SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

50mmという標準の焦点距離から望遠500mmまでをカバーする脅威の10倍ズーム。本レンズにコンパクトな単焦点レンズを2〜3本持って旅に出れば、撮れないものはないでしょう。テレ端500mmともなると三脚を据えて撮影したくなるレベルですが、手ブレ補正機構が搭載されたことで手持ちでの撮影にも堪え、格段に使い勝手が向上しました。初代に比べると解像度も向上した印象で、少し絞るとさらにキリッと締まります。これだけの高倍率になれば単純に遠くのものを引き寄せるだけでなく、画面を整理して美味しいところだけを切り取ることができ、まさに自在な画角を手に入れたという感覚。大きなレンズで決して取り回しは簡単ではありませんが、使いこなすことができれば画質云々を超越した「よい画」を手軽に生み出せる、頼もしいレンズであることは間違いありません。撮りたいように世界を切り取ることができる。こういったレンズの存在こそ、一眼レフというシステムのアドバンテージではないでしょうか。

( Photography : A.INDEN / Text : M.Ishizuka )

望遠で切り取れば背景はグラデーションとなって、浮かび上がる近くの被写体。濡れたペイントの質感も水滴の瑞々しさも見事に描写されています。

撮りたいイメージが邪魔されてしまう周囲の被写体を大胆にカットできるのが、本レンズの面白さ。ヘッドライトのシャープでクリアな描写は見事です。前後の路面にもボケ具合がよく表れています。

バースに係留されたコンテナ船をぐっと引き寄せる。望遠ならではの凝縮感が楽しい世界。近寄りにくい被写体でもおまかせあれ。