OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

フルサイズ換算すると150-600mm相当というとてつもない焦点距離までズームします。これはもう特殊レンズと言ってもいいでしょう。しかも重さわずか430gでその距離を狙えてしまうのですから、恐るべしマイクロフォーサーズ。手持ちで楽々切り込んでいくことができます。EDレンズなのどの贅沢な硝材を注ぎ込んでいるとあって、描写は極めて良好。さすがに怒涛の望遠側になるとやや甘さも感じられますが、それはあくまでもワイド端の解像力と比べてのこと。最長600mmという画角を考えればまったくもって十分なクォリティでしょう。とにかく面白いように引き寄せられますから、ぜひ手にして欲しい1本なのであります。

( Photography : M.Ito / Text : KIMURAX )

ピント面では、椅子そして周辺の床の傷まで細やかに描き込んでおり、テレ端で開放からなかなかのシャープネス。ずいぶんと輝きを失ったダーク系の床タイルですが、鈍く映り込んだ空の青味を丁寧に拾っているのがわかります。無機質なマテリアルが占める画の中に、間接的ではありますが自然の差し色が入るだけで印象はぐっと変わるものですね。

大型ジェット旅客機の足元ですが、タイヤネームまでしっかりと解像。金属パーツ１つ１つの質感から木製の輪留めの細部に至るまで、見事に再現されており、間近で見ているようなリアリティがあります。

テレ側の開放値はかなり暗めですが、シャドーもしっかり粘っています。データ上、肩から脇腹にかけての作業服の皺も捉えており、コンパクトなレンズながらテレ端でよくぞここまで解像してくれるものとだなぁと感心しきりです。

よく写るレンズほど、こんなシチュエーションではローキーに振って、細部を出したくなってしまうものですが、あえて素のままで。まばゆいばかりの照り返しに、まだ目が慣れていない視界を再現したような仕上がり。力んでいない感じが、よく出ています。