PHOTO YODOBASHI

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LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

LEICA SUMMICRON-SL f2/35mm ASPH.

ライカLマウントシステム用のズミクロンレンズが2本、新たに登場しました。こちらのレビューではそのうちの1本、SUMMICRON-SL f2/35mm ASPH. をご紹介します。同時に発売された35mmと50mmの2本のズミクロンレンズは、フィルターサイズや、直径と全長が統一されています。同一サイズとする事でさまざまなメリットがあり、シリーズでの使用を想定してのことでしょう。ちなみに直径は約83mmで全長は74.5mm。質量のみ僅かに違いがあり、35mmの方は約400gとなっています。アポ・ズミクロンシリーズと比べると半分くらいの質量になるので、段違いに軽量であることも魅力のひとつ。鏡胴は防塵防滴のブラックアルマイト仕様で、非球面レンズや異常部分分散ガラスを効果的に配置し、最高の画質を実現しているとのこと。またAFには新開発のリニアダイレクトドライブ方式が採用されており、高速で静音性に優れたフォーカシングが行えそうです。ズミクロンの名を冠した本レンズ、初めて手にした時の感覚は「思いのほか小さい。軽い。手によく馴染む。」でした。これだけでも気分はだだあがりです。では早速作例をご覧いただきましょう。

( Photography & Text : TA )

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

朧げな光は朧げに。湖畔に置かれた椅子を捉えてみれば、郷愁を誘う1枚に。何気なく撮ったカットも、さらっと流れてしまうようなものはなく、何か心に爪痕を残していくような、そんな写りをします。


LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

もっとも特徴的だなと感じたのがこちらのカット。そのなかでも女性が纏っているニットの肩の辺りをご覧ください。編み込まれた毛糸素材の違いや手触りが伝わってきます。ディテールのほんの一部分、ミクロなレベルでの階調が豊かなのだと思われます。結果として画が立体的になり、リアリティのあるものに。ああ、良いレンズだなと感じ入りました。

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

余白を作り出そうとするとこれがなかなか難しいのですが、35mmは息をするかのように、あくまでも意識せずにそれができる画角のように思います。余白の部分に詩情を込めることができますし、フレームいっぱいに何かを詰め込んでも面白くなる。さまざまな要素が入る余地があるけれども広過ぎないのが35mmの魅力と感じます。

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

ああ、このレンズの描写が好きだなと感じたら、どんなものにもレンズを向けてみたくなるものです。いろんな感情を呼び起こしてくれるレンズで遊び心をくすぐられました。緻密で厚みのある写り。後付けでない真の力強さを得たいなら本レンズ1択です。

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

線を幾重にも重ねてというよりは、コントラストを丁寧に拾い上げて描いていく印象です。もちろん線をないがしろにしてるのでは全くなくて、間にあるものが豊かであるがゆえの、それが目立たないといったイメージです。それゆえでしょうか、ボケの質も上質で嫌な雰囲気にはなりませんし、平面的な被写体を捉えても、どんな切り取り方をしてものっぺりとした画にはなりません。


LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

アウトフォーカスになった部分も量感を伴います。その場の湿度が高ければ、そのように写りますし、空気の純度も写ります。


LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA

LEICA SL(typ 601), SUMMICRON-SL 35 f/2 ASPH., Photo by TA


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心に、手に、染み込む1本

昔の話になりますが、1年半もの間ずっと、35mm単焦点1本でありとあらゆるものを撮っていた時期がありました。それしか買えなかったからという理由もあるのですが、その35mmの描写が好きで好きで、とっておきの35mmだったのです。このズミクロンを使っていて、ふと昔のことを思い出しました。今ならこのズミクロンを選ぶだろうなと。ミクロなレベルでの階調が豊かで、細部が浮き上がってくるような立体感を持ったリアリティのある画。朧げな光は朧げに、風景やスナップなどではマイクロコントラストが高いがゆえの凄まじい解像感に痺れる。かと思えば、郷愁を誘う写りに「へえ」と唸らされる。ちょっと底が見えないくらいの味わい深いレンズでした。これほどまでに至高の写りをするレンズですが、ありがたいことにAFが使え、おまけに持ち出しやすいサイズ感で軽い。そのうえライカレンズとしてはお求めやすい価格と、少々出来過ぎた話ですが、本レンズこそ「使い倒す」が正しいあり方のように思います。SLのカメラはずしっとした塊感があって、この剛性感がたまらず好きなのですが少々重い。でもマウントするのが本レンズであれば、長時間にわたる撮影でも何の問題も無いでしょう。何気なく撮ったカットにも説得力をもたらしてくれる1本です。いろんなものにレンズを向けてみてください。きっと楽しいですよ。

( 2023.03.31 )

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至高の写りをするライカLマウント用ズミクロンレンズ。AFが使え、軽くて小さい1本。そしてこのお値段。少々出来過ぎた話ですが、本レンズこそ「使い倒す」が正しいあり方のように思います。

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ライカSL2とのセット販売もあります。

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こちらはライカSL2-Sとのセット。ライカボディとレンズがセットで3桁いかないとはこれやいかに。描写は一味も二味も違いますよ。

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