Carl Zeiss Distagon T* 2.8/21

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

どれも力作ぞろいのツァイスレンズですが、優れた描写特性から幾多の伝説を生み出してきたディスタゴンの系譜を受け継ぎ最新設計が施された21mmレンズは、撮り手をうならせてくれます。一般的に広角レンズでは、画質アップのために絞り込んでいくものですが、それすらも不要と感じてしまうほどに、絞り開放からピントピークがビシッと決まります。なによりコントラストと解像力のバランスのよさが絶妙で、ファインダーを覗き、自らの手でフォーカシングする時間がこの上なくいとおしく思えてきます。「ZF.2」マウントは、レンズ情報をカメラに伝えるCPUを内蔵しており、測光や露出などExifデータの記録にも対応しているところもうれしいですね。

( Photography : M.Ito & K / Text : KIMURAX )

F4まで絞れば周辺画質もぐっと安定。画面いっぱいに広がる、隆起した樹皮の質感がダイレクトに伝わってきます。乾いた土の風合いの再現もさすがです。

汚れをうっすらとかぶった鉄ドアと壁。大小さまざまな引っかき傷から、わずかに歪んだ壁のニュアンスまで徹底して描き込んでいます。

グラデーションの表現というのは特にデジタルにおいては厳しい条件です。色飛びすることなく見事な諧調で、移ろい行く空の色合いを表現しているのには感心しきりです。