Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE [EF]

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描写性能への要求が高まっているのか、あるいは「標準レンズ」という基本へ立ち返る流れがあるのか。ここのところ高性能な標準単焦点レンズが次々と発表されていますが、Ceral Zeiss が発表した Otus 1.4/55(=55mm F1.4)は、価格もスペックも "超ド級" の標準レンズ。35mm判フルサイズ対応レンズとして最高峰の描写性能を追求した本レンズは、もちろんEFマウントに対応し、"Zeiss"というブランドも含めてキヤノンユーザ注目の1本であることは疑いありません。

一見して立派で重量感のあるルックスに圧倒されますが、驚くのはなんとマニュアルフォーカスレンズであること。当然のようにAF単焦点レンズだと考えていた先入観を華麗に裏切られながらも、手にしてみればフォーカスリングはしっかりとしたトルクを感じさせ、ゆっくりと回すと眼に入るのは鮮やかな黄色の距離指標。有無をいわさぬ存在感で、マニュアルフォーカスであることを素直に受け入れさせられる圧倒的な"何か"があります。オートフォーカスを牽引してきたとも言えるEFマウントに、装着したくなる最新・最高のMFレンズ。果たしてその写りがいかなるものか、ご覧いただくとしましょう。

( 写真:M.Ito & Naz / 文:4beats )

まずは開放F1.4の画から。いきなり逆光という条件の悪いシーンですが、いかがでしょう。前後の柔らかなボケの中に、ピントの合った人物がスッと浮かび上がるように、解像感と立体感を伴って描かれています。よく「その場の雰囲気をそのままに写し撮った」などと表現をしますが、「その場の雰囲気を、より鮮烈に」写し撮ってくれたと言える画です。

もう一枚、開放で同じような距離ですが、今度は周りきった柔らかな光の下で。ポールの陰影がほとんどわからないような状況ですが、白い円柱の丸みや鎖のディテールをしっかりと感じることができます。

より近距離で、こちらは半段絞ってF1.8です。窓枠が優しく段々ととボケていく様に、本当に見入ってしまいました。もちろんドアノブにも注目してください。立体感にも恐れ入りましたが、使い込まれ、くたびれていながらも艶々としている質感を見事に再現しています。

最短撮影距離付近でのカット。距離に関係なく、前ボケも後ボケも乱れること無く安定した柔らかさですね。

 

絞った画もご覧頂きましょう。必要以上にカリッとすることのない、しっかりとした解像度、絶妙な立体感。見事ですね。

もちろん遠距離でも安心。距離にも絞りにも左右されずに安定した描写をするということの難しさを、事も無げにクリアしています。

透明な中にある光と陰。反射と屈折で描かれる水と泡。主要被写体が透明でも、その温度とゆらぎまで感じさせてくれます。

光量が不足する中でも、床板一枚一枚、ビスの一本ずつに至るまで見事に描き分けています。また、この距離、この光の中でもテーブや椅子、床の質感が伝わってくるデリケートな表現には脱帽です。

僅かな光量差も逃さず捉える豊かな階調特性と、余裕のあるダイナミックレンジを兼ね備え、隙のない描写を見せてくれます。

 

大きくボケた背景をよく見ると口径食の影響か、周辺に若干の荒さを感じなくもないのですが・・・粗探しというわけではありませんが、そこまでして見ても、ほとんどマイナス要素を見つけられないことからも、このレンズの力量が判ります。

節分の豆まきに、頭ひとつ?抜け出た虫取り網。その繊細な被写体を見事なまでに解像感と立体感を伴って描写しています。また、背景がボケすぎないようにと1.5段絞っていますが、開放値にゆとりがあると、ボケ具合の選択肢も広がって、より撮影が楽しめますね。

 

隙のない描写性能に舌を巻く。じっくりと撮影に取り組みたい、究極の1本。

レンズの性能を測る指標は様々ですが、Otus 1.4/55はあらゆる点においてハイレベルな数値を叩き出すと共に、立体感やボケ味といった感覚的な評価軸を含めてまったく隙を見せない、極めて高次元のレンズと言えます。メーカーの言葉をそのまま借りれば「ツァイスが積み重ねてきた1世紀にわたる光学・技術の粋を集めて開発」し、「真に世界一の性能を備えた」レンズなのです。メーカーがそこまで言い切れるというのは、それだけの性能を備えているという強い自信の現れでもありますし、撮影した数々の写真からも決して大袈裟ではないという印象があります。

マニュアルフォーカスによるピント合わせも、撮影を重ねるほどに「これが必然かもしれない」と感じました。AFレンズとは比較にならない、フォーカスリングの確かな感触。しっかりと重みがあり可動範囲も広いので、ピントを細かく調整し、厳密に追い込んでいくことができます。逆に言えば素早いピント合わせは難しいのですが、これだけのシャープネスと美しいボケを与えてくれるレンズであれば、1枚1枚じっくりと時間をかけて撮影していくのが正しい姿でしょう。今回は、 5D mark IIIを使用してのレビューでしたが、AF前提のフォーカシングスクリーンは正直ピントの山が掴みづらく、最初は苦心しました。ところがフォーカスエイドやライブビューなどデジタルボディならではの小技を使っていくと、ピント精度も上がり撮影がぐんぐんと楽しくなっていきます。三脚に据えてライブビューで構えれば、それはまるで大判カメラで撮影しているような面白さなのです。ピントの合っている部分のビックリするくらいの解像感と、被写体が手に取るようにわかる立体感。そこからごく自然に、とても優しくなだらかに移ろっていく前後のボケ。ハイライトからシャドウまで、というよりは太陽の明るさから真っ暗闇までと言いたくなるくらいのダイナミックレンジの広さと、僅かな光量差も拾い出す繊細な階調表現。最短撮影距離から無限遠まで、そして絞り開放からでも変わらずに全開で発揮される抜群の描写性能。本当に隙がありません。

かつて「空気まで写る」と評された Zeiss のレンズ。その評価を受けるに値する、いや、それ以上のレンズかもしれません。
撮った画を確認するたびに驚きがあります。撮る人の想いまで、光と一緒に封じ込める。これが "究極" のレンズです。

 

( 2014.02.14 )

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この際、保護フィルターはナシでいきましょう。でも開放で撮りたいからNDは必要です。こちら、CarlZeissの名が刻まれております。

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