実写インプレッション[DP2 Merrill]

 

DP2M IMPRESSION | LONG-TERM REPORT 01 | LONG-TERM REPORT 02

SD1が登場した際、大幅な画素数のアップで、解像力はもとより階調が大幅にリッチになるだろうと想像していました。実際に当サイトでSD1をテストした際に、それは想像以上で、センサーの物理的なサイズアップ、そして画素数アップが、階調特性に与える影響の大きさを本当に思い知らされました。素晴らしい解像力が突出していた過去のFoveonセンサー搭載機に、リッチな階調特性が加わることで、まるで肉眼で見ているかのようなリアリティ溢れる画像を叩き出したのです。さて、DP2 Merrillは、SD1/SD1 Merrillと同じセンサーを搭載してきました。搭載するセンサーにレンズを最適化できるわけで、ある意味でSD1/SD1 Merrillよりも高画質が約束されると言えるでしょう。編集部一同、テストを本当に楽しみにしていました。そして我々の期待をさらに上回る画を叩き出してくれました。作例と共にご紹介したいと思います。

(写真撮影:A.INDEN / 文章:K)

このての被写体を捉えるなら、Foveonセンサー搭載機の右に出る物が無いのではないかと感じてしまいます。このクオリティは正直なところ、中判デジタルバックの世界でしか経験がありません。しかも手のひらに載ってしまうサイズのカメラで撮れてしまうのですから、シグマ社も恐ろしいカメラを作り上げたものです。車ついでの例え話で恐縮ですが、軽自動車クラスのボディに大排気量のエンジンを載せる・・・というだけではありません。カリッカリにチューニングされたエンジンを載せているようなものです。・・・ドイツ車特有のパネルの厚み、面の構成の仕方などが、肉眼で見るかのように感じ取れます。カーデザイナーが手描きで起こすデッサンのように、車に廻った光を忠実に捉えるこの階調特性。素晴らしいの一言です。

階調が豊富だからこそ、キレる解像力が活き、そして画作りでヌケも追えるのだと思います。
写真とは、なかなか目で見たようには写ってくれないものです。上手く表現できないのですが、ポジフイルムを佳いルーペで覗いてるような印象です。雨に濡れた床を伝えるだけではありません。水の表面張力まで感じさせる描写です。

今回撮影を担当したカメラマンも心得たもので(ヘビーなシグマユーザ)、「こりゃアンダーが面白いぞ」というカット。生命力を感じる描写。これで絞り開放ですから、レンズの力も相当なものです。

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SD1/SD1 Merrill、DP2 Merrillは、解像力よりもむしろ階調特性の素晴らしさに、既存ユーザの皆さんは心打たれたのではないかと思います。「解像力は言うまでもない」と。むしろ、いままでバラバラだった一つ一つのピースが組み合って「一つ次元が上がった」と感じられていると思います。解像力にフォーカスして画を見つめると、画素数アップによってより解像力が上がったことはもとより、「素直さ」が増した印象です。さらに、レンズフィックスとしてセンサーに最適化されたこのレンズの能力は相当なもので、絞り開放から曖昧さの介在しない、実に緻密な描写。一眼レフのSD1/SD1 Merrillよりも画角やレンズ選択の自由度は比べるべくもありませんが、確実に高画質を約束してくれます。

傘の生地の手触り、雨粒の様子、撥水が甘くなって染みこむ雨水と、その様子が手に取るようにわかります。
比類無き解像力がこのリアリティを生むのだと思います。

後側のビルを目が痛いほどに解像し、手前ビルの柱を豊富な階調でリアリティ溢れる形で再現。このカットを試しにトーンカーブで極端にハイコントラストにしてみるとします。それなりの画になるのです。根本的な画質の高さを感じます。

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そもそもの能力が高いために、何気ない1枚でもラージフォーマットのフイルムで撮影したかのような高画質。気軽に携帯できるコンパクトなボディだからこそ、常日頃持ち歩きやすいわけで、結果的に「この1枚!」というカットにたどり着きやすくしてくれるのではないでしょうか。どんな機材だって名作を生み出すのは可能です。しかし「このカメラは・・・写るぞ!」という実感を携えるということは、名作を生み出すスイッチをたくさん入れてくれるかもしれませんね。

 

拡散した光がほどよくまわったベンチ。なにか祝福されたかのような光がいいな・・・と1枚。こんなシーンはなかなか見たままに写すのが難しいですよね。特に少しだけハイキー気味にという、この「少しだけ」がデジタルカメラでは一番難しい。よい感じに収まってくれました。

 

ちょっとムッとした1日。少し湿気を帯びた女性の髪、抜けきらない背景。女性の髪やニットをきめ細かに捉える力もさることながら、湿度がそのまま写るかのようなこの描写に唸ってしまいました。

 

ボディが飛ばない程度、つまりラチチュードからすればアンダー気味に露出を決めて。感覚としてはKodakのE100VSを増感現像するときのような露出でしょうか。シャドーを潰しきるようなバランスで撮ると、色の盛りも感じられてなかなかグッとくる描写ですね。

 

 

ボディを手にして最初に感じたのは、まず液晶表示がDP2xに比べて格段に美しくなり、AFも随分速く、精度も上がったなあという印象です。叩き出す画が画だけに、ユーザは愛をもって( ? )接してたことでしょうけれど、「お!!」と思わず口にしてしまう嬉しい進化です。ボディサイズが若干大きくはなりましたが、逆にホールドしやすくなった印象で、バランス的にはむしろよくなったと個人的には感じました。使いこなしに独特の作法が必要だったDP2xに比べると、全体的な使い勝手がかなり向上しました。しかし、搭載するセンサーはSD1/SD1 Merrillと同一。写真を撮影する上での基本をしっかり守ってこそ、ポテンシャルを引き出すことができます。いやはや、実に痛快なカメラです。シグマ社がジェネレーションネーム"Merrill"を冠したわけですが、次元の上がった描写、そして使い勝手の向上と、まさに今成熟をむかえた、そんな印象です。Foveonセンサーの世界を興味を持って覗き見ていた方、既存ユーザの方を問わず、諸手を挙げておすすめしたい、そんなカメラなのです。

※ 現在WEBギャラリー用の撮影を進めています。お楽しみに!

 

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フードをつけた姿もなかなか。もちろん有害光を遮光する本来の役割も。

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