PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Canon PowerShot ZOOM / SHOOTING REPORT
撮れる望遠鏡「Canon PowerShot ZOOM」を紹介します。単眼鏡のような形の本カメラは、35mm判換算 100mm、400mm、800mm という3つの焦点距離を持つ、望遠撮影に特化したコンパクトカメラ。質量約145g、幅33.4mm、高さ50.8mm、全長103.3mmとポケットにすっぽりと収まるサイズで、軽量コンパクトながらオートフォーカスや光学手ブレ補正などの機能をしっかり搭載しています。1/2.3型CMOSセンサーの中央部分を使用し、有効画素数は約1210万画素。ファインダーは0.39型、約236万ドットのEVFで、望遠鏡として楽しむには十分なスペックです。身軽なスタイルで持ち歩き、ふと遠くのものを見たり、ついでに撮ってみたりしたい。そんな思いに応えてくれる稀有な存在だと思います。
( Photography & Text : A.Inden )
アオバト
やっと撮影することが出来ました。この場所はダイヤモンド富士や綺麗な夕焼けが撮れるお気に入りの場所「照ヶ崎」。撮影に訪れるたびに気になっていたのがアオバトです。アオバトは鮮やかなオリーブ色が特徴のハトで、集団で海岸に飛来し海水を飲むことが知られています。海岸近くの岩場に飛来しますが、肉眼だと小さすぎて「あれかな?」程度にしか確認できません。ちゃんと撮影しようとすれば超望遠レンズが必要なのでいつもはチャレンジしなかったのですが、このカメラならピッタリだと撮影に出かけました。
アオバトを撮影したカットは全て800mm(デジタルズーム)で、設定はカメラ任せ。想像していた以上に綺麗に撮れて驚きました。PowerShot ZOOMは手のひらにすっぽりと収まるサイズで、片手で構えてファインダーを覗く形になります。800mmという焦点距離で上手く被写体を追えるのか、ブレずに撮れるのか不安でしたが、光学手ブレ補正の効果が素晴らしく、スムーズに撮影することができました。またAFは800mmでも速やかに合焦。大きくピントを外したカットはありませんでした。
同じ場所から100mm、400mmで撮影。波の調子も綺麗に再現され、サーファーもしっかりと描写されていますね。ちなみに焦点距離はボディ上部にある「ZOOM」ボタンで切り替えます。押すたびに100mm → 400mm → 800mm → 100mmと焦点距離が変わり、ファインダー内もパッと瞬間的に切り替わります。テンポ良く被写体を追っていけると思います。
この2カットは800mmで撮影。800mmはデジタルズームのため画質が低下するとのことですが、エッジに若干甘さは見られるものの、速いスピードで動く被写体をブレもなくしっかりと捉えてくれました。何より遠くの被写体を大きく撮れるということに価値があります。
400mm
100mm
800mm
望遠の世界がグッと身近に
何か面白いものがないかと双眼鏡を持ち歩いていた頃を思い出しました。望遠鏡で遠くのものを見る楽しさは、誰にも共通するものだと思います。カメラに合わせて望遠レンズを作れば大きく重いものになってしまうのですが、発想を変えて望遠鏡にカメラをつけてしまおうと考えたのが本製品です。ポケットから出して電源を入れればすぐ起動。被写体を見ながら「ZOOM」ボタンでレンズを切り替え、あとはカメラ任せでシャッターを押すだけという簡単さです。強力な手ブレ補正でファインダーも安定し、撮れた写真はほぼブレなしと、本当に良くできたカメラだと思います。ただ、ここまでコンパクトに抑えた望遠カメラですから、万能というわけにはいきません。メーカーサイトには「夜間や暗いシーンでの撮影、天体観測では適していないシーンがあります」と注意書きがされていますが、確かに暗いシーンで撮影するとISO感度が上がり、ノイズが目立ち解像感も落ちるのです。でもISO感度さえ気をつければ、気持ちのいい写真が上がってきます。最後の月の作例、露出補正を-3にしてISO感度を100に抑えて撮影しました。結構いい具合に撮れていますよね。月のうさぎは見えるでしょうか。
本カメラを持てば何を撮り行きたいか、きっとすぐに浮かぶはず。家族でのレジャーやお子様が使うにもピッタリだと思います。夏が終わる前に、おひとついかがですか?
( 2024.09.09 )
いつでも持ち歩ける超望遠。
黒も用意してあります。