PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマのArtラインにまた歴史的な1本が生まれました。ズーム全域でF1.8という世界初のスペック。さらりとスルーしてしまいそうになりますが、F1.8通しというズームレンズの登場はかなりエポックメイキングな、"事件"と言うべき出来事です。普通ズームレンズというのはF2.8通しで大口径と言われるものですが、それを1段以上も上回る明るさでフルサイズ換算28.8~56mm相当の画角を確保。明るいレンズでなければ得られなかった極薄ピント・ボケ量豊かな世界を、標準ズーム画角で楽しむことができるわけです。APS-Cフォーマットのカメラにどれだけの恩恵をもたらしてくれるか、考えただけでもワクワクしてしまいますよね。これだけのスペックですから倍率は控えめですが、28mm・35mm・50mmの単焦点レンズが一本に収まっていると考えれば、その利便性の高さも表現の幅も想像に難くありません。少しハードルを上げ過ぎでしょうか…まずはその描写をじっくりと見て行きましょう。

( Photography : Z II / Text : Y.Moriki )

やはり絞り開放の画から見ていくべきですよね。光が乏しい条件でしたが、見事な解像力で皮の質感、立体感をとても表情豊かに描いてくれました。馬の背に乗せる鞍なのですが、パーツごとの固さの違いや、擦れて色や肌触りが変化しているところなど、感触まで伝わってくるような気がしませんか。

どうでしょう、この水たまりの描写。開放からシャープ、クリアで気持ちのよい写りですよね。遠景に向かって素直に溶けてゆくようなボケも大変美しく、傾いた光の中に雨上がりの湿度をしっかり感じさせてくれました。

ボケ量の大きくなるテレ端・近接での1カット。手前から奥の緑まで、とてもなだらかに柔らかくボケています。ピントを置いた部分はスッと浮かび上がるようにクッキリと、それでいて優しい描写に。さすがにここまで近寄ると被写界深度は極薄ですから、どう使っていくかが問われますね。とはいえ難しいことは考えず、素直にボケを楽しむのも良いでしょう。

強めの照明を受けた彩度の高い服も破綻すること無く描写。そして手前のピントのあった服の繊維を繊細かつシャープに再現。これも絞り開放なのですが、本当に舌を巻く写りです。

少し距離のある被写体を開放で狙えば、このレンズだからこそ得られる印象的な描写に。前後が自然にボケていくことで、おぼろげな記憶の断片と写真がリンクするようです。


開放でこれだけシャープなのですから、絞ったときの描写は言わずもがな。木の葉一枚、タイル一枚まできっちりと解像してくれる優れた描写です。旅先や名所、記念写真など、素直に絞って撮るのが基本ですよね。

こちらはワイド端の描写。気持ちのよい直線と解像力です。梅雨時の鈍色の空を、よいトーンで描いてくれました。

こちらもワイド端。こう撮ってみると少し歪曲が見られますね。窓の向こうに霞んだビルも、白い中に溶け込みながらも立体的に、かつシャープに描写しています。例えばこういった自分が動けるスペースがあまり無いようなシチュエーションのときに、単焦点レンズの描写力をもちながらちょっとズームが出来るというのは、本当にありがたいですよね。

光を受けている奥側から手前のどっしりと落ち込んだシャドウ部まで、実に階調豊かです。金属の質感やエンブレムの立体感なども、この階調があることによって、より豊かに再現されているように感じます。


「A」のエンブレムとともにシンプルで精悍なこのルックスも、もうすっかりお馴染みになりましたね。さて、実写レポートいかがでしたでしょうか。本レンズによって、真の意味で「大口径ズームレンズ」が生まれたと言えるかもしれません。どの焦点域でも単焦点レンズ並みの明るさと描写力を実現する、APS-Cボディのユーザには福音と呼べる1本でしょう。このレンズが広げてくれる世界を、どうぞご堪能ください。

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複数の単焦点レンズを一本に。新たな時代を築くレンズです。

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大切に使ってください。プロテクターもご一緒にどうぞ。

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