PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

LEICA SL2-S / SHOOTING REPORT

2020年末に発表会レポートでお届けしました(記事はこちら)LEICA SL2-Sを早速試してみました。SL2の約4700万画素と比べて、SL2-Sは約2400万画素で半分程度の画素数となります。初代であるLEICA SLとおおよそ同じ画素数ですが、SL2-Sは裏面照射型のセンサーを搭載。ライカ自身がアナウンスするとおり、スチル・映像の両分野において、またそれぞれの撮影・収録シーンにおいても、いろいろな意味でオールマイティなカメラとしての仕上がりが想像されます。初代のSLを愛用していますが、SL2で一気に「いいなあ」と思わされるアップデートがありました。5軸のセンサーシフト式手ブレ補正、見えのよくなったファインダーに液晶ディスプレイ、AF性能の各種アップ、刷新されたユーザーインターフェイスなど、まさに「底上げ」といった内容です。そのSL2をベースとしているのがSL2-Sですが、旧来のSLを愛用している私にはかえってSL2-Sのほうが気になります。ある意味ライカの思惑どおりなのでしょう。さて、実際の使い心地と写りはどうでしょうか。ざっと作例を並べてみたいと思います。

( Photography & Text : K )

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

驚くほど初代とよく似た画

テスト機には標準ズームがマウントされていたのですが、役得(?)と申しますか、日頃初代SLにマウントしっぱなしのM型用50mmをSL2-Sにもマウントして撮り比べてみました。作例撮影で一杯で、しかも個人的な興味であるため1カットしか撮っていません。したがってここに掲載できるような内容のものではありませんが、見比べてみるとセンサーそのものが大きく違うのにここまで似るの?と驚きました。初代のSLは色味に若干クセがあります。厳密にはホワイトバランスのレベルで、それもRAWで撮影して処理すればSL2-Sと見比べてもほぼ違いはわからないかも。解像の傾向といい、その力といい、ソックリです。若干SL2-Sのほうが階調の再現幅が拡がっているような印象で、結果としてコントラストも増している気はしますが、これもRAWで撮影したものであれば調整でわからなくなってしまう程度です。初代SLの登場が2015年でしたが、その写りに突き抜けたものを当時感じました。こうして2021年になって手にしているSL2-Sの画を見比べて、当時感じた理由はこれかと1人で納得。初代より少しニュートラルになって相変わらずな写りのよさ、SL2で一気に上がった利便性をそっくり引き継いだ1台、完全にスチル目線ですが欲しくなるなあこれは。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

赤の発色はどんなカメラでもそう簡単ではないと思います。特に輝度差があるとなかなか大変なのですが、よく現車の雰囲気が再現されています。ドライカーボンの上に赤のペイントを載せているため少し墨を感じる赤色なのですが、本当によく再現されています。抜き文字でカーボン地を利用したロゴ部分を見ると、ペイントの盛り、カーボンの目地をきっちり描く解像力の高さが素晴らしいです。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

初代もそうですが、少し画作りとしては硬い方向にあると思います。これは単にドイツと日本の土地柄の違いなのかなあと個人的には思っています。ドイツに持っていってその地の光で撮るとしっくり来るんですよね。ただ日本で撮影していても調整できる範囲内の話です。そもそもの光の角度などはその土地特有のもので、そのあたりの違いなのかなあと思います。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

カメラそのものの解像力が高いことに加えて、このレンズも呆れるほどなのです。F8まで試しに絞り込んでみましたがご覧のとおりです。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

とはいえ、風で巻き上げられたテント地の広告を見るとキレて硬いだけではないのです。


シーンを選ばない懐の深さ

35mmフルサイズセンサー、2400万画素というのは本当によい落としどころなのかもしれません。映像収録で4Kといっても800万画素程度です。あまり高画素になると処理負荷が高くなり現実的なメリットがなくなってしまいます。スチルであれば、みなさんもよくご存じの塩梅です。よほど突き抜けた用途でなければ十二分な画素数です。高感度特性やデータのハンドリング、画そのものと、本当によいバランスだと思います。街の景色から少し離れた画を撮ってみました。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

あまり光のない状況でしたが、立体的な写りです。ややこしくて申し訳ないのですが、1つ上の和室の写真を見るも、初代SLからの進化としてハイライトもシャドーも一枚上な表現力になったと感じます。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

森の中のおぼつかない光でしたが、締まりのない写りではなく、その場の光の状況をきちんと再現してくれます。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

雪道の具合から思いついてシャッターを切ったのですが、このカメラは画作りの雰囲気からしてもドキュメンタリーなども相性がよいと思います。初代に比べるとボディの使い勝手が格段に上がり、たとえばAFの測距点なども大幅に増えました。このあたりが大変ありがたいですね。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

大変解像力の高いカメラであり、交換レンズ群も素晴らしい描写力を持つラインアップでいつの間にか充実してきました。風景撮影などでも存分に力を発揮してくれることでしょう。


LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

再び街撮りで。ライカと言えばスナップといったイメージがありますが、M型とは比べられないほど大きなボディですが不思議と気になりません。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

初代SLもアンダー気味の画がいいなあと思っていましたが、SL2-Sも同じく。ただどちらもハイキー気味が苦手というわけではありませんが。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

立体的な写りに感心します。テレ端に向かってF値が可変しますが(F2.8-4)、テレ端が90mmというのが使いでがあって重宝します。このボディにこの1本でかなりのシーンを押さえられると思います。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K

コントラストの高いシーンですが、ハイエストライトからディープシャドーまでかなりの包容力。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMARIT-SL f2.8-4/28-90mm ASPH., Photo by K


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堪えられない「道具感」

ミラーレスカメラですが闇雲にコンパクトで軽いものではなく、ガッチリとして剛性感のあるボディ。一眼レフカメラがデジタル時代に突入して年々大きくなりましたが、その反動でとにかく単に小さく・・というアプローチではないのでしょう。小柄な方には少し大きさを感じるかもしれませんが、ライカが考える撮るための道具のサイズなのでしょう。このあたりは店頭で実際に手にしてみることをおすすめします。他を見慣れると最初は少し大きいのかなという印象を持つかもしれませんが、しっくりくるものがあります。ともかくキッチリと仕事をこなしてくれそうな、手にしての安心感があります。ガシガシに撮り込んでそれに応えてくれるボディに一家言ある画、一度手にすると離れられない魅力があります。

SL2で作り込まれたボディの使い勝手に、映像収録の機能はかなりのものが注ぎ込まれました。C4K 60pでの収録を可能としてHDMI出力で4:2:2 / 10bitを実現しています(SDカードでは4:2:0 / 8bit)。今後のファームアップで4K 60p H.265 10bit HEVC、波形モニター表示、オートフォローフォーカスなどにも対応する予定であり、写真と映像の垣根を越えるカメラとして十分な機能が実装されています。写真の方は相変わらずの画のよさに熟成も感じられ「これ1台で」と目論む人には魅力的なカメラに仕上がっています。

私自身が初代のライカSLのオーナーであることから、なにやらSL2-Sが初代の後継機のような文面になってしまいましたが、直接的な後継機はSL2です。初代SLに入れ込んで使ってきたオーナーにとって、SL2-Sはおすすめでしょう。またSL2ほどの画素数は目的に照らして必要を感じない場合、SL2-Sはよいチョイスだと思います。手にして嬉しい、そして様々なシーンできっちり応えてくれる道具として撮り手を支えてくれると思います。

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ロゴは白いペイントを抜くだけではなく、わざわざ黒のペイントを入れているそうです。実際何度もM型ライカでロゴの色を抜きましたが、メーカーが最初からやってくるのは面白い(笑)ゴリゴリに使ってくれというメッセージなのでしょう。

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初代SLのUIは慣れるとシンプルで確かに使いやすいのですが、SL2から最新のM型に似たUIに刷新。時の流れとともにカメラもかなり高機能化しているため、妥当な処置だと思います。実際に使いやすい印象で、初代オーナーとしては羨ましいところ。

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( 2021.01.21 )

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裏面照射型の24MP CMOSセンサーを採用し、高感度性能とダイナミックレンジの向上を実現した1台。写真撮影だけでなく動画撮影にも最適なボディです。

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スペアバッテリーは必須アイテム。SL2/SL2-Sのほか、初代SLやQ2でも共用いただけます。

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今回のレビューで使用しました標準ズームレンズです。かなり値の張る1本ですが、ご覧の通り妥協の一切ない写りを手に入れられます。

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まずは50mmからという方にはこちらのレンズを。

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