファインダー部もコンパクトですっきりした印象に。
感動したのがファインダーの美しさ。0.5型・369万ドットのOLED。もちろん視野率は100%となり、見やすいと評判だったD850の0.75倍を上回る0.8倍。光学系も非球面レンズを採用するなど、その「見やすさには徹底的に拘った」というのが頷けます。高精細で粗も見えず、覗くのが楽しくなるファインダー。メガネをしている筆者でも隅まで見やすいものでした。他社のEVFと比べても、最上級のものに匹敵するかそれ以上のレベルと言っていいでしょう。
背面液晶は3.2型と大型になり、三脚に据えて撮影時のピント確認などがしっかり行える見やすい印象。チルト式により、自由な高さや角度でカメラを構えることができます。
その背面液晶はタッチパネルを採用し、メニューの操作などもより直感的に行えます。
バッテリーは「EN-EL15b」と呼ばれる新しいもの。一眼レフで採用されている「EN-EL15」と同形状ですが、USB-Cケーブルを介して本体充電を行うには、このバッテリーでないとならないとのこと。メディアスロットはXQDの1スロット。単価が少々値の張るメディアではありますが、読み出し・書き込み速度は猛烈です。
外部インターフェイスはボディ側面に集約。USBはUSB-C端子を備え、他にHDMI、音声の入出力、リモコン用のコネクタなどを備えています。無線はWi−Fi(11b/g/n/a/ac)とBluetooth4.2をサポート。
「マウントアダプター FTZ」を装着した状態。レンズにAFモーターを内蔵しているAF-S、AF-P、AF-Iレンズ計90種がFマウントボディと同レベルの速度で使用可能。またVR非搭載のCPUレンズでもカメラ内VRを活用可能。鏡筒と三脚座はマグネシウム合金製。
AFレンズの他、AI NIKKOR以降の360種におよぶFマウントレンズが活用可能。新しいNIKKOR Zレンズとともに、Fマウントレンズ群がZシステムを力強くサポートしてくれます。
(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)
「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」は非常にコンパクト。ロックボタンのない沈銅式を採用し、専用フードはやや大ぶりではありますが、未使用時は携行性の高いサイズとなります(写真左)。24mm時も多少鏡筒が伸び(写真中)、70mm時はかなり伸びる印象です(写真右)。レンズ鏡胴はピントリングとズームリング、AF/MFスイッチのみというシンプルなデザインで、「S-Line」のレンズでは標準装備となるナノクリスタルコートを示すエンブレムもありません。
写真は11月発売予定の「Z6」に「NIKKOR 50mm f/1.8 S」をマウントしたもの。レンズは発売前の最後の段階といったところでしょうか。11月発売予定のZ6ボディ同様、製品説明カウンターのみでの試用となっていました(データ持ち帰りは不可)。ただこれも、会場が変わり発売が近づくにつれ状況は変わるのかもしれません。50mm F1.8はEDレンズと非球面レンズをそれぞれ2枚採用した贅沢なもの。税別83,500円ですから、いわゆる「撒き餌レンズ」ではない、本気のレンズとなります。 その他に「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」は既に発売できる状態のようで、試写コーナーにもZ7と組み合わせて試用できる状態になっていました。こちらは、2つの独立したフォーカス用レンズ群をそれぞれ異なる動きで制御し、撮影距離を問わず最高レベルの光学性能となるよう設計された意欲作。サイズや外観は写真のNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sとほぼ同じです。
ボディ外装はマグネシウム合金を採用し、ニコンのカメラらしい剛性感のある頑丈なものに。D850と同程度の防塵防滴性能を誇り、メカニカルシャッターもD850と同レベルの20万回の耐久性能を確保しているとのこと。
Z7の構造がわかるよう展示された分解モデル。センサーはD850で好評だった裏面照射型を採用し、今回初めて像面位相差AFにも対応。Z7は4575万画素の高精細を実現するために低感度の性能に拘り(ISO 64) 、Z6は高速性を実現するために高感度性能に拘った(ISO 51200)とのこと。また映像エンジンは新たに「EXPEED 6」を採用しより高速で美しい映像出力を実現。
D850にAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRをマウントしたカットモデル(手前)とZ7にNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sをマウントしたカットモデル(奥)との比較。F2.8とF4のレンズのため同条件ではないが、同じセンサーでもミラーボックスやペンタプリズムなどがなくなるだけでこれだけシステムサイズが小さくなるということがよくわかる。
バッテリーパック(MB-N10)は3Dプリントで出力されたモックアップ。
写真はジンバルなど動画撮影時のモデル展示。その動画撮影は、FXフォーマットベース フルフレームの4K UHDをサポートし、たいへん強力に。10bitでのN-Log出力などプロ向けの機能も充実させました。
2021年まで発表されたロードマップによれば、当面はナノクリスタルが標準採用されているプレミアムな「S-Line」のレンズのみのリリースとなっているようで、まずはハイエンドをしっかり固めて性能の高さを前面に押し出していきたいということのようです。会場に展示された大型パネルの作例は、どれも息を飲む写りでした。4575万画素のセンサーの持つ能力をフルに発揮できるレンズ群の光学性能の高さに期待が高まります。写真の24-70mm f/2.8、58mm f/0.95 Noct、14-30mm f/4の3本は来年にも登場するとのこと。ボケ味の美しさだけでなく、隅々まで見事なレベルで描き出す、Zシステムの実力、早くフィールドに持ち出してみたいと思わせるものでした。フォトヨドバシとしても、ニコンの本気を感じる新システムだけに、今後しっかりとレビューをお届けしていきたいと考えております。どうぞお楽しみに。
待望の新製品に、会場は祭りの様相
「ニコン ファンミーティング 2018」の開催が新しいミラーレスカメラ・Zシステムの発表直後というだけあって、会場は両日ともたいへんな賑わい。初日は開場早々に各コーナーは長蛇の列となり、2日目の夕方でも整列用のスペースからはみ出て列を締め切るほどでした。注目度の高さでしょうか。ニコンユーザーが大多数ながらも、他メーカーのミラーレスカメラを提げた方も多く見かけました。それだけ「ニコンのフルサイズミラーレス」に対する注目と期待が高いということなのでしょう。こちらではネタバラしにならない程度に各コーナーの様子を簡単にレポートいたします。
一般入場1時間前の9時の時点で既に一般入場の行列ができていました。写真は開場間近の会場外。10時の予定より15分早く一般入場が開始されました。入場時にはパンフレットやうちわの入った紙袋が配布されました。会場内の各コーナーは一瞬で大行列に。
メインステージでは、製品企画者である北岡直樹氏によるZシリーズの製品プレゼンに始まり、写真家の阿部秀之氏や上田晃司氏らによるZシリーズの撮影体験を紹介するステージ、ニコンフェローである後藤哲朗氏による冒険家植村直己の挑戦を支えたスペシャルカメラの開発秘話、ニコンクイズグランプリ2018や抽選会、集合写真撮影が行われました。
静物撮影体験コーナーでは、「Z7」にZマウントレンズやマウントアダプターを介したFマウントレンズによるデモ機が並んでいました。XQDカードを持参した方にはデータの持ち帰りもOKとなっていました。
こちらは製品説明カウンター。9月下旬発売の「Z7」より2ヶ月遅い11月下旬発売となる「Z6」の方は、稼動モデルこそ用意されてはいたものの、こちらでの試用のみとなっていました(データの持ち帰り不可)。とはいえ、センサーを除けばほぼ同じボディと言っていいだけに、手にしてみた感触では、こちらも何ら問題は感じず、すぐにでも発売できそうな感触ではありました。
モデル撮影体験コーナー。最新のZ7やNIKKORレンズで実際にモデル撮影を行えるコーナー。これは東京・大阪・名古屋会場のみで実施されるそうです。
プロフィール写真撮影コーナーでは、写真家の方々にSNSなどで使えるプロフィール写真を撮ってもらえる貴重な体験も。SNSに公開された写真を拝見すると、絶妙なライティングにさすがと唸らされました。
ニコンカレッジ(ミニセミナー)では、Zシリーズを始め、D850やP1000などを用いた実戦的な使いこなしのテクニックを写真家の方々が直接レクチャー。小さなスペースながら、メインステージ同様に立ち見が出る盛況さでした。
こちらは超望遠新製品体験コーナー。このコーナーだけFマウント色が強いですね(笑)。普段なかなか手にすることができない超望遠レンズを試用できる貴重な体験ゆえ、こちらも人気です。特に間もなく発売となる「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」は列を別に分けるほどの人気でした。
グッズ販売コーナーでは、アパレルやバッグのほか、今回のファンミーティングオリジナルのストラップやオリジナルパッケージのニコンようかんまで多彩なグッズが用意されていましたが、大人気ゆえ売り切れ続出。ニコンちゃんグッズのPOPを拝見して初めて知りましたが、彼女は25歳なんだそうです。こちらのツイッターアカウントもぜひフォローしてみてくださいね。
入場時にもらう手提げ袋。中には、うちわやパンフレット類のほか、Zシステムを詳しく解説する冊子が(永久保存版!)。
会場はほぼZシステム一色でしたが、9月14日に発売となる「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」のようなFマウント向けの新製品もしっかりと展示されていました。会場では超望遠新製品体験コーナーに3本のデモレンズが用意されていました。先に発売された「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR」と同様に、PF(Phase Fresnel:位相フレネル)レンズを採用した光学系により、500mmクラスの超望遠レンズとしてはコンパクトさは二度見するレベル。サイズ感は従来で言えば従来の「300mm F4クラス」と言っていいでしょうか。これなら三脚や一脚がなくても振り回せそうだと多くの方が感じられたのではないでしょうか。PFレンズにより超望遠レンズを飛躍的にコンパクトにできるということで、会場でも注目が集まっていました。
最新技術の結晶をニコン流のおもてなしで楽しめる
自信作であることは間違いないであろう「Zシリーズ」の登場により、昨年以上に頼もしくそして大きく感じた会場スタッフの方々の背中。会場の空気も昨年以上の高揚感に包まれていたように感じます。ニコンのフルサイズミラーレスとしては第一世代となるわけですが、新しいシステムの発展途上感は微塵もなく、完成度はとても高いものに感じられました。ニコンとしても、これだけの大きなイベントを介してユーザーの皆さんに新しい製品を披露できたのは感慨深いものであったのだろうと思います。TwitterやInstagramのSNSに「#ニコンファンミーティング」のハッシュタグで投稿されたものを拝見しても、展示された製品だけでなく、講演・セミナー、そしてモデル撮影やプロフィール写真撮影サービスなど、様々な催しを来場された多くの方が楽しまれているようでした。東京に続き、9月15日(土)〜16日(日)が大阪、9月22日(土)〜23日(日)が名古屋、10月6日(土)が札幌、10月28日(日)が広島、11月4日(日)が福岡、11月11日(日)が仙台と全国の都市を駆け巡ります。各会場の近くにお住まいの方はぜひ足を運んでみてください。ニコンファンならずとも1日たっぷり楽しんでいただけると思います(そして気づけばニコンファンの仲間入り)。
» ニコンイメージング ウェブサイト:ニコン ファンミーティング 2018へ
( 2018.09.03 )
ニコンが満を持して発表したファン待望のフルサイズミラーレス「Z7」。ニコン初のカメラ内センサーシフト式VR搭載。こちらは、Zレンズの真価を実感できる、4575万画素の高画素モデル。ニコンが培ってきた技術を新しいシステムに結実させた、珠玉の一台です。
こちらは、ニコンユーザーの皆さんがすでにお持ちのFマウントレンズを装着可能にするマウントアダプター「FTZ」が付属するキット。まずはボディを手に入れて、Zマウントレンズはじっくり選びたいという方はまずこちらをどうぞ。
「Z7」にマウントアダプター「FTZ」、さらに「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」が付属する全部盛りキットがこちらです。既存のFマウントレンズも楽しみつつ、新レンズも楽しめる、ファン垂涎のキットとなっております。
ミラーレスで初めてのニコン!という方もいらっしゃるでしょう。こちらはボディとNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sのキットとなっています。買ったその日から、すぐに撮影を始められますよ!
こちらは2450万画素のスタンダードモデル「Z6」。もちろん、Z7同様にカメラ内センサーシフト式VRも搭載しています。もちろん、豊富なバリエーションを誇るニッコールFマウントレンズも楽しめます。
マウントアダプターFTZが付属する、マウントアダプターキットです。すでにお持ちのFマウントレンズを最新のミラーレスモデルで味わうことができます。まずはFマウントを堪能しながら、新レンズをじっくり選びたい方はこちらをどうぞ。
Z6に標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」、さらにマウントアダプターFTZがついたキットです。すでに持っているレンズも、新しいレンズも試してみたいという欲張りなあなた、ぜひこちらをどうぞ。
スタンダードモデルZ6とNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sのキットです。初めてのフルサイズミラーレスにニコンを選ぶあなた! こちらのキットがオススメです。届いたその日にさっそく撮影に出かけましょう!
FXフォーマット対応の超望遠レンズ「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」の登場です。PFレンズを採用し、1460gと手持ちでの撮影ができる小型軽量化を実現。もちろんナノクリスタルコートを施し、贅沢な硝材との組み合わせでキレのある描写を得られます。
なんと、広角24mmから超望遠3000mm(35mm判換算)までをカバーする光学125倍ズームレンズを搭載したCOOLPIX P1000。デュアル検知光学VR搭載で、手持ちでの超望遠撮影時にも手ブレを効果的に抑制してくれ、より高精細な表現が可能です。
Z7とZ6は、XQDカードのシングルスロットが採用されました。そして、こちらも満を持してニコン製のXQDカードの登場です。特に高画素機では、ファイルサイズが大きくなりますから、高速で読み書きができるXQDカードが最適解です。
XQDカードは高価ですが、堅牢性も高く、大事なデータをしっかり守ってくれます。初めてのXQDカードなら、まずは若干廉価な64GBから試してみてはいかがでしょうか。