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Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC

コシナ・フォクトレンダーのVintage Line、NOKTON 50mm F1.5がまさかのリニューアル。VMマウントとしては2代目にあたりますが、1999年のLマウントモデルから見れば20年を経た再設計となります。レンズ構成は5群6枚から7群8枚へ、絞り羽根は10枚から12枚へと贅沢に進化を遂げながらもサイズはコンパクトになり、常用しやすい大口径レンズとなりました。驚くべきはそのバリエーションで、レンズコーティングにシングルコーティングとマルチコーティングの2種類、外装にシルバー(アルミ)・ブラック(アルミ)・ニッケルメッキ&ブラックペイント(真鍮)の3種類と、選択肢はなんと6種類。こうしたマニアックな製品を生み出してくれるのがコシナ社の凄さですね。本記事ではマルチコーティングのモデルを装着して、その写りと使い勝手を確かめてみたいと思います。

( Photography & Text : Serow )

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

さっそく開放で撮り歩いてみましょう。現代レンズでは得難い描写こそが本レンズに期待するものですが、近距離の被写体を狙えばすぐに特徴的な画が撮れました。肉眼にはない被写界深度で被写体の輪郭が失われていくさまが、大胆なタッチで描かれる絵画のようです。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

ピントは同様の距離ですが少し背景に空間が入り奥行きが生まれました。石を敷き詰めたような床面などボケの傾向がわかりやすいと思います。ズドンと落ちる周辺光量も期待通り。オールドレンズを思わせる雰囲気とはいえ「やりすぎ」という感じではなく、実にいい塩梅です。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

最短撮影距離 70cmです。ここまでくると絵作りがちょっと難しいレベルで、どうにもよくわからない写真になってしまいました。ピント位置だけでなく背景に何をどのように持ってくるかということがポイントになりますね。


Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

少し絞れば画も一気に変わります。F4まで絞ったものですが、画面全体で描写が整い周辺光量落ちも解消。この写真では樹木そのものが主役という印象になるのですが、F1.5まで開けて撮れば中央の樹皮に目線が行き、枝が背景化していきます。開放の描写が個性的ということもあって絞りによる表現の変化がわかりやすく、使っていてシンプルに面白いですね。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

絞って使えばクリアでシャープ。このあたりの使いやすさがフォクトレンダー・ヴィンテージラインの魅力でしょう。マルチコーティングということで光の条件に神経質になることもなく、色乗りもコントラストも良好です。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

ご覧の通り、画面に強烈な光が入っても粘ります。クラシックな写りを望めばシングルコーティングになるのでしょうが、気楽に使えるのはマルチコーティングという感じでしょうか。悩ましい選択になります。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow


Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

焦点距離50mmのレンズで人物などを画面に入れるとき、被写体との距離は5m〜10mくらいになると思います。このあたりの被写体を際立たせてくれるのが大口径レンズの楽しみで、本レンズも期待通りです。ボケの傾向は同様ですが被写体と距離があることでマイルドになり、自然に目線を誘導してくれます。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

ピント位置をシャープに描きながら、ゆるやかに形を失っていく背景。絞れば端正になりますがカリカリというイメージではなく、やさしくその場の光を写し取ってくれる印象です。レンズとともに目線もゆるやかになるのでしょうか。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow

明るいレンズなので夜のスナップも捗ります。ノクトンの名にふさわしく夜の街にでかけ、シャッターを切りましょう。粘り強く豊かな階調で闇を捉えてくれます。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical II VM MC, Photo by Serow


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オールドレンズの味わいを現代的に楽しむ

ライカを手にすれば覗きたくなるオールドレンズの世界。しかしレンズ選びの手がかりも少なければ中古市場で程度のいいレンズを見つけることも難しく、手にして撮影したところでその写りが本来のものなのかわからない。そのような方にふさわしい選択肢がコシナのヴィンテージラインだと思います。新品で買えるから状態に不安がなく、それでいてオールドレンズのような世界を味わうことができる。本レンズ NOKTON 50mm F1.5 はその描写傾向もわかりやすく、レンズグルメの入り口にぴったりです。ここから始めてレンズ描写の面白さを感じ「もっとグルグルしたい」とか「もっとホワホワがいい」とか言いながら沼に入り込んでいけばいいわけですし、既にレンズグルメの方ならコンパクトに常用できる大口径50mmレンズとして防湿庫に追加いただいても何ら問題ありません。あとはコーティングの違いになりますが、実用的に楽しむならマルチコーティングが安心といったイメージでしょうか。こうした選択肢を用意してくれるメーカーの熱意に応えるのは、私たち消費者の責任です。

( 2021.02.01 )

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真鍮にニッケルメッキとブラックペイントという個性的な一品。ずしりと手に重く、満足感ある仕上がりです。選択肢の筆頭にどうぞ。

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実用性を考えるなら軽量なアルミが美しい。ボディに合わせたカラーをお選びいただけます。

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こちらはアルミのブラック。カラー違いも欲しくなったら、シングルコーティングでお選びいただくと楽しいと思いますよ。

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フードはオプションです。金属製でしっかりとした丸形フード、レンズ保護の観点からもおすすめいたします。

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