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RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

RICOH GR IV Monochrome / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2 vol.3

モノクロ専用機で、カラー?

カラーフィルターを持たないモノクロセンサーを搭載した、モノクロ専用のコンパクトカメラ「RICOH GR IV Monochrome」。以前に比べて在庫が潤ってきたような印象がありますが、お楽しみいただいているでしょうか。モノクロ専用機といえば、2023年に同一ブランドのペンタックスからK-3 Mark III Monochromeが発売され(残念ながら現在は販売終了)、フォトヨドバシにおいては「Vol.7」(たぶん記録)まで、暑苦しくレビューをお届けしております。その一連の記事の中で、一際クレイジーで思い出深い企画がありました。カメラを固定して、赤、緑、青の3枚のフィルターで静止物を撮影した3カット分のデータをソフトでRGB合成し、1カットのカラー画像を得るというものです。この本末転倒とも言える撮影、フィルターを交換している間に被写体は動き、カラーシフトに満ち溢れた迷作を量産。つまり、無風でライティングをコントロールできる、屋内での静止物くらいしか撮る気にならない、相当にストイックでマニアックでルナティックな撮影なのです。ただ、カラー機を凌ぐ画質を得られるという、絶大なリターンがあります。赤の発色からして、ただモノではないでしょ? GR IV Monochromeが発売された時、この撮影法を思い出しました。お笑いの基本は、繰り返し。最近実機を手に入れることができたので、久しぶりに再トライしてみようと言うわけです。スナップに特化したキレッキレのコンパクトでレンズは28mm単焦点。なのにカメラは固定で、1カットあたり3ショットが必要。令和のトレンドに完全に逆行する、ウルトラスローライフな写真活動はどうなるのか。酔狂の極みに今一度、お付き合いください。

( Photography & Text : TAK )

まずは目次代わりに、こちらの動画をご覧ください。2分少々でざっくりと理解していただけると思います。何ならテキストは飛ばして、カートに直行していただいても一向に構いません。


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モノクロ専用カメラでカラー写真を生成する方法

モノクロ画像でもRGBのフィルターを通すと濃淡などが微妙に違いますが、これらはR、G、Bにおける濃淡情報なのです。それをRGBのチャンネルで合成するとカラー画像になることが、何となくお分かりいただけたかと思います。まずもって必要なものはRGBフィルターですが、ここではKenkoの「SP COLOR SET」という商品を使用しています。残念ながら生産終了品なので中古を探すことになりますが、レア物というわけでもなく、割と手に入りやすい部類かと思います。次にこのフィルターを装着するために、RICOHの「GA-3」というレンズアダプターを用意します。ただ、RGBフィルターとフィルター径が異なるので、ここでは49mmから55mmへのステップアップリングを使用しました。ちなみにGA-3は、21mm相当の撮影を可能にしてくれるワイドコンバージョンレンズ「GW-4」をつけるための重要な足掛かりになりますので、夢が膨らみます。

  • PHOTO YODOBASHIGR IV Monochromeのリングキャップを取り外し、GA-3を装着します。
  • PHOTO YODOBASHIレッドフィルターを(必要ならステップアップリングを介して)GA-3に装着し、カメラをしっかりした三脚に固定して、1枚目を撮影します。

ピントはマニュアルが最も確実です。毎カットAFで合わせることは可能ですが、ずれない保証はありません。露出もオートの露出補正なしで十分です。グリーン、ブルーについても、同様に撮影します。フィルターを交換する際カメラが動かないように、細心の注意を払ってGA-3に平行にそ〜っと当てがって、フィルターをそ〜っと回してください。段々慣れて来ますが、ほんのちょっとの油断でカメラが動いたりします。ここが撮影最大の肝なので、くれぐれもご用心を。三脚もある程度の重さがあって、たわみにくい物をおすすめします。RGBで撮る順番も決めておきましょう。さもないと、後でどれがどれだかわからなくなります(笑)。今回は撮る順番をR、G、Bに決めていたので、ファイル番号の若い方からRGBであることが一目瞭然です。


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RGB3枚の写真が撮れたら、編集ソフトで合成しましょう。ここからが一番楽しいひとときです。3枚のデータを開いたら、新規で白のキャンバスを作ります(ここではフォトショップを使用)。これがRGBを合成する土台になります。キャンバスカラーの設定は「白」、カラーモードは必ず「RGB」を選んでください。「グレースケール」だと、カラー化できません。準備が整ったら、右側のチャンネルパネルで「レッド」を選んでください。ここにレッドフィルターを装着して、撮影したデータを流し込むためです。

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レッドフィルターで撮影したデータをコピーします。

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コピーしたデータを、新規作成した白キャンバスにペーストします。右側のチャンネルパネルを見ると、レッドの成分が入ったことがわかります。また、この時点でのRGBとしては水色系の濃淡情報になっています。レッドフィルターを通った光はレッド以外、つまりグリーンとブルーになります。それらが混ざると、水色、つまりシアンになるのです。「光の三原色」の理屈ですね。

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グリーンとブルーに関しても、同じ工程を繰り返します。各成分を入れると、チャンネルでのRGBがカラーになります。レッドフィルターで得られたシアン(グリーンとブルー)、グリーンフィルターで得られたマゼンタ(レッドとブルー)、ブルーフィルターで得られたイエロー(レッドとグリーン)と、3つの濃淡が合わさったデータが、カラーになるのです。ちなみに、CMYKというカラーモデルも聞いたことがあると思いますが、これはまさにシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、そしてそれらを混ぜるほどに黒(Key plate=黒)に近づく特性を応用して、印刷などに広く使われています。一方、RGBは混ぜるほど明るくなる特性を利用して、ディスプレイなど自ら発光するタイプのメディアに用いられています。今ご覧になっている画像も、まさにそれです。

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RGBの画像を、拡大してみます。初めて見た時は感動しますよ。この時点では色のバランスが不自然ですが、これはフィルターの濃度などに応じた露出にしていないからです。フィルムであればアウトですが、デジタルはソフトで補正可能なのでさほど厳密にならずとも問題はありません。さきほど露出はオートでOKと言ったのはそのためで、何よりも作業効率を重視しています。ただでさえ手間のかかる撮影ですから。


RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

色の純度がまるで違う

こちらが補正をかけた、先ほどの合成画像の最終アウトプットです。補正といってもオートですが、自分で細々とやるより正確で楽です。レコードの盤面を4:3比率で撮影しました。画像クリックで等倍をご覧いただけます。手持ちのレコードの中で一番派手なものを選びましたが、そのカラフルさがどこまでもストレートに再現されて、盤面のぬめり感も生々しいです。細かな溝やレーベルのカラー印刷の様子などもシャープで、曖昧さも皆無。一般的なベイヤー配列のセンサーを搭載したカラー機では、ちょっと得難いクオリティです。なにせ、土台となるR、G、Bそれぞれのモノクロデータが、1画素1トーンの情報を持っているのですからね。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

身の回りの見慣れた被写体でもこういう風に描写されると、あまりのリアリティに言葉を失います。画角は28mm相当では広過ぎたので、35mm相当にクロップして撮影しました。4K相当のアウトプットに対し、画素の余裕も減ってくるころですが、この撮影法では痛くも痒くもありません。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

こちらもクリックで等倍をご覧ください。色も解像感も、一切の「処理」が無いのでわざとらしさがありません。逆説的ですが、リアル過ぎて造花にも見えて来ます。いつも見ている写真よりも遥かにクリアで、これ本物なの?と違和感を感じるのでしょうか。個人的には、国際宇宙ステーションからの映像を見た時に近い衝撃を受けます。ともかく、前のカットでもそうなのですが、アウトフォーカスのボケにさえノイズ的要素が見受けられません。色補完により想像された色ではなく、現実のRGB全てを加味した、これが真のカラーデータなのでしょう。


RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

カメラ内蔵のRed Filterは使える?

本機を相棒とされている方は、この撮影方法を聞いた瞬間、そう思われたかもしれません。フィルター交換の回数が一回減るので、これは楽に違いないと思い、試してみました。それが次のカットです。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

再高揚しかけたハートが、落胆にリライトされました。右側のケーキフィルムの文字をよ〜くご覧ください。壊れたプリンターのように、印刷色のずれが目立っています。フィルター交換時のカメラのずれを疑い、再撮影しましたが結果は同じ。もしやと思い、本機のレッドフィルターの位置を調べてみたらビンゴ!レンズユニット内部に組み込まれているとのことです。そうなりますよね。GA-3の前にねじ込むフィルターとは物理的に位置が違うので、色のずれが起こるのだと考えられます。何ならグリーンもブルーも組み込んでターレットファインダーのようにフィルターを切り替えられないかな、そしたら、、、等と、無謀で無意味な所見も、脳内で散見されます。そして思い出されるのが、光の波長の違いを利用したRGBの3層構造のセンサーです。仮にFセンサーとしましょう。カラーフィルターを必要とせず、色補完も不要。そのこと自体は今回の撮影法と同じですが、Fセンサーはこれを1ショットでやってのけるのです。言葉で言うのは簡単ですが、その開発がいかに困難であるかは素人でも想像できます。ちなみにこのカットの再撮は無し。ケーキを目前にして「待て」をさせられていた家族の気持ちもまた、容易に想像できます。


RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

色ずれは動体でも起こります。この動体こそ、本撮影法が最も不得意とする被写体です。しかも、ほんの少し動いた時点でアウトです。1カットの通常撮影ならシャッター速度を上げれば対処できますが、異なるタイミングで3カット撮影している間に動いた結果が、そのまま残ってしまうのです。これが本撮影法が野外撮影に適さない、最たる理由となります。同じ植物でも、柳の木は避けたいところですね。動物をどうしても撮りたければ、例えばウミガメとかならチャンスがあるかもしれません。ハシビロコウは、、、動かないようで多分ウルトラスローで動くでしょうね。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

ならば不動の被写体はどうかというと、光が当たる箇所が特にギャンブルになります。右側の赤や緑の妙な光は、各レリーズ間で雲が動くなどして、光の当たり方が変わったことを意味しています。肉眼では雲が無いように見えても、実際は薄〜くかかっていることもあります。本人はこれでも一生懸命スピーディーにフィルター交換をしているのですがね。いや、そもそも、力を注ぐポイントを間違えているような気もします。側から見たら、何してんねんと。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

こちらもクリックで等倍化します。苔むした部分とか、ゾクっと来ます。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

細かく見ると色ずれはあるのですが、目立たないのでOKとします。やっぱり美しいですよ。

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これはもう上出来でしょう。真ん中下がレインボーですが、キレイなのでヨシ(笑)。厳密に言えば、グローバルシャッター以外のシャッターを搭載したカメラでも、フレームの上と下とでは露光のタイミングが、、、以下自粛。

RICOH GR IV Monochrome, Photo by TAK

最後は逆転の発想です。動くにしても、規則的な動きならいけるのでは?との仮説で臨みましたが、本当にいけました。プロペラとかどうでしょうかね。撮る理由は分かりませんが。


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せっかくの趣味。貪欲に感動しましょう。

カラーが写らないのにカラー機よりも高価。一般的目線では確かにそうですが、どうしてもカラーが撮りたければ、GR IV Monochromeでも撮れてしまうのです。カラーの方のGR IVが手に入らないとお嘆きの方、いかがでしょうか、と言うには少し無理がありましたね。K-3 Mark III Monochromeなど、本機以外のモノクロカメラでも全く同じやり方でカラー画像を得られるということも、お伝えしておきます。物撮りが主になりますが、クライアントの期待の遥か斜め上を行くオーバースペックの物撮りには好適です。もちろん条件さえ揃えば、息を呑むような風景写真も撮れます。画角こそ28mm相当と広めで決して万能とは言えませんが、被写体をどう見たら綺麗に格好よく見えるかを思案すること自体は、他の撮影と何ら変わりはありません。距離やアングルやクロップなど、全ては工夫次第。そして何と言っても、モノクロデータからRGBが浮き上がってくる瞬間はサイエンスであり、ケミストリーであり、ダイレクトな感動があります。そして、たまには被写体とじっくり対峙するのも良いものです。そもそも急ぎようがないので、自然と世の中をじっくり眺めるようになります。「効率」はいったん忘れて、遊んで遊んで楽しみ倒すくらいがよいでしょう。カメラマンが黒い布をかぶり、モデルが数十秒も静止していた頃から比べたら、これでも随分楽ちんですし。無論、普段はキレッキレのモノクロシューターとして、その本分を存分に全うさせてください。GRでモノクロ。積年の夢が、実現したのです。骨の髄まで、しゃぶりつくそうではありませんか。

( 2026.08.21 )

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モノクロでコンパクトで単焦点。ここまで趣味道全開のカメラはそうそう出ません。在庫があるうちにぜひお求めください。確かにお安くは無いのですが、「あれ」よりは、、、ね。

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フィルターを装着するためのアダプター。49mm径です。もちろん、RGB以外のフィルターも装着できます。というより、それが普通です。

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機動性と頑丈さを両立させたミニ三脚セット。今回使いましたが、最高でした。

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正統派に戻りたくなった、極めてまともな方の、バイブルです。

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絶対に動かない被写体。

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練習用にいかがでしょうか。

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