PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
KIPON ELEGANT 35mm F2.4
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
マウントアダプターのトップブランドであるKIPONから、EOS RFマウント用として広角~標準~中望遠をカバーする5本の単焦点レンズが登場しました。以前より、HandVisionブランドのIBERITシリーズとして、ライカMマウント・フジフィルムXマウント・ソニーEマウント互換のレンズが発売されていましたが、今回ご紹介するELEGANTシリーズは、ドイツで開発されたというIBERITシリーズの光学系を継承したもの。総金属製の鏡胴を採用し、ラインナップされている24mm、35mm、50mm、75mm、90mmレンズの開放F値はすべてF2.4で揃えられているという趣味性の高さもIBERITシリーズからしっかりと受け継いでいます。
その中で今回ご紹介する「KIPON ELEGANT 35mm f/2.4」は、準標準レンズともいわれる画角の1本。フィルター径49mm、全長もわずか43mmとEOS Rシステム用レンズとして現時点で最もコンパクトな1本となっています。始まったばかりのシステムで、まだまだレンズのバリエーションが限られる状況のなか、このELEGANTシリーズはEOS RFマウントでは初のサードパーティー製レンズとなりますから、気になっている方も多いのではないでしょうか。ボディとは電気的・機械的な連動こそありませんが、撮影において大きな問題はありません。小型軽量なEOS R/RPにもよく似合うスリムでコンパクトなレンズに仕上がっています。それでは実写レビューでその個性を探っていきましょう。
( Photography : TA / Text : TA & Naz )
肩肘を張らない描写は、リラックスした雰囲気でのスナップ撮影に向いていますね。トーンの連なりも良く、コーヒーカップやスプーン、テーブルといった質感の描写もいいですね。
歪曲はほとんど見られません。思わず直線の多い被写体にレンズを向けてしまうのですが、まっすぐなものをまっすぐに描いてくれる画は見ていて気持ちがいいものです。
F8まで絞り、かなり飛ばし気味で撮影したカットです。被写体をしっかり捉えてくれていますが、光が拡散した条件ではコントラストが低下しエアリーな印象に。このような撮り方も、本レンズならではの楽しみ方ではないでしょうか。
開放・近接付近の描写は薄いヴェールを纏ったかのような雰囲気ですが、ピントに芯があり、しっかり解像しているのがわかります。柔らかい印象を持たせたい被写体との相性も良いでしょう。
中距離に被写体を置いても立体感を感じる写りです。周辺減光も気にならない程度です。
梅雨時期特有の湿度の高さを感じる描写です。撮影条件によってはフレアが発生したりコントラストが低下しますが、どことなく郷愁が漂うこの写りこそ、本レンズの真骨頂であるように感じました。レンズに専用のフードが付属していないのも、メーカーに意図があってのことなのではと。
持ち歩きたくなる35mm
手のひらサイズのEOS RPにも良く似合う本レンズは「愉しめる」レンズでした。クラシカルな側面と現代的な要素を併せ持ち、紡ぎ出す画もそれを地で行くといった印象を持ちました。一度味わったら手放せなくなるレンズになりそうです。小型軽量ながら、スタイリッシュなデザインに作りの良い金属鏡胴はモノとしての魅力を備えています。また、滑らかなヘリコイドを回し、ピントを送るといった一連の動作も撮影気分を盛り上げてくれますよね。標準レンズとしても、広角レンズとしても使える35mmのレンズは、使いでに富んだ1本。常に携帯してスナップシューティングを愉しんだり、たわいのない日常を記録していくのに恰好のレンズだと思います。常用レンズとして、おすすめしたい一本です。
コンパクトで高い質感、よき相棒になってくれます。
昨今の最新レンズはどれも目を見張る光学性能を持っていますが、気合いを入れて挑む撮影にはいいものの、肩の力を抜いた撮影では、少々堅苦しいというか、もう少し「ゆるい」写りも時には必要になってくるのではないでしょうか。本レンズはオールドレンズのような残存収差をも楽しんで使える個性を持ち、ウェットで柔らかな描写は昨今のレンズとは異なるものだけに使いこなし甲斐もあるのではないでしょうか。しかもコンパクトなEOS R/RPのボディにもよく似合うたいへんコンパクトな佇まい。リラックスしてカメラを構えさせてくれる優しさがあります。マニュアルフォーカスでのピント合わせも、ボディ側の強力なピーキング機能でストレスを感じることなく追い込むことができました(カスタムできるボタンに拡大機能を割り当てると安心です)。純正レンズとは違う個性が欲しい方に特におすすめの1本。質感のよい金属鏡胴ながらも290gと軽量ですから、ポケットやカメラバッグの隅にいつでも忍ばせておける、よき相棒になってくれると思います。
( 2019.06.26 )
ミラーレス一眼のコンパクトなボディにベストバランスの1本。金属製で質感もよく、しかもお買い得。お遊びにもいいですよね。
プロテクトフィルターも探してみるとリーズナブルなものがありますね。