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LEICA SL2 プレス発表会レポート

2019年11月13日 午後12時半から、銀座にあるライカプロフェッショナルストア東京にて新製品「Leica SL2」のプレス向け発表会が行われました。プロフェッショナルラインのフルサイズカメラとなるSL2は11月7日の国際発表を受け、いよいよこの日に日本国内で初となる実機が公開に。また、昨年のフォトキナ2018でパナソニック、シグマとの3社による戦略的協業「Lマウントアライアンス」の発表が話題となったことは記憶にも新しく、ライカLマウントへの注目度がさらなる高まりを見せるこのタイミングでのSL2の発表会。では早速、その様子をお届けしましょう。

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会場が暗転するとオーケストラメインの重厚なサウンドが鳴り響き、中央のスクリーンにはSL2のデザインラフスケッチから始まり実機の全貌へと変化、特徴的なデザインや使用シーンを矢継ぎ早に映し出すという、ドラマチックなイメージ映像が流されました。

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サウンドのフェードアウトと共に会場が静寂に包まれたところで、いよいよプレゼンテーターの登場です。ライカの新製品発表会ではもうお馴染みの、ライカカメラAG社・グローバルフォトディレクターのステファン・ダニエル氏。「ライカSL2の技術的な側面について少しばかりお話したい。」という言葉で口火を切りました。2015年に発表したライカSLは、将来を見据えた我々にとって重要なポジションとなるカメラだ。そして、SL2はライカのDNAを引き継ぐデザインとするために細部まで見直して作り上げた。ハンドリングも向上しており、見た目よりもコンパクトな印象を受けるだろう。

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では、ダニエル氏のコメントの要点を抜粋していきましょう。ボタン類は少なくしシンプルに構成したインターフェースにより、煩雑な操作に惑わされることなく撮影に集中できる。他のライカ製品を使っているユーザーもスムーズに馴染める操作性を実現した。

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SLも防滴防塵だったがSL2では更に深めてIP54の基準をクリアした。より厳しい撮影状況でも使うことができる。

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47メガピクセルの新開発となる撮像素子を採用し、高精細な描写力を実現した。広いダイナミックレンジも特長で、最高ISO感度はISO 50000まで可能だ。

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AFも重要な要素で、ライカSL2は高速で精度の高いAF性能を有する。動体認識AFも細かく設定できる。また、5軸のボディ内部手ブレ補正機能を持ち、スポーツシーンにも対応する。

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570万ドットのEVFはより大きく、光学ファインダー並みの撮影体験を約束する。また、Maestro III Processorを搭載し、カメラ全体の速度性能をアップしている。撮像素子から得た画像の処理速度も高速だ。連写は機械式シャッターなら10コマ/秒、電子シャッターなら20コマ/秒が可能だ。

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動画撮影機能も大きな機能の一つだ。シネマフォトグラファーたちの要求に応える5K動画に加え、4Kは60P、フルHDで180Pという高速な映像撮影は十分に納得して貰えると思う。シネマモードにスイッチすると、ISOはASA表示に、シャッター速度は開角度に、F値がT値表記に変わる。

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ライカSL2はLマウントを採用し、アダプターを介して約170本のライカレンズが使え、Lマウントアライアンスのレンズも使える。

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ソフトウェアのLeica FOTOはビデオ撮影に対応し、利便性に富む。iPadの使用により様々な操作や機能を使うことができる。

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製品説明が終わると、ライカカメラAG社・グローバルマーケティングディレクターのアンドレア・パチェッラ氏(写真:右)による、写真家スティーブ・マッカリー氏(写真:中央)へのインタビューが始まりました。中国を皮切りに、キューバ、マダカスカルなどをライカSL2で撮影してきたというマッカリー氏のコメントをご紹介しましょう。

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『ミラーレスカメラはEVFがあることで、露出がその場で確認できるのは素晴らしい。そして、シャッター音が静かなこともいい。モデルにプレッシャーやストレスを与えることもないので、大きなアドバンテージがあると思う。』

『初期のライカSLのプロトタイプから使用しているが、ライカSL2は一段さらに進化した印象で、直感的に使うことができた。信頼感があり、とても使いやすい。そして何より画質が素晴らしい。デジタルカメラの可能性、利便性を再認識した。』

『私は夜明けや夕暮れなど、光量の少ないシチュエーションでの撮影が好きだ。ライカSL2は高感度撮影にも対応し、ISO 4000や6000あたりでも平気で高いパフォーマンスをみせてくれた(会場に展示されていた作品を指し示し、高感度撮影時の状況も説明)。』

『今回のアジアでの撮影でも感じたが、激しい雨や埃の多い地域での撮影は気を使う。対策は、レンズに水滴が付かないように慎重に取り扱うことが大切だ。あとはカメラの防塵防滴性能に頼るだけ。防塵防滴性があることはとても重要だと思う。』

『中国での撮影で使用したレンズは「ライカ バリオ・エルマリート SL f2.8–4/24–90mm ASPH.」だ。歩きながら被写体に近づいて撮影する私のスタイルにはぴったりで、この一本ですべてのシーンをものにすることができた。私がライカを選ぶ理由は、最高のものを使いたいからだ。』

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会場の壁面には10点近くの作品が展示されていました。右側はマッカリー氏がインタビュー中に紹介していた、高感度で撮影したトランプに興じる人々の写真。

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会場の一角にはLマウントアライアンスを共に構成する、シグマとパナソニックのレンズが展示されていました。


タッチ&トライコーナーでは、かなり多くのSL2が用意されており、すぐ手にすることができました。グリップを握った瞬間に伝わってくる剛性感は半端なく、重量感も納得。これだけの高画素機ですから、使用するレンズの方もギッシリ・ズッシリの超ド級レンズぞろい。それらのレンズたちをぶんぶん振り回すにも絶好の重量バランスとなっているのは間違いありません。グリップ形状がSLから若干緩やかな台形フォルムになりましたが、ホールド感は変わりなく、むしろデザイン的にもすっきりと洗練された印象です。このさりげないグリップ形状の変化は、マウントアダプターを介してのMマウント用レンズを装着した姿が、より美しくそして可愛らしく映えさせるファクターとなっているようです。

  • PHOTO YODOBASHIボディ上面にはステータスが見える1.28型液晶パネルを搭載。
  • PHOTO YODOBASHIダブルSDスロットを備え、いずれもUHS-IIに対応。
  • PHOTO YODOBASHIMマウント用レンズも用意されSL2に装着しての試写もできました。
  • PHOTO YODOBASHIEVFの拡大機能も備え、MFレンズでの撮影が楽しめます。
  • PHOTO YODOBASHIシルバーのマウントアダプターでズマロン28㎜を。これはコンパクトでキュート。
  • PHOTO YODOBASHIボディ内手振れ補正は強力。1秒のスローシャッターでも背景はピタッと、来場者との流れのコントラストが絶妙。

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タッチ&トライコーナーのすぐ近くではモデルさんも登場し、実機での試写会も行われました。リアルに撮像が見えるEVFを堪能するにはうってつけでした。

PHOTO YODOBASHI重要なプレゼンテーションも終わり、会場で談笑するステファン・ダニエル氏。SL2を肩から下げられていますが、なんとプレゼン中にはたすき掛けにしておられました。冒頭の方の写真でお気づきになられた方はいますか?ネクタイびしっとスーツ姿でのたすき掛け姿、ますますファンになってしまいました。

駆け足で発表会の模様をお届けしましたが、今後PYでは、今回ご登壇されたステファン・ダニエル氏へのインタビューを行う機会をいただきました。そちらのレポートではSL2に関する詳しいお話などご紹介させていただく予定です。

そしてさらには、光学設計課マネージャのピーター・カルベ氏にSL用レンズをはじめとする、ライカレンズ全般に関するインタビューを敢行してまいりましたので、そちらのレポートもどうぞお楽しみに!

( 2019.11.15 )