PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Carl Zeiss Milvus 2/35
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
Milvus 2/35は、ハイエストライトからディープシャドーまで豊かなトーンで表現し、画の隅々まで高い解像力で私たちを魅了してきたDistagon T* 2/35からリプレイスされたレンズです。光学設計は旧製品と同様のディスタゴンタイプを継承し、現代の高画素機でも十分な描写性能が得られるようデジタルにネイティブなチューニングが施されております。ミルバスシリーズは、過酷な条件下での撮影に対しても配慮され、防塵防滴機能が備わっているのも良いですね。マニュアルフォーカスがベースの設計ですので、ピントリングの回転角が大きくとられており、そのフィールも素晴らしいもの。35mmという画角は、広角レンズとしても標準レンズとしても活用できますのでスナップから風景まで幅広い運用が可能です。そのうえ本レンズは被写体にグッと寄ることができる万能さも兼ね備えており、ぜひ手にとって頂きたい一本です。早速撮影してまいりましたので、ゆっくりご覧ください。
( Photography : KIMURAX / Text : KIMURAX & TA )
広角系レンズですから絞って撮るシーンが多くなる事必至でしょうがレビューですからね。お約束通り絞り開放でいきます。被写体との距離もあるので深度も深めとあって、キッチリ結像しています。解像感たっぷりの描写をするレンズなだけあって、確かに絞り込んでいっても画が平坦になるようなことはないのですが、開放の方がより奥行きが感じられますね。積極的に開いて行くのが吉でしょう。
朝から霧雨が降ったり止んだり。スパイダーマンのボディースーツ柄のようなキレイに整った蜘蛛の巣ではありませんでしたが、かえって細かく入り組んでいたことで大小様々な水滴が捕まっていました。色収差もほとんど見受けられず、見たままを忠実に切り取ってくれました。
前ボケ、後ボケ、とても柔らかですね。しっとりとした艶の表現も秀逸。この梅雨時期はどうしても色彩のメリハリが乏しくなりがちですが、本レンズの持つ豊かなトーンが被写体をしっかり浮き立たたせてくれます。
絞り開放で傾きかけた太陽の反射光を入れてみましたが、フレアなども出ずにコントラストもしっかりキープされています。
構図に一工夫加えるもよし、どーんと直球で行くもよし。広めの画角は遊び甲斐がありますね。
そこに漂う空気感までも写し込んでしまう描写力。緻密な描き込みによる質感表現もさることいながら、深みを感じさせるシャドーの表現が功を奏しているのでしょう。
フォーカスしたのはどこでしょうか?ピント面はサザエにもきていますが、もうすでに死んでいます。
どーだと言わんばかりの艶、色乗り。グイっと寄るなら最短0.3mで。
とにかく開放からシャープな像を結ぶものです。Zeissレンズにおいての痛快さは開放にあり、と勝手ににしみじみ感じる入ってしまうわけです、はい。
- 開放時のピント面は極薄。少し離れるだけで一気にボケが広がるので、よく分離していますね。フォーカスした花が宙に浮いているかのようです。
- 感度を上げての撮影ですが、生地のテクスチャをしっかりトレースしています。コントラストも申し分ないですね。
万能さはピカイチ。寄れる準広角レンズ。
トーンが豊かで、隅々まで高い解像力。高コントラストな中にも緻密な描写はさすがはツァイスと感じ入りました。梅雨時期特有の湿り気を帯びた重たい空気の表現や色再現性も実に見事ですね。35mmという画角は、フレーミングに遊びを持たせれば情感たっぷりの印象をもたらすことができますし、切り詰めれば伸びやかさの中にも緊張感を宿すことができる。そんな画角だと思います。
本レンズは、ミルバスシリーズの中では重量702gと軽量で、全長も83mmとコンパクトな部類に入り、おまけに「寄れる」レンズです。広角レンズとしても標準レンズとしても重宝する35mmの画角は、スナップから風景まで幅広い運用を可能としてくれますので、ミルバスシリーズの中でも、その万能さはピカイチと言えるでしょう。是非ともおすすめしたい一本です。
( 2019.07.18 )
トーンが豊かで、隅々まで高い解像力。高コントラストな中にも緻密に線を結ぶツァイスならではの描写を愉しめる万能レンズです。35mm好きの皆さんに、まずおすすめしたい一本です。
ツァイスには純正の紫外線カットフィルターがおすすめです。レンズの保護用としてもどうぞ。
過去から現代へ。ツァイスの系譜をわかりやすくまとめた一冊です。うっかりと、まだ「GAPPURI ZEISS」を購入されてない方は、こちらからどうぞ。
「GAPPURI ZEISS」の電子書籍版です。