PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA Q3, Photo by TA

LEICA Q3 / SHOOTING REPORT

ライカQの鮮烈なデビューから8年、3代目となる「LEICA Q3」が登場しました。初代Qは有効2,420万画素でしたが、Q2になり4,730万画素に。そしてQ3では裏面照射型の6,030万画素とさらに画素が積み増しされました。画像処理エンジンには最新の「LEICA MAESTRO IV」を搭載し、ライカM11と同様、ファイルサイズを60Mp/36Mp/18MPから選べるようになっています。また、従来のコントラストAFに新たに像面位相差AFが加わりAF面も強化されました。操作系においては背面液晶モニターがチルト式となったほか、ボタン配置などUIの向上によって、より自由に、より直感的なハンドリングが可能となっています。動画方面でも8K動画を記録できるようになっただけでなく、H.265やApple ProResといった高品質・高効率圧縮に対応させるなど、今の時代に必要な機能を載せられるだけ載せてきた印象です。いまやライカの看板機種となったQシリーズですが、いつも以上の力の入れように否応なく期待も高まります。リリースにあたって、オンライン発表会やタッチ&トライも開催されました。「オンライン発表会の様子」も先日レポートしておりますので、レビューと併せてご覧ください。

( Photography & Text : TA )

LEICA Q3, Photo by TA

まずはフル画角である28mmの写りから見ていきましょう。28mmならではのライブ感を出すため、完全に足を止めずに撮影しています。開放F1.7からここまで写るレンズの頼もしさはもちろんですが、有効6,030万画素ともなると、否応なく被写体のディテールはもちろん質感まで捉え伝えてきます。髪の毛の1本1本、混麻であることがわかるジャケット、ショルダーバッグの革の質感まで。反面、ピントやブレにはシビアになりますが、刷新されたAFが素早くしっかりと被写体を捉え、光学手ブレ補正が良い仕事をしてくれました。凄まじい写りと軽快さの両立。これがQ3のポテンシャルかと、のっけから思い知らされました。

LEICA Q3, Photo by TA

草花を撮るにはベストとは言えない硬いトップライトではありましたが、ご覧の通りの画力に唸ってしまいました。曖昧さは微塵も感じさせないにもかかわらず、エッジが立ってカリカリした印象になるようなこともありません。像もよく分離するのですが、どこか丸みを感じる描写で、それが艶めかしさに拍車をかけるのでしょう。色再現性も、被写体により忠実になった印象です。

LEICA Q3, Photo by TA

梅雨時特有の少しどんよりとした空の表情を捉えたかったので露出を切り詰め気味に撮影しています。黒く潰れてしまうと単なるシルエットになってしまいますが、締まりが無いとこれまたなんだかなといったシチュエーション。露出を極端にアンダーに振っても、どこまでも光を拾い上げてくれるので、こんな表現も可能です。

LEICA Q3, Photo by TA

「何これ」と、思わず心の声が口からこぼれ出てしまったカット。こちらも露出を切り詰めていますが、電車の下を走る車の反射光が高架に映し出されている様子を克明に描いています。僅かな光の量の違いを丹念に描き分けるので、コントラスト、トーンだけで画が成り立ちます。モノクロで撮ってみるのも面白そうですね。

LEICA Q3, Photo by TA


LEICA Q3, Photo by TA

画角がもたらす印象の違いを愉しむ

クロップすることでズーム的な効果を得ることができるLEICA Qシリーズですが、Q3では新たに90mm相当までクロップ出来るようになりました。有効画素全て、レンズの隅々まで活かしたくなるカメラではありますが、クロップ機能があると確かに便利なのです。足ズームが叶わない場面は確実にありますし、それぞれの画角ならではの表現もあるわけです。こちらは90mm相当。JPEGサイズは長辺2,960の短辺1,968ピクセル。画素数は約600万画素程度になりますが、WEB上での鑑賞はもちろん、A3ノビくらいまではプリントしても何ら問題ありません。それにしてもこの写り、十分というよりむしろ凄いでしょう?クロップ機能を利用して撮影する際、28mm画角の画面上にブライトフレームが表示されるのみとなります。90mmともなると大きめのAFポイント枠ほどの小さな枠になるので、フレーミングのあたりをつけることはできるけれど、枠内の詳細まではファインダー上で視認できていないのが実情です。ですからクロップで描き出されたJPEGを確認してビックリ。このサプライズは、最早ひとつのエンターテインメントでしょう。

LEICA Q3, Photo by TA

50mm相当。JPEGサイズは長辺5,328の短辺3,552ピクセル。画素数は約1,900万画素。少し離れた花壇に咲く花も、クロップ機能で簡単に引き寄せることができます。

LEICA Q3, Photo by TA

フル画角の28mm。ひとつ前のカットから5mと離れていない場所で撮影していますが、印象が変わってこちらもまた良いでしょう?90mm相当まで実用レベル以上ですから5本の単焦点レンズを持ち歩いているようなもので、画にバリエーションが生まれます。クロップを利用する際、RAWデータにクロップ情報が書き込まれる仕組みになっています。JPEGは撮影時に選択した画角で記録されていますが、RAWデータはフル画角の画像情報を持っているので編集の際に戻すことも可能です。画角をその場で最終決定するJPEGと、後で選べるRAWが同時に記録できるというのはやはり面白く、M型ライカやSLとは異なるアプローチを可能にしてくれます。

LEICA Q3, Photo by TA

75mm相当。JPEGサイズは長辺3,552の短辺2,368ピクセル。画素数は約800万画素。90mmほどではありませんが、望遠ならではの切り取り感は十分に楽しめます。

LEICA Q3, Photo by TA

50mm相当。クロップしている上にISO感度は1600まで上げるという不利な状況ではありますが、それを微塵も感じさせない写りです。身近な被写体を日常的な距離感を保って捉えたいときやパースを強調させたくない時など、クロップを利用すると収まりが良くなります。

LEICA Q3, Photo by TA

35mm相当。シャッタースピードは1/15。雨の落ちる夜の撮影でもこの通りです。強力な光学手ブレ補正のおかげで、高画素機でも撮影シーンや時間を気にすることなく、気軽に振り回すことができました。左手には傘を持った状態で右手のみで撮影していますが、流したり止めたりと自在に操ることが可能です。


LEICA Q3, Photo by TA

トップの花のカットはマクロモードを利用せず、通常モードの最短付近(0.3m)で撮影したものです。それでも十分寄れるのですが、そこからさらに被写体に迫り、本格的なマクロ撮影もできるのは心強いです。また、75mmや90mmの望遠クロップ時はテレマクロ的な撮影も楽しめます。ただでさえマルチプレイヤーなシリーズでしたが、Q3になってその度合いが一層増しました。

LEICA Q3, Photo by TA

紡ぎ出される画力に、ずっと背筋がゾクゾクしているという経験は久しぶりでした。絞り込んでも描写の傾向は変わらない印象です。いわゆるカリカリと呼ばれるものや平面的な写りとは一線を画し、それぞれの立体物がどんな立体であるのかが良くわかる写りです。

LEICA Q3は、8K動画を記録できるようになったほか、高効率圧縮のH.265やApple ProResにも対応しています。撮影で主に使用したモードはDCI8K/4:2:0/300Mbps。90mm画角(クロップ撮影)など織り交ぜつつ、全編手持ちでの撮影です。帰宅してから撮影した映像を確認していたのですが、8K対応モニターで確認するまでもなく、まあ良く写るものだと感心しました。逆光性能も高く、録音音質も必要十分でしょう。身軽で気軽に手軽に美しい映像が撮れるので、映像入門ライカとしてもお勧めします。確かに贅沢ですが、持つ喜びまで叶えてくれるカメラは多くはありません。


PHOTO YODOBASHI

外観のデザインは初代Qから踏襲されているライカらしいスタイル。ラウンドした側面も継承されています。機能とデザインが何の引っかかりもなく結びついている。洗練とはこういうことを言うのでしょう。

  • PHOTO YODOBASHIレリーズボタンが装着できるようになったことや、背面がチルト式になったことによりごく僅かに厚みは増しましたが、Q2と並べても正面から見ると見分けがつかないほどです。また、チルト式の液晶モニターを採用していますが、ライカQ2と同等の防塵・防滴性能は確保されています。
  • PHOTO YODOBASHI液晶モニターは高精細3.0型のタッチパネル液晶で、初めて上下チルトに対応しました。解像度も約184万ドットにアップ。操作系UIにもいくつか変更点があり、左手側に配置されていたボタン(PLAY/FN/MENU)は、右手で操作が完結するよう移設されました。
  • PHOTO YODOBASHI有機ELのEVF解像度は576万ドットにアップ。より見やすく、MFでのピントの見極めも気持ちよくできます。
  • PHOTO YODOBASHI2つのFNボタンはモニター上に配置されています。それぞれのボタンの高さを変えてあり、押し間違いのないよう配慮されています。
  • PHOTO YODOBASHIサイズ規格は同一になりますが、付属するバッテリーは大容量化した「BP-SCL6」に変更されています。別売りのハンドグリップを装着すれば、ワイヤレス充電も可能です。
  • PHOTO YODOBASHI左手側面にUSB-C端子、HDMI端子が新たに追加されています。ジンバルやモバイルバッテリー、外部ディスプレイレコーダーなどとも接続可能になっています。

ライカらしさはそのままに、より真に迫る写りに

ライカQシリーズもいよいよ6,000万画素クラスになり、現実の世界よりもシリアスに写るんじゃないかという凄まじい描写の連続でした。夏の入り特有の空気の重さがそのまま写りますし、人々の息づかいまで写し込みます。「真に迫る写り」とはまさしく、このような写りのことを言うのではないかと思います。反面、レンズを付け替えて写りの雰囲気を変えるファンタジー的要素は期待できません。この凄まじいほどに艶かしい写りのまま、90mmまで飛ばしていくわけです。これは、M型やSLシリーズとは違った、気持ちの良い緊張感をもたらしてくれます。ありのままが写りますし、あるがままを写します。なんとなく撮っても、そのなんとなくが写ってしまいます。つまりは、もう一歩踏みこんで撮れと言われているようで、そうやって被写体と対峙する楽しさを久しぶりに感じたカメラでした。ボディは買えてもレンズ代が捻出できない。そんな心配は無用です。この1台で「ライカ」が完成するのですから。

( 2023.07.13 )

Loading..
Loading..

ようこそ。あなたも赤いバッジの仲間入りです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ライカQ3専用の充電式リチウムイオン電池。バッテリー容量が増加しました。スチル用途でしたら従来のバッテリーもお使いいただけます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ハンドグリップ装着時に「ライカQ3」のワイヤレス充電機能が有効になります。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

「ハンドグリップHG-DC1」を装着した状態で使用可能な充電パッドです。「リチウムイオン バッテリー(BP-SCL6)」の場合、約180分でフル充電が完了します。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ブラック、ブラス、シルバーからお選びいただけます。ブラックとシルバーはアルミニウム製。ブラスは真鍮製。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ブラック、ブラス、シルバーからお選びいただけます。ブラックとシルバーはアルミニウム製。ブラスは真鍮製。Qシリーズのカメラなら使用可能です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ホットシューに装着することで、ホールド感を向上させます。特に撮影中や片手でホールドする時に、カメラを安定した状態で操作できるだけでなく、手ブレを抑えることでより長い露光時間を可能にします。ブラックとシルバーはアルミニウム製。ブラスは真鍮製。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

天然なめし革を使用したプロテクター。カメラの保護に。ブラック、コニャック、オリーブグリーンをご用意。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ブラック、ブラス、シルバーからお選びいただけます。ブラックとシルバーはアルミニウム製。ブラスは真鍮製。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ブラック、ブラス、シルバーからお選びいただけます。ブラックとシルバーはアルミニウム製。ブラスは真鍮製。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..