能登 DP1M/DP2M Monochrome

北西の風 7m、最高気温 0℃。
切り立った崖には容赦なく波が打ち寄せ、垂れこめた雲からは断続的に雪が漏れる。"天候に恵まれた" と言うべきだろう。まさに北陸らしい冬の空と海を横目に見ながら、奥能登へ向かって車を走らせる。その土地を知るには、厳しい季節こそ相応しい。

はじめて能登を旅すれば、この半島の大きさに驚くかもしれない。奥能登の道はおそらく想像よりも長く、そして遠い。この地理的・時間的な距離が、外の世界からこの地を切り離してきたのだろう。どの集落も静寂に包まれ、凍てつくような寒空の下に人の姿は見られない。ひとりファインダーを通してこの景色に対峙していると、否応なく心は内面に向かう。

岸壁を這うように道が伸び、小さな湾を囲むように点在する漁村。冷たく強い風をしなやかに受け止める竹垣は、この土地に生きる先人の知恵だ。家屋一つ、器一つ眺めても、風雪に耐えてきた長い時間を想像させる佇まいがある。多くを語る必要はない。それが積み重ねた年月というものだ。

内浦に入ると一転して、波は穏やかに変わった。地形が及ぼす気候の変化は、その地の自然が剥き出しであるほど鮮明だ。穏やかに続く海岸線、静かに佇む漁港。強く吹き付けていた風が止むと、まるで時間もそこに停滞してしまうかのような感覚を覚える。頬を凍らせていた空気は、ここにはない。

「なんにもないよ」という人もいる。あらゆるものが凝縮して詰まっているとも感じる。写真を撮るという意図をもって眺めれば、世界は見るべきもので一杯だ。カメラを手にしているのなら、凍える吹雪も曇り空も絶好の写真日和となる。写真の面白さは、こんなところにもあると思う。

DP1 Merrill / DP2 Merrillで撮り歩いた冬の能登の風景。新たに「SIGMA Photo Pro」に搭載されたモノクロームモードは、この小さな旅を写すのにぴったりの選択だったと思う。決してコントラストの高くない情景を、Foveonセンサーのモノクロームはトーン豊かに描き出してくれた。独特の色やリアリティ溢れる描写が魅力的なDPシリーズだが、現像ソフトの進化によって一層使い甲斐のあるボディになったのは間違いない。

恐ろしい程によく写るこの魅力的なカメラを、ぜひ積極的に連れだしてみて欲しい。残しておきたい光景が、今そこにあるうちに。

(写真:T.Takahashi / 文:M.Ishizuka)


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広く写せるDP1は、スナップショットのベストパートナー。旅に使い勝手の良い28mm相当の画角です。

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