Panasonic LUMIX S 85mm F1.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

パナソニックLマウント用の中望遠単焦点レンズ「LUMIX S 85mm F1.8」のご紹介です。本レンズは高い光学性能に加え、機動性やユーザビリティも重視し開発されたパナソニック独自の設計指針「LUMIX S」シリーズのレンズとなっています。85mmという焦点距離は中望遠特有の遠近感のある画角と、上質で柔らかなボケにより被写体を際立たせてくれます。EDレンズを2枚を含む8群9枚のレンズ構成と9枚羽根の円形虹彩絞りを採用することで、高い描写性能と自然なボケが織りなす奥行きのある写りが期待できそうです。また、防塵防滴に配慮した設計で−10°Cの耐低温にも対応しているとのことで、あらゆる条件下において安心して撮影ができるでしょう。表現者の想像を超えた「質感描写」を目指したという本レンズがどんな写りを見せてくれるのか、さっそくご覧ください。

( Photography & Text : Z II )

手前のボケは元の形がわかる程度に控えめですが柔らかく自然な印象です。ピントを合わせた被写体まで少し距離がありますが、前景背景からしっかり分離されているので、見せたいところに視線を誘導することができます。

絞り開放の解像力を確かめるべく約30m離れた位置からのカット。色のりと立体感、抜けのよさなど申し分ない写りです。周辺減光の補正はあえてOFFにし、岩の存在感を強調してみましたが、いかがでしょう。

「水平線を見つめて」というオーダーに瞬きひとつせずに涙目で応えてくれました。左眼に合わせたピントは、鼻のラインでは焦点が外れるほどの薄さ。眼を強調したかったので、このカットは絞り開放で撮影しましたがフェイスラインのフォーカスを残す時には少し絞って撮る方がいいかもしれません。絞り開放でここまで寄ると背景はかなり溶けるものの完全に溶けきらない分、空のトーンが残り画に空気感やリアリティを感じます。

なんとも楽しげな、声や音まで聞こえてきそうな一枚。85mmは程よく距離を保てるので、姉妹がはしゃぐのを邪魔することなく自然な表情を撮ることができました。防塵防滴に配慮された設計ですから、こういうシーンでも安心です。

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ハイライト、シャドウの描き方、金属やゴムなどそれぞれの質感描写が素晴らしく、さらにボケも相まって奥行きを感じる画に仕上がっています。何気ないシーンも本レンズにかかればドラマチックな雰囲気に変わりますね。

盛大にゴーストやハレーションが出てもよさそうなシーン。逆光への耐性も強く、眩しい雰囲気は残しつつも、ピント面の輪郭や質感をしっかり描写できています。

パースのつきにくい中望遠ゆえの、実際に近い見え方が心地よいですね。金属や床板の質感、陰影の描写は文句のつけようがありません。

AFは歩きながらサッと撮るのにも問題なく反応してくれました。このサイズなら気軽に持ち出せますし、いつもより大胆に寄った感覚でスナップできます。

本レンズは玉ボケの美しさも特長の一つです。解放絞りがF1.8の大口径は光が斜めに入ることで四隅に口径食が出やすくなります。本レンズは鏡胴が短いことや前玉が少し小さいこともあり、かなり抑えられている印象です。

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コンパクトで高い描写力、バランスのよい85mm

ご覧のとおりボケ、キレ、色のり、コントラストどれをとっても一級品といっていい写りでした。今回使用したボディ「LUMIX S1R」は4,700万画素の高画素モデルのためレンズの性能がシビアに試される状況でした。しかし気になる収差などは一切なく、どちらかといえばレンズの性能をより引き出せた印象です。特に前後の柔らかなボケと質感描写は素晴らしく、システムが軽いことも相まって1日撮り歩いても疲れを忘れるほど楽しめました。これほどの写りをこのサイズ、この価格で実現しているのですからLマウントユーザーなら買わない手はないでしょう。さらに、本レンズを含む「LUMIX S」の5本で構成された「F1.8単焦点シリーズ」も注目です。このシリーズはレンズの全長とフィルター径、描写性能や操作性を統一しており、動画撮影をも見据えた充実したレンズラインアップが揃っています。他のマウントユーザーの方も、もし気に入ってくださったなら、先を見据えたパナソニックLマウントシステムを新たに構築する選択もアリだと思います。

( 2023.10.05 )