OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

オリンパスのフラッグシップ一眼となるE-M1の誕生に併せ、満を持して投入されたハイエンド・大口径標準ズームレンズです。E-M1と同様に、防塵・防滴に加え耐低温性能を備え、光学系には高価な硝材や非球面レンズなどを惜しげも無く投入しているという意欲作。シビアなプロユースに応えられる高性能レンズである証、"PRO"の文字をその名に刻んでいます。ズーム全域でF2.8通し、35mm判換算で24-80mm相当の画角をカバー。絞りを開いて撮影すれば、シャープな画で被写体の輪郭をしっかりと捉え、程よいボケ味を伴ってフォーカス部を浮かび上がらせます。ズーム全域にて最短撮影距離は20cmという特徴を利用すれば、広角マクロ的な表現も可能。歪曲収差はワイド端でわずかに感じるものの、総じてよく抑えられています。間髪いれずに合焦するAFは至って静か。フォーカスリングを手前に引くと瞬時にMFに切り替えられるようになっており、マニュアル好きには嬉しい限りでしょう。鏡胴は高級感のあるアルミ削り出しで、ローレット加工されたズームリングやフォーカスリングがしっくりと手に馴染みます。造りから描写性能に至るまで、まさに"隙がない"という仕上がりで、一度手にすればカメラボディにつけっぱなしの常用レンズとして大活躍すること請け合いです。

( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )

変色しきった南京錠の冷たさや、錆びたリングのザラザラ感までも伝わってくるような緻密さ。絞り開放から気持ちのよい描写で決めてくれるものです。周辺落ちはあるものの、こういったシチュエーションではいい味を醸し出してくれています。センサーサイズ的にも大きなボケは期待できませんが、絞りを調整しながら表現をコントロールできるのは楽しいもの。腕が鳴りますね。

蝶の鱗粉（りんぷん）までもがしっかりと見えてきそうな解像感。ボケ味は距離などによって若干硬めに出るときもありますが、これはこれでいいアクセントになってくれています。

実に自然なコントラストです。光をうまく捉えてくれるレンズだなと感じました。ヌケもいいですし。カメラ側の性能を差し引いても、なかなかのリアリティです。

絞って、ワイド端にて撮影。24mm相当となるパースペクティブですから扱いやすいですね。ガラスへの映り込みから構造体が描き出すラインまで、繊細に解像しているのがわかります。シャドーの粘りも申し分無しです。寄ってよし、引いてよしの使い勝手に富んだ１本。さすがPROシリーズと銘打つに相応しい描写に感心させられました。