PHOTO YODOBASHI

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Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

Panasonic LUMIX S 18mm F1.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ライカLマウントの超広角レンズ「Panasonic LUMIX S 18mm F1.8」の実写レビューをお届けします。本レンズは35mmフルサイズに対応した、パナソニックの「F1.8シリーズ」に属する5本(85mm、50mm、35mm、24mm、18mm)の中で最広角となる1本。これらのレンズは、F1.8の開放値や鏡胴のサイズや形状だけでなく、カラーバランスや描写の傾向まで揃えられています。複数本のレンズで撮影をした場合に画に統一感を持たせやすく、操作ミスを防いだり動画撮影でリグを組み直す手間を省略できるといった多くの利点があります。このあたり、動画に強いカメラやレンズを長年生み出してきたパナソニックらしい細やかで嬉しい気遣いですよね。

本レンズのスペックについてもご紹介します。12群13枚のレンズ構成のうち、非球面レンズ3枚、UEDレンズ1枚、EDレンズ3枚、UHRレンズ1枚を採用した贅沢な構成により、球面収差やサジタルコマフレアを効果的に抑制しています。また屈折率の高いUHRレンズの採用により、サイズを抑えながらも画面の隅々まで優れた描写を実現。AF駆動は高速なリニアモーターを採用し、静音性にも配慮されています。9枚羽根の絞りは円形虹彩絞りを採用。最短撮影距離は0.18m、最大撮影倍率は0.20倍です。サイズは最大径73.6mm、全長が82.0mm、重量は340g(フード含まず)と小型軽量ながら、ホールディングしやすく操作性を犠牲にしないサイズ感と軽快感のある重量にまとめられています。今回撮影を行ったLUMIX S5IIでは、バッテリーやSDカードを含めて740g、カメラボディとレンズを合わせて1,080gでした。

( Photography & Text : Naz )

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

パッと飛び込んでくる眼前の光景をすべて取り込めてしまう対角100度の画角により、ダイナミックな構図を作ることができます。またLUMIX S5IIとの組み合わせでは、キビキビ合焦するAFにより、一瞬の光景を写し取るストリートスナップ撮影も捗りました。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

撮影者の後方まで写りそうなほど大きく上方へカメラを向けてみました。超広角レンズでは眼前の様々なものが写り込む上に、強いパースもついてきます。撮影時にシンプルなフレームを構成できると、超広角レンズらしい気持ちのよい画に仕立てることができます。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

都市光景では付きものの直線。電子補正はすべてOnで撮影していますが、ご覧の通り直線はビシッと直線に描かれています。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

厚い塗料が塗られた生地の質感がよく再現されています。滑らかなトーンにより、少し硬そうな手触りまでも感じ取れそうなほどです。F1.8という開放F値により、18mmといえども近接では大きなボケが得られました。そのボケも超広角レンズとは思えない美しさ、そして自然さを感じます。


Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

雨上がりの草むらにレンズ先端を差し込むようにしての撮影。シャープながら、硬すぎない凜としたリアルな描写にゾクッとしました。水滴の粒ひとつひとつに丸みがちゃんと感じられます。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

画像のクリックでF1.8、F2.8、F4、F5.6、F8と切り替わります。開放では油絵のようなボケ感。周辺減光は補正Onでも少しありました。F4あたりで画質がぐっと安定してきます。レンズの個性を求めるならF1.8〜2.8、画質を求めるならF4〜8がよさそうです。玉ボケは開放でも口径食の影響は少なく、どの絞り値でもきれいな形状を保っていました。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

超広角は水平〜上方へレンズを向けることが多いだけに、下向きのアングルでは視点の変化を作れます。開放から2段半絞ったこともあり、四隅まで安定した描写となりました。風景撮影でも重宝しますね。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

床にカメラを置いて撮影。カメラの底部よりフードの外径の方が大きいため、わずかに上向きの角度がついています。極端な角度をつけたアングルは、強烈なパースがついてきますが、水平付近に抑えれば超広角といってもナチュラルです。画面右上に写る線でわずかにフリンジが見えていますが、輝度差の大きい条件を踏まえればよく抑えられていると思います。気になる場合は後処理できれいに除去できるレベルでしょう。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

狭い路地も超広角レンズなら、そのすべてを写し込むことができます。大口径レンズですから、薄暗いシーンでもISO感度を無闇に上げることなく撮影に挑めますね。手ブレ補正と組み合わせれば、1秒程度の長時間露光も手持ちで行うことができました。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz

水平垂直に気をつけて撮影。超広角レンズにありがちなベタッとした写りにはならず、立体感や安定感のある写りになりました。

Panasonic LUMIX S5II, LUMIX S 18mm F1.8, Photo by Naz


  • PHOTO YODOBASHILUMIX S5IIの24MPセンサーでも高い解像感が得られます。解像力には画素数という物理的な限界があるのは当然ですが、LUMIX S1Rといったより高画素なセンサーを持つカメラでも解像力が不足することはないでしょう。撮影したS5IIがローパスフィルターレスということもあり、上方の高周波なところでモアレが見られました。(画像のクリックで原寸画像を表示します)
  • PHOTO YODOBASHI開放で手持ち撮影してみました。サジタルコマフレアは四隅で僅かに見られますが、点光源の形状が大きく崩れることはありませんでした。これは1段絞るだけでも効果的に抑制できます。(画像のクリックで原寸画像を表示します)

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超広角を存分に楽しめる、高い実用性と使い勝手を兼ね備えた単焦点。

撮影を終えて感じたのは、小型・軽量であることに加えて、安定した描写や手頃な価格等、何拍子も揃った実用性の高いレンズであるということでした。18mmの画角は、使い慣れないと扱いが難しく思えてしまうほどに広く感じましたが、撮り込んでいくにつれ、フレームの整理やコントロールに意識を配る余裕が生まれ、その結果他の画角では得られない勢いある画を手に入れることができました。明るい超広角ですから、撮影スペースの限られた室内でも重宝しますし、美しいボケ味を活かしてポートレート撮影にも使ってみたくなりますね。「F1.8シリーズ」を5本すべて揃えるのがオススメではありますが、1本飛ばしで18mm、35mm、85mmと大きな変化を作れる3本をまず揃えるのもよい選択だと思います。いずれにしても本レンズが「F1.8シリーズ」の最広角となりますから、撮影の幅広さを確保するためにも押さえておくべき1本であることに間違いはないでしょう。

( 2023.10.10 )

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パナソニックの良心を感じる1本でした。光学性能からしたら、バーゲンプライスと言っていいでしょう。様々なレンズが選べるLマウントの中でも失敗しない1本だと思います。

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最短撮影距離の短い本レンズでは、他のレンズ以上に被写体まで迫ることがありますから、防滴防汚コートのついたフィルターが保護フィルターとして最適です。

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