PHOTO YODOBASHI
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FUJIFILM X-T10 / SHOOTING REPORT
高速なレスポンスと優れた描写性能で定評のある、富士フイルムのXシリーズ。クラシカルなレンジファインダータイプの意匠を纏った一群に、突如一眼レフスタイルのルックスで登場し異彩を放ったのがX-T1。高精細でタイムラグの少ないEVFを光軸上に配置することで、フィルム一眼レフさながらの使い勝手を実現し高い評価を得ました。そのDNAを受け継ぎ、扱いやすさも獲得したのが本レビューでご紹介するX-T10です。精鋭揃いのFUJIFILM Xマウントのレンズラインアップを擁し、インテリジェントハイブリッドAFによる高速なピント合わせなどX-T1とほぼ同じ性能を備えながら、アドバンストSRオートなどによる気軽さ・親しみやすさを併せ持っているのが本機。もちろん写りの良さもそのままに受け継いでいます。
( Photography : Z II / Text : 4beats )
雨が上がり、陽の光を受けてこれから空気の状態が大きく変化しようというとき。温度や湿度にまでイメージが及ぶほどの情報の豊かさは、X-T1から受け継いだ1630万画素のX-Trans CMOS II センサーと、画像処理エンジンEXR Processor IIの組み合わせがあってのことでしょう。多くの操作を軍艦部のダイヤルでこなせるところはXシリーズの伝統。こういった微妙な露出に迷うシーンでも素早く対応できます。
ピントは水道のコックに、露出はハイライト部分に合わせてアンダー目に。曲面で構成された小さな金属には、空から足元に至る周囲の光景がまるごと圧縮されて映り込んでいます。その様子が緻密に、確実に捉えられており、本機の素性のよさを改めて感じました。
Xシリーズの特長の一つに、富士フイルムならではの"フィルムシミュレーション"があります。このカットは「VELVIA/ビビッド」で撮影。湿り気のある葉と床面を色鮮やかに再現しています。撮影の途中で瞬時にフィルムを切り替えるという、旧来のフィルムカメラにはできないことが可能なのはデジタルカメラだからこそ。そしてフイルムメーカーのカメラだからこそですよね。
太陽の光にも負けないレンズと、それを受け止めるセンサー。やはりさすがですね。このカットも「VELVIA/ビビッド」に設定。空のトーンを豊かに描いています。
激しい川の流れも、静かな水面も、どちらも巧みに写し取ってくれています。画に厚みがあると言いましょうか。ちなみに川の流れのカットはISO 1600ですが、まったく気になるところがありませんよね。
ピントの速度、精度にも定評があります。位相差AFとコントラストAFの「インテリジェントハイブリッドAF」が被写体を瞬時にキャッチてくれるのですから評判の高さも頷けます。そしてこのカットはISO 3200、それでいてこの髪の毛や肌、服の再現力には正直驚きました。少々光が足りないシーンでも安心して感度を上げられます。
フットワークの軽さを手に入れた"X"
いかがでしょう、X-T10は。と言ってもX-T1からほとんどの部分を受け継いでいるのですから、言うまでもなく信頼の置けるカメラであることはお分かりですよね。ではX-T1と本機の違いはどこにあるのでしょうか。それはずばり"フットワークの軽さ"と言えるでしょう。シャッタースピードダイヤルの右に新設されたレバーを操作するだけで「アドバンストSR オート」に切り替わり、瞬時にフルオート撮影にスイッチ。カメラが自動でシーンを判別してくれますから、気軽にシャッターを切りたいときにも、不意にやってくるシャッターチャンスにも対応できます。ボディは一回り小さく・軽くなっており機動性が向上、毎日の持ち歩きもし易くなりました。またEVFのカバーにはストロボが内蔵されており、スイッチ操作でポップアップ、ちょっとしたアシスト役を担ってくれます。重厚でハイエンドユーザー向けの感があったX-T1と比べ、気軽で親しみ易く、フットワークの軽さを身につけたのがX-T10なのです。
EVFを搭載した一眼タイプの機種、とても気になりますよね。Xのカメラを既にお持ちの方には、軽快なサブ機として。これからフジのXシリーズを使ってみたいという方には永く使えるメイン機として。普段使いにも最適な、X-T10。様々なシーンに幅広く対応できます。
( 2015.12.21 )
購入を決断した後にもう一つ悩ましいのがボディカラーの選択。シャープなシルバーか、重厚感のあるブラックか。雰囲気重視ならシルバーボディでしょうか?
各種設定をダイヤル類のアナログ感覚で操作できるのは、Xシリーズの良さの一つ。往年のカメラを模したルックスもうれしくなりますよね。ブラックボディも捨てがたい。
標準ズームとの組み合わせがこちら。Xの購入が初めての方のみならず、単焦点レンズしかお持ちでない方にもオススメです。
気軽に撮影に臨みたいときには、ズームレンズはとても便利ですよね。日常の記録や、お散歩のお供にもうってつけ。
ボディの保護になるのはもちろん、グリップ力もアップします。
小ぶりになったX-T10ですから、アシストグリップがあるとしっくりくる場合もあります。
いざというときにありがたいのが、お年寄りの知恵と予備バッテリーです。
なくてもいいけど、あると意外と便利なのが、輪ゴムと予備の充電器です。