PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH./POWER O.I.S.

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ノクチクロン。往年のライカユーザーからすると俄に信じがたい噂のレンズでしたが、ほんとうに登場しました。ライカのレンズはF2.0のズミクロン、F1.4のズミルックス、現行F0.95のノクチルックスがありますが、F1.2ということで間を取ったネーミングというわけです。レンズの外観はまさにノクチルックスを彷彿とさせるもので、金属のフードもついた重厚な仕上がり。35mmフルサイズやAPS-Cに比べると被写界深度の深いマイクロフォーサーズにおいて、この上なく大きなボケを楽しめるAF大口径レンズになります。焦点距離は42.5mmということで画角は中望遠、35mm判換算で85mm相当になりますから、標準ズームレンズのテレ端あたりをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。手ぶれ補正も効いてAFが使える大口径ということで、必殺の一本になるのでしょうか。なるべく絞りを開いて撮影して参りましたので、兎にも角にもその写りをご覧いただくとしましょう。

( Photography & Text : 48 )

大口径レンズならではの立体感ですよね。距離が遠くなるにつれてボケも少なくなるものですが、F1.2という明るさゆえに近距離でなくともピントが浅く、被写体を浮き立たせるように描いてくれます。3m〜5mくらいが美味しい距離ではないかと思いますが、10mオーバーの距離でもピントが際立つのが本レンズの魅力。ピントを置いた位置に自然と視線を誘導してくれますから、撮り手の目線がそのまま伝わる写真になるのでしょう。

絞りに寄るボケの違いをご覧いただくとしましょう。F2.8の画ですが、クリックする毎にF1.2の画と切り替わります。少し絞るとシャープネスが増して周辺減光もなくなり、端正な写りになります。一方開放では周辺減光や若干の甘さがドラマティックな写りを演出してくれますよね。どちらの描写がお好みでしょうか。

砂粒ひとつひとつにボケ具合がよくわかります。大きなぐるぐるボケはありませんが、現行レンズにぐるぐるを期待するというのもまあ・・・アレですね。


この立体感です。絞ればアッサリ写るのですが、開放では周辺減光のおかげもあって艶かしい雰囲気に。周辺減光補正はオフをおすすめいたします。

最短撮影距離は50cmですので、かなり寄れます。本来もう少し絞るべきですが、作例ということで開放にて。手元の料理を撮影するには少し離れなければいけませんが、パースもあまりつかずに物の形をきちんと捉えてくれます。テーブルフォトにも積極的にどうぞ。


直線も歪みなく、開放でも隅々まで使える性能です。どうということはない風景なのですが、自然なボケ具合ですよね。なんとなく、フイルムを使っていた頃の写りを思い出すカットになりました。

大口径レンズのピントはシビアです。MFの使い勝手も良好ですが、AFが使えるのはやはり実戦的ですね。レンズ側のスイッチひとつでMFにできるので、AFで合わせてからMFにして微調整や置きピンなど、状況に応じた使いかたができました。

開放ばかりで使ってしまいましたが本レンズ、解像力も抜群です。GX7との組み合わせで使用した限りではF2.8ほどで隅々まで鮮鋭な描写が得られ、以降は被写界深度を得るために絞る、といった印象を持ちました。光量の落ちてきた時間帯でもきっちりと光景を残してくれることでしょう。

夜はもちろんノクチクロンの出番です。昼間のようにスナップができる明るさですから感度をむやみに上げる必要もありません。もちろん現行ボディは高感度の画質も良好ですから、夜でもシャッタースピードを稼げるというわけですね。写真撮影は、驚くほど自由になりました。


このレンズでなければ、写せない世界がある。

思い出してください。キットのズームレンズから明るい単焦点レンズに持ち替えて、その描写に驚いた日のことを。「あんなふうに撮りたい」と思っていた写真が自分でも撮れるようになって、やがて「もっと明るいレンズなら、どう写るのだろう」と思いはじめます。大口径レンズへの渇望は留まることを知らず、F2.8を持てばF2のレンズが、F2を持てばF1.4のレンズが欲しくなるもの。それは誠に "健全" なのですが、一度究極まで辿り着かなければ醒めないのがこの欲求の厄介なところです。

本レンズは、そんな欲求に応えるにはぴったりの1本でしょう。1/8000のシャッタースピードが使えることもあってGX7との組み合わせでは、日中から積極的に絞りを開いて使うことができました。これだけの明るさ・焦点距離のレンズですから、ある程度距離を持った被写体でも絞りのコントロールによる表現の違いを楽しむことができます。当然ピントの薄さによる難しさはありますが、手ぶれ補正やAFの搭載もあって、大口径レンズとしては大変フレンドリーに使えました。大きさや重さについても過剰さはなく、毎日積極的に使えるし、むしろ毎日でも使って欲しいレンズです。いつもの風景、穏やかな日常、子どもたちの笑顔。その瞬間が1度きりであることを考えれば、レンズへの投資は決して高いものではないと思うのです。

マイクロフォーサーズボディを主力にしている方なら、一度は手にしてみたい1本ではないでしょうか。
明るいレンズでなければ得られない世界が、確かにあります。

( 2014.02.01 )

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安い買い物ではありません。とはいえ本家NOCTILUXに比べればリーズナブル?! マイクロフォーサーズユーザ垂涎の1本です。

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大事なレンズです。保護フィルターは最高級品をどうぞ。

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絞り3段分を減光できるNDフィルター。太陽の下でも絞りを開きたい開放マニアの紳士・淑女に。

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