PHOTO YODOBASHI

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LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH vol.1 vol.2

銘匠光学(めいしょうこうがく)TTArtisan(ティーティーアーティザン) 50mm f/0.95 ASPHは、中国の深センのメーカーが送り出す超大口径レンズ。8群11枚で超高屈折ガラスを贅沢に使用しています。M型用レンズには本家に同じスペックのレンズが存在します。はい、リリースされた頃に煙が出るような分割払いで手に入れましたが、そんなこともあって試用するのが楽しみな一本でした。この類のレンズは全弾絞り開放、様々な意味で如何に期待を裏切るような写りをしてくれるか、そこに期待するわけですが、さてその結果は。。作例とともにお楽しみいただければ幸いです。

( Photography & Text : K )

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

素直な写り!しかし使いこなすには、それなりにレンズに合わせ込む必要あり。

一枚目から「いいじゃん!」と電車の中で呟いてしまいました。開放F値から、当然ながら画面中心から端まで平坦性の高い像は望むべくもありませんし、昨今のレンズのように目が覚めるようなキレはありません。ピントピークもベールを纏うようですが、それでも繊細にピークを描いています。そこから像がボケに飲み込まれるように、あえて記しますが「崩れて」いきますが、その具合がなかなか味わい深い。ファインダー覗いて、目で見たとおりに写る、最近のレンズはある意味見た以上に写るわけですが、いつだって私は期待してるわけです。「ほほっ!」と期待を裏切る描写を。そんな意味では面白いレンズです。描写傾向としては素直ですが、少し古いレンズのように光に気を配り、ピントを置く位置と背景、いろいろと細々気を配るのが使いこなしのポイントだと思います。まずは、このあたりを面白がること。そして、素直が故に、ハマると面白い写りになります。上の車のカットは、フラットな光の中で、要は光が溢れない環境で撮影しています。少し滲むのを利用しての撮影。木の葉と水面のカットは、金網越しですがこの開放F値が故に撮ろうと思わされますし、開放F値から当然のごとく周辺は強めに落ち込むので金網の前ボケも加わり面白いかなとシャッターを切りました。先程から素直と記していますが、ピント部分はそれなりに解像力があるのです。ここがあまり演出臭さがないのですね。だから撮っていて心地よい画になるのかなあと感じます。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

思いの外、クセがないのです。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

まったく出ないわけではありませんが、嫌なフリンジも出づらいと感じます。現像処理の際にほんのちょっと手直しする程度でOKです。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

色味も素直な出方で、わりと色乗りは厚め。ボケ味は前も後ろもよい塩梅の落とし所で、バランスが取れています。


LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

後ろボケに趣を感じます。個人的にはサラっとしたボケ味よりは、少し重めのほうが好みで、どストライク。少しクラシカルなボケ味ではあります。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

ボケも盛大に巻くのかな?と想像していましたが、かなり優秀です。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

F0.95となると、被写体の方までの距離は1m程度、プラットホーム向こうの人まではざっくり7-8mはあるかと思いますが、もう完全に溶けてしまいます。やはり視覚にない世界ですから、単純に大口径はそれだけで楽しい。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

ピントは画面中央付近の壁においています。この開放F値でレンジファインダーカメラですからピントは面で置いていますが、人物にはきちんとピントが当たっていません。ピークからの像の変化の具合がわかると思います。

LEICA M10, TTartisan 50mm f/0.95 ASPH, Photo by K

ん〜手前の像の崩れ具合と、中心の被写体の方との対比が面白い。やはり大口径は面白いですね。


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レンズとの協調作業が楽しめる1本

オールドレンズほどの気難しさは当然ありません。普通に使ってもキチンと写ります。しかし、昨今のレンズのようにどんな環境下においても描写に変化がないようなそんなレンズではないため、ある程度フレーミングの際に色々と考え、計り図って使うと昨今のレンズにはない描写が得られます。つまり、レンズと戯れる余地が多分にあるということです。本家に比べれば実勢価格は破格も破格。これは本当に「美味しい」レンズだと思います。本家よりも随分後にリリースされたレンズのため、フリンジなどの封じ込め方も本レンズのほうがまとまっています。これは本家も少々古くなってきた故に気の毒な話なのですが。「見たとおりに写って楽しいか?」なんて横道に逸れてみたい人、もうすでにそうなって久しい皆さん、おすすめの1本です。シャッター切って見たいのは、いつの時代もある意味ではファンタジーですもんね。それにしたって随分とマナーの良いレンズであると、一言付け加えておきます。

( 2022.09.15 )

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F1.0オーバーのドリームレンズ、手にしてみるとあなたの撮る世界が変わるかもしれません。たっぷりとお楽しみください。

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カメラに合わせたシルバーカラーもございます。金属製鏡胴の造りのよさも所有欲を満たしてくれるでしょう。

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