実写インプレッション[DP2 Merrill]

 

DP2M IMPRESSION | LONG-TERM REPORT 01 | LONG-TERM REPORT 02

1年に数え切れないほどのカメラがリリースされる中で、ひとつの機種を長く追いかけていくことがなかなかできなかったのですが、今回より念願叶い「ロングタームレポート」と題し、撮影担当者の趣味の世界になりかねませんが、長期に渡って使うからこそわかること、そして気づいたことを、定期的にお届けしたいと思います。さて、既に手にされた方々も多いのではないかと思われるDP2M。Foveonセンサー独特の素直で目が覚めるような解像力、圧倒的な階調特性を普段の自分の撮影に活かすことができるか、このあたりの試行錯誤を楽しんでやっていきたいと思います。今回は、DP2Mを手に入れて、まずは試してみたかったことが幾つかあるのですが、こちらの内容をレポートしてみたいと思います。

( 写真/文:K )

こちらはページ一番上のカットを100%クロップしたもの。DP2Mを手にすれば、やはり無意味に(?)解像力を試してみたくなるのです。ただ単に解像するだけではなく、実に緻密かつ自然な描写です。無印SD1/SD1 Merrillの撮影で既にわかってはいたことですが、やはり「凄い」の一言に尽きます。しかも手のひらに載ってしまうサイズのコンパクトさなのですから、呆れてものも言えないとはこの事ですよね。近くのものが近くに、そして遠くのものが遠くに。その距離感も自然に再現されます。1画素がそのまま1ピクセルとしてレンダリングされるFoveonセンサー搭載機の特長ですが、長辺960pxに縮小しても極めて自然な画になるのも嬉しいですね。まるで肉眼で見るかのような自然さ、何より高い解像力、DP2Mの美点の一つでしょう。

 

絞り開放ですが、この写りです。薪の表面の感触が手に感じられるかのようです。しかし実に緻密な描写ですね。余談ですが、PCのモニターで等倍表示を行い、カメラの画質を語ったり比較したりすることはナンセンスだとか、あくまで各種媒体に出力した結果で語るべきだとか、いろんな話を目に耳にします。しかし等倍で見ることができるのですから、単純に見て感じて比較して・・・というのは素直な行動ですよね。DP2Mはモニタ上において等倍で見ても感じ入り、たとえばプリントで見ても同じく感じ入ってしまう画を叩き出してくれます。そして半ば写真としてのデキはそっちのけに、やっぱりうきうきしながら等倍で鑑賞してしまいます。「おー・・・」なんて言いながら。色々と楽しませてくれるカメラですよね。

光が作り出す陰影。草花などがたまらなく美しく浮き上がるシーンってありますよね。ここでは、キレとヌケが命。曖昧さが一切感じられないこの切れ味、そして豊富な階調こそが作り出せる、ポジフィルムのように目の覚めるようなコントラスト。そもそも写真は光と影が織りなして成り立つものだろうとは思いますが、DP2Mの画を見ると、いままでデジタルカメラで躊躇していたような強力な光線状態のシーンに積極的に向かっていきたくなります。

極端な露出ですが、こんなシーンも撮りたくなる一つ。このカットに解像力??と感じるかもしれませんね。しかし、こんなシーンでエッジラインがヤワだと様にならないのですが、バッチリ狙い通りに撮れました。現像ソフト上でもパラメータを一切操作せず、現場で露出を詰め切っただけです。・・・靴もそうですが、土間のコンクリートの具合もよく再現されています。しかしこの立体感たるや。。。

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今にも泣き出しそうな空。雲が見せる表情に感心しても、なかなか見た通りに写せないことが多いものです。木炭で描いたようなこの空を少しオーバー目に撮影してみます。無印SD1から、どうもオーバー目に撮影し、あとで現像ソフトにて階調を切り詰めると、良い仕上がりになることが多いのです。一見飛んでしまっている空の階調も、露出のスライダをアンダー側に操作すれば、ちょっと経験したことが無いほどにハイライト側に階調が残っていてびっくりすることがあります。上のカットは適正と思われる露出値から1段ほどオーバーに撮影しました。おおよそのデジタルカメラはアンダー側の階調が豊富であることが多く、逆にハイライト側には余裕が無いというのが一般的だと思うのですが、オーバー目に撮影した方が良い結果になるというのはネガフイルムのようで面白いですね。実はいつもの作法(?)でアンダー目に撮影したカットを、現像ソフト上で持ち上げても結果は芳しくないことが大半です。このあたりもネガフイルムそっくりでなんですね。厚みのある階調も同じく。そこからポジのような画ができあがるのですから、何とも面白いカメラです。この特性を活かすとなると、ポジフイルムで神経を使って撮影していたようなシーンに積極的にトライしてみたくなります。

 

シャドーから被写体が浮き上がるような露出。ポジフィルムでカメラの露出計任せに撮れた失敗カット(?)ならともかく、狙って撮るのは結構気を遣います。特に目的がダイレクトプリントの場合、硬くて仕方が無い。DP2Mであればこのとおり。編集部所属で、大のオーバー目露出好きのカメラマンが、シグマのデジタルカメラを持つと比較的アンダー目の撮影を行うのも、わかるような気がします。シリアスな画作りには右に出るカメラが無いのではないかと感じてしまいます。

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雨の日は撮影も億劫になるものですが、実に魅力的なシーンが多いですよね。実は水ものの写真を撮っても、かなりぐっと来る画を叩き出してくれるのがシグマのデジタルカメラ(SD1のインプレッション・WEBギャラリーをぜひご覧になってください)。コンパクトなボディですから、カバンからさっと取り出してシャッターを切ることができるのも大きな魅力です。雨の日は光もフラットで、どちらかといえば軟調な画のイメージがありますが、実は画にヌケとキレが無ければ「ぺたん」とした画になってしまうのです。DP2Mで、実は一番トライしてみたいのが、この雨の日の光景だったりします。

 

ガラスについた水滴は実に魅力的。あくまで個人的な印象ですが、水滴というのは画面中実に小さな範囲の中で、急峻に階調が表現されるものだと思います。実はカメラのポテンシャルというのはこんなシーンでよく見てとれるのかもしれません。・・・今後色々と濡れる光景にチャレンジしてみたいと思います。

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いかがでしたでしょうか。このカメラの魅力を伝えきるのには、如何せん腕の方が・・・。最初のSD9を思えば、一連のFoveonセンサーは幾つも次元が上がった印象で、もはや熟成の域に達したと感じられます。しかし、以前にシグマの山木社長へインタービューした際におっしゃっていたことですが、「本当にできるの?」と山木社長ですらFoveonセンサーの実現そしてそれを御することに「?」マークだったわけです。世のデジタルカメラとは全く違うセンサーを搭載しているわけで、ある種奇跡のようなカメラです。カメラメーカーとしては後発の印象ですが、シグマの立ち位置だからこそ世に送り出すことができたカメラだと個人的には感じています。そして、筆者も同じくですが、このセンサーの多大なる可能性を感じている皆さんが手にしているカメラでしょう。ぜひこのカメラの魅力を、愛情たっぷり(?)の既存ユーザの皆さんのみならず、広く写真を楽しむ皆さんに知って頂きたいのです。これから、何度かに分けてレポートをお届けしたいと思いますので、ぜひお楽しみに。

なお、今回はこのレポートに加えて、DP2Mを普段の生活の中で何気ないシーンを捉えるために用いてみた記事もご用意しています。ぜひあわせてご覧ください。

 




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