PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM X-E4 / SHOOTING REPORT
FUJIFILM Xシリーズの中でも軽量コンパクトなモデル、X-Eシリーズが4代目になりました。どちらといえばミドルレンジ、エントリー向けという印象のあった同シリーズですが、今回のアップデートでは新たな方向性が鮮明になっています。シンプルでソリッド、余計なものを排したそのプロダクトデザインは最早「玄人向け」という出で立ちに。手ブレ補正などという軟弱なものは捨て、撮影結果には自分で責任を持つ。写真撮影の何たるかを知る大人のための製品ということでしょう。ともすれば機能てんこもりになりがちな昨今、こうした方向に舵を切った製品が生まれるのは素直にうれしいですね。さっそくそのボディを見ていくとしましょう。
( Photography : A.Inden / Text : Serow )
LOOK & FEEL
スパッと直線で描かれるシルエットが美しいですね。グリップとフォーカスレバーを排したことで前面がフラットになりました。同時に刷新されたパンケーキレンズ XF27mmF2.8R WR との組み合わせでは、同社のコンパクトカメラX100シリーズを彷彿とさせるサイズ感です。こちらのレンズは防塵防滴仕様に加えて絞りリングが追加されており、マニュアル撮影を楽しんで欲しいというメーカーの意図が伺えます。
リアも右手グリップ部がカットされてボタンを整理。背面液晶を含めてフラットに仕上がっています。軍艦部は基本的なUIを踏襲し、背面からQボタンが移動。Fnボタンなどの印字が無くなりスッキリまとまっています。これら「ボタンを排す」ということが難しい決断だと思うのですが、X-E4は大胆にこれをやってのけたボディです。「そうそう、これでいいんだよ」という声が聞こえてきます。
OVERVIEW
X-E3と比較して1cmも薄くなったボディサイズ。それでいて背面液晶はチルト式となり、解像度も増加しました。センサーと画像処理エンジンがリフレッシュされてフィルムシミュレーションやブラケティングの選択肢も最新に。連写性能も動画性能も着実にアップデートされていますね。シンプルな操作感と軽量コンパクトを本領とする機種においても、基本性能の進化は一目瞭然です。
X-E4 | X-E3 | |
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発売時期 | 2021年2月 | 2017年9月 |
センサー | X-Trans CMOS 4 2610万画素 |
X-Trans CMOS III 2430万画素 |
画像処理エンジン | X-Processor 4 | X-Processor Pro |
ファインダー |
0.39型有機ELファインダー 約236万ドット |
|
液晶モニター |
3.0型 3:2 アスペクト チルト式タッチパネル付き TFTカラー液晶モニター 約162万ドット |
3.0型 3:2 アスペクト タッチパネル付き TFTカラー液晶モニター 約104万ドット |
動画性能 |
DCI4K(4096×2160)〜200Mbps 〜約30分 Full HD(1920×1080)ハイスピード動画 〜240p 〜約3分 |
4K(3840×2160)〜100Mbps 〜約10分まで |
連写 | 〜約20コマ/秒 (クロップでは〜約30コマ秒) |
〜約14コマ/秒 |
ブラケティング |
AEブラケティング フィルムシミュレーションブラケティング ダイナミックレンジブラケティング ISOブラケティング ホワイトバランスブラケティング フォーカスブラケティング |
AEブラケティング フィルムシミュレーションブラケティング ダイナミックレンジブラケティング ISOブラケティング ホワイトバランスブラケティング |
フィルムシミュレーション | 18モード | 15モード |
入出力端子 |
USB Type-C HDMIマイクロ端子(Type D) ø3.5mmステレオミニジャック(マイク、リモートレリーズ兼用) ホットシュー |
USB2.0/マイクロUSB端子 HDMIマイクロ端子(Type D) ø2.5mm マイク/リモートレリーズ端子 |
電源 |
充電式バッテリー NP-W126S 静止画撮影可能枚数:約460枚 実撮影電池寿命:[4K]約45分 |
充電式バッテリー NP-W126S 静止画撮影可能枚数:約350枚 実撮影電池寿命:[4K]約50分 |
本体外形寸法 |
(幅)121.3mm (高さ)72.9mm (奥行き)32.7mm |
(幅)121.3mm (高さ)73.9mm (奥行き)42.7mm |
質量 | 約364g(バッテリー、 メモリーカード含む) | 約337g(バッテリー、 メモリーカード含む) |
PHOTO GALLERY
いざ撮影に出かけましょう。X-E4と新しいXF27mm F2.8 R WRとの組み合わせはまさにコンパクトカメラというサイズ感で、カメラを持って出かけるにも心軽やかです。のっけから言ってしまいますが、このカメラの魅力はなんといってもここにありますね。気楽でよい。気楽なのがよい。ずっしりとした装備なら良くも悪くも1カットに緊張感が生まれるものですが、このカメラならあまりかしこまらずにシャッターが切れる。
傑作を撮ろうなんて力を入れるのではなく、ふとした心の動きに沿うように写真を撮れてしまう。ちょっといい光だなとか、きれいだなとか、面白いなだとか、そんな具合です。手にしたカメラを持ち上げてファインダーを覗くという行為ひとつにストレスがないからでしょう。
コンパクトカメラにフィルムを詰めて、気軽に撮り歩いていた感覚を思い出します。現代的なのはチルト液晶。やはりこれは便利で、無理な姿勢を取らずとも自由な視点を得ることができました。デジタルカメラだから実現できる良さをしっかり身につけて、それでいて余計なものがついていないという心地よさがあります。
富士フイルムの特長はその"色"。X-E4のようなカメラであれば気分に合わせてお好みのフィルムシミュレーションを選び、あとはJPEGでポンポン撮っていってしまうのが気持ちいいですね。テンポよくスナップしていくうちに、シチュエーションと結果が自然に体得されていくと思うのです。こちらの写真はリンゴの色合いも生々しくいい具合ですね。もう少し絞っても良かったかな。
ですからシャッタースピードか絞りか、どちらかを自分で決めて、あとはオートでカメラに任せてしまう。センサーもプロセッサもフラッグシップモデルと変わらないのですから、写りはカメラを信じる。そんな撮り方をおすすめします。この写真であればシャッタースピードダイヤルをちょっとずつずらして、水の動きがどう写るか確かめるところでしょう。写真撮影のキホンは、そうやって身につけていったものです。
X-Trans CMOS 4 & X-Processor 4の組み合わせは高感度耐性も定評通り。ISO1600は常用で何ら問題なく、ISO3200〜6400も積極的に使えるクオリティです。例えば日が落ちてきたらISO1600に固定してしまうことで、軽快さを損なうことなくスナップ撮影を継続できますね。
ISO6400。ノイズリダクションの処理が上手いといいますか、うまくディテールを保持しながら滑らかに仕上げてくれます。
日暮れ時、まさに記憶色といった仕上がりで空の表情を豊かなグラデーションで描いてくれました。シャドー部のトーンも粘り強く残っており、陰に沈むバイクの質感がいい具合です。朝から晩まで、心のままにシャッターを切っていきましょう。
カメラ好きなら、これでいい。これがいい。
シンプルでミニマル。コンセプトがしっかりしていると製品の魅力がこれだけハッキリしてくるのですね。カメラに慣れている方なら違和感なく使えて、機能は必要十分。不要なものが削ぎ落とされていることで、むしろ使い心地の良さが感じられると思います。もちろん単純に「格好いい」という感覚だけで選ぶのも正解ですし「小さいからいい」でも正解。メインカメラをしっかり整えている方でもグラリときてしまう1台だと思います。サブカメラとして、いつものバッグに忍ばせておけばいいではありませんか。
ではカメラに慣れていない方にはどうでしょう。「もっとうまく撮れるようになりたい」という意欲のある方にとって、X-E4はぴったりの選択肢になると思います。このカメラが「玄人向け」と言えるなら、このカメラを使いこなせるようになった人は「玄人」ということ。絞りのこと、シャッタースピードのこと、手ブレしないように構えることなど、写真撮影の基本技術はこのカメラで写真撮影を楽しんでいるうちに自然に習得されていくはずです。
車に例えるならマニュアルトランスミッションのライトウェイトスポーツ。自分の手で使いこなして行きたい方に、おすすめできる1台です。
( 2021.03.25 )
デジタルカメラの進化に一石を投じる美しい1台が生まれました。はじめての方ならまずはこのセットでOK。
シルバーもいいですね。クラシックカメラを思わせる雰囲気があり、それでいてモダンなフォルムが魅力です。
すでにXシリーズをお持ちの方ならボディだけでOK。センサーと画像処理エンジンのアップデートだけでも買い替え&買い増しの価値があります。
シルバーとブラックでお悩みですか? 両方行ってしまうという手もありますけれど。
シンプルなフォルムを損なうことなくグリップ感を向上するサムレスト。X-E4をガンガンに使いこなすなら外せないアイテムです。
シルバーボディにはシルバーのサムレストを。メーカー純正でこういったオプションが用意されているのはニクいですねえ。
ワイド寄りがお好みならこのあたりのレンズをプラスしてはいかがでしょう。X-E4にはぜひ単焦点レンズを装着していきたいものです。
望遠寄りならこちらでしょうか。豊かなボケを堪能できます。