時間の有効活用と時差ボケを
考慮してのフライトスケジュールを決める

今回の旅は、7泊8日でシアトル→ニューヨークの2都市周遊。シアトルに2泊、ニューヨークに3泊という日程です。仕事を1週間も休まなければならないため、できる限り時間は有効に使いたい。太陽が上がってくる方へ向かう場合、時差ボケも面倒。それらの点を考慮して右の図のようなフライトのスケジュールを組みました。成田ーシアトルの間はともかく、シアトルーニューヨーク間は実質的な睡眠時間を考えると結構キツいものが。帰りのニューヨークー成田間は、機内の中で寝てしまうと後が大変なように思いますが、散々撮り歩くことと旅の疲れもあって、到着後も寝てしまえます。しかし毎度毎度思うことですが東南アジアあたりに出向くのとは違い、アメリカやヨーロッパは遠いですね。頭で日付変更線を跨ぐことはわかっていても、同じ土曜日の朝を2度見たりすると「遠いんだろうなあ」としみじみ感じます(何度経験してもよくわからない遠さ)また、南半球に行けば、夜見る星座も反転して見えたり。日本は特に地理的なこともあって、何処に移動するにしても本当に遠い。あまりにガラっと環境も変わるため、海外となると何となく億劫です。一度渡ってしまえばどうってことはないのですが。

 

柔らかいレンズを持って、わざわざ雲の厚い冬に訪れる

水郷といった表現が似合う瑞々しい光景がひろがるシアトルは、スカッと晴れ、高緯度な地域独特のクリアな光に包まれる季節も美しいと思います(少し光は硬いのですが)。しかし、どちらかといえばミストな空気に包まれる季節になぜか惹かれてしまうのですね。水辺の景色を撮っているだけでも飽きませんが、ダウンタウンには古い街並みや建物も残り、少し切り詰め気味の露出で重厚感溢れるフレームで捉えたくなります。できれば空は木炭画のようにモコモコした感じで、柔らかめのレンズを絞り込んで撮る。そんなイメージを持ちつつ今回含めて2回撮影しましたが、なかなか思い通りに撮れませんね。まあ、また行く機会が増えたと思うようにしていますが。。。

撮り甲斐のある坂の街

湖に囲まれた街のため、地形的に坂が多くなります。経験上、坂の多い街というのは情緒溢れる所が多いように感じます。シアトルに次に訪れる際はモノクロームでぜひ撮ってみたいと考えていました。それも夜に雨に濡れる坂ですね。シアトルの隣町、ベルビューという街に宿を取ったのですが、夜に宿を出て独り歩き。霧雨舞う夜でした。傘を持っていなかったのでカメラ1台レンズは1本だけ。何を持って行くか迷ったのですが、ズミルックス35mm(球面)をマウントして出かけました。このレンズは開放で撮影するとフレーム内に点光源がある場合、傘(コマ収差)が派手に出てしまうのですが、それでも「夜」「雨」というシチュエーションであれば、開放の特徴的な滲みの魅力に負けて撮ってみたい。アメリカまで来てレンズ遊びとは我ながらお恥ずかしい。M Monochromはベース感度も高く(ISO320)、1段程度絞り込めるかなと思っていたのですが、アメリカの街は日本ほど明るくないのですね。しかも郊外ですから殆ど真っ暗。結局開放で殆ど撮影しました。撮影後、ホテルのフロントで声をかけられたので「写真を撮りに行った」と言ったら、「この暗い雨の中なにを撮るんだ?」と言われました。ごもっともです。

コンパクトにバリエーション豊かな写真が撮れるシアトル

シアトル中心部・ダウンタウンに行けば、歴史を感じさせる街並みや建物も。超広角で建物を仰ぎ見て、古の建物に囲まれた路地を90mmあたり、または、少し滲むHektor7.3cmあたりで道行く人達と一緒に収めるのも楽しいですね。水辺に向かって街中を坂が走るため、望遠レンズを1本持っていくと面白い画が撮れると思います。また、ダウンタウンには観光地そのものとなっていますが古いマーケットやスターバックス1号店などが。明るめの35mmや50mmで、人にフォーカスするのも面白いと思います。あとシアトルに来たらシーフード。こちらをお忘れなく。隣町のベルビューなど近郊都市まで含めて現地の人達は「シアトル」と呼んでいるぐらいに、さほど大きな街ではありませんが、コンパクトに自然風景も街並みも撮って楽しめるのがシアトルですね。そうそう、宿は国際免許とレンタカーが必須になりますが、できれば朝晩の景色が美しい湖畔でとることをおすすめします。

グッチャグチャに混ざり合うのに、秩序を感じる不思議な街

ありとあらゆる言葉が飛び交い、たった1ブロックでガラっと表情を変える街並み、世界の文化が濁流のようになだれ込むニューヨーク。天まで届こうかというビル達をつい見上げて首が痛くなりそう。街の光景を見て、思わず思い浮かべるのは「プリント基板」。京都のような碁盤の目が「回路」、圧倒的な集積度でそびえるビル群がさながら「コンデンサー」。そこにおびただしい人とシーンが流れ、この街は決してシャットダウンすることなく延々と動作し続ける。そんな印象です。グチャグチャなのに妙にシステマチック。だからこそ様々な物事のジャンクションであり続けるのでしょう。動作し続ける価値、それこそがニューヨークといった印象です。写真が好きな人であれば、これほど刺激的な街は無いかもしれませんね。3日間、足が棒になるほど撮り歩きました。とにかく、撮っても撮っても飽き足らない街です。

共存する面白さ

今回はマンハッタンのみの撮影でした。東京もいろんな顔を持つ街がたくさん集まった所ですが、マンハッタンはそれをグッと凝縮した街です。碁盤の目の通りを境に、様々な街がそれぞれの表情で並ぶのです。ビジネス街から高級店が建ち並ぶエリア、チャイナタウン、リトルイタリー etc・・・。一つ一つの区画でそれぞれのコミュニティが形成され、ニューヨークという一つの都市にぎっしりとそれが詰まる。それを眺めているだけでも面白いですね。これだけコンパクトなエリアに様々な被写体が並ぶこの街は、作例撮影にうってつけ(笑)撮れない物は自然風景ぐらいでしょうか。PY編集デスクを作って欲しいほどです。

 

歴史的建造物を捉える

ニューヨークは歴史的建造物の多さも特長の一つで、至る所で見かけます。建物を撮っているだけでも飽きません。CONTAX Gシリーズ用のHologon(Mマウントに改造)は、これだけのために持って行ったようなもの。大変硬くコントラストの高いレンズで、曇り空の中、このような建物を撮るにはうってつけです。

地下鉄とタクシー、そして徒歩。疲れたらフードコート。

マンハッタンは地下鉄とタクシーだけで十分回れてしまいます。ロードサイドにはレンタサイクルもあるため、慣れればそれを活用すると大半事足りるでしょう。撮影するには徒歩が一番で、今回かなり歩き回りました。限られた時間の中で撮り歩くため、その最中の食事もできる限り簡単に済ませたいところ。ありがたいことに街の至る所でフードコートがあり、さっと食べて飲んで、また撮り歩く。そんなニューヨーク3日間でした。本当に様々なシーンが凝縮された街ですが、まるで家の近所を散歩するように撮り歩けてしまう街。ぜひ機会あれば一度訪れてみてください。

 

機材選択の悩ましさと楽しさ撮影行脚の記録撮影カット集シアトル撮影カット集ニューヨーク撮影後記