TAMRON 150-600mm F5-6.3 VC USD Model A011

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンFマウントでFXフォーマットに対応した超望遠ズームレンズのレビューをお届けします。なんと600mmまで届くズーム域を有しながら、長さ257.8mm、重さ1951gという驚くべきコンパクトさを実現。ちょっと頑張れば普段使いのレンズとしてもいけちゃいそうなサイズ感に感心させられるばかりです。もちろんサイズだけに拘って作られているわけではなく、いい画を生み出すための技術も惜しみなく投入。手ブレ補正機構「VC」及び超音波モーター「USD」の搭載や最新のコーティングによって、あらゆるシチュエーションでの高画質を約束してくれる、大変優秀なレンズに仕上がっています。ズームレンズで600mmまで届くというのは実は貴重な存在。しかも150mmまで引けるわけですから、同じポジションに居ながらにして、あらゆるバリエーションの作画が指先一つで出来てしまいます。そんな便利かつ高画質な本レンズの実力のほどを確かめていただけるよう、様々なシチュエーションの作例を取り揃えました。どうぞご覧ください。

( Photography : A.Inden, T.Nakanishi / Text : T.Nakanishi )

焦点距離が350mm付近での撮影です。雑然とした画面を整理するのに、望遠レンズの圧縮効果は非常に重宝するもの。しかし、これほどの圧縮感でも、このレンズでいうとまだまだ中間域なことに驚かされます。

最短撮影距離は2.7mというスペックですが、焦点距離の長さを活かして寄り系の画もお手の物。質感やトーンの描き方も好印象です。

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ワイド端、開放の画をご覧いただきましょう。ピントを置いた房の産毛まで見事にシャープに描きながら、背景のボケも美しく表現しています。また、タムロン独自の「eBANDコーティング」の恩恵でしょう、逆光であってもゴーストやフレアは見受けらず、シャープな画を生み出しています。

朝霧に煙る丘にトラクターがポツンと一台。とてもフォトジェニックなシーンです。そこで、遠景を圧縮した時のメリハリ感はいかがなものかと試みてみました。結果はご覧のとおり。コントラストも十分で、霧に霞む丘の陰影を情感豊かに描いてくれました。

いよいよテレ端600mmの画になります。丘をいくつも超えた先で作業をしているトラクターを、前景にヒマワリのボケを配して撮影。トラクターの動きが思いのほか速かったので、手持ちで狙いました。600mmという焦点距離を手持ちで手ブレ無く撮れるなんて、本当にいい時代になりましたね。

こちらもテレ端での撮影です。運動会などで、我が子だけにフォーカスしたいことってありますよね。このレンズなら大丈夫。前後から主役だけをしっかりと分離して描いてくれます。

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テレ端の画が続きます。そっとその場の空気感を持ち帰るような撮影に、600mmという焦点距離はとても有効なんだなあと気づかされます。

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さて、ワイド端からテレ端まで様々な作例をご覧いただきましたが、いかがだったでしょうか。いわゆる標準ズームと比べてしまうと確かに大きいレンズではありますが、150mmから600mmまでをカバーするズームレンズということを考えればそのコンパクトさは驚くべきものです。これほど遠くまで届くレンズが手持ちで振り回せるということはある意味革命的。これまで撮り逃していた被写体を捉えるチャンスが俄然増える予感がします。しかも、画質に関しては最新のレンズらしさを十二分に感じられる出来映え。フォーカス精度も高く、この焦点域のレンズを三脚や一脚なしで使えるというのは撮っていて非常に楽しいものです。運動会、飛行機、鉄道、野生動物と、きっとこのレンズが活躍してくれるシーンは多くなることでしょう。連れ出すのに躊躇する心配のないサイズ感やコストパフォーマンスの高さなど、あらゆる意味で手に届く600mmの世界。是非体験していただきたいと思います。

( 2015.04.15 )