まず街の雰囲気からモノクロームで行こうと決めたわけですが、プライベートの撮影であればフィルムを未だによく使うため、今回も最後の最後までフィルムで行こうかと考えました。フィルムの粒状感が大好きなのですね。シアトルもニューヨークも、大変きめ細かな装飾が施された歴史的な建造物が多いため、目を見張る解像力のLEICA M Monochromが面白そうだと感じて、メインの機材はとりあえず同機に決定。レンジファインダーカメラという時点で、交換レンズは必然的に単焦点となります。レンズ自体はどれも小さいため航空機の手荷物制限について悩むことはありませんが、持って行けば行くほど現地で持ち歩きたくなります。明確なイメージがあれば別ですが、目的も無しに持って行ったところで使い切れないのは目に見えてますし、肩にグッと食い込む重いバッグは撮影意欲を削ぎかねない。ある程度現地のイメージをして厳選する必要があります。モノクローム一本と決めても、シアトルはともかくニューヨークを思い浮かべれば、やはりカラーも撮りたいというスケベ心が。。。

食事の際にパチリとやったりするわけです。最短距離の遠いレンジファインダーカメラだけだとやっぱり不便。建物を撮ることも多くなりそうですが、パースや傾きをコントロールするのも難しい。厳密にシンメトリーに撮影したい時もあります。後にも触れますが使い慣れていてもレンジファインダーカメラでそれらをこなすのは結構大変。そこでサブ機にできる限りコンパクトな物をと、RICOH GRをチョイス。すんなり決まったわけでは無く、メインがレンジファインダーカメラなのでテレ端の長いコンパクトカメラを第一選択に、本当に悩みました。望遠を捨てでも選んだ理由は、28mm単焦点ですがAPS-Cサイズのセンサーを搭載し、まず高画質であること。あとは単にワイコンを付けて「GRで21mm !」をやってみたかっただけですけど。こちらは後ほどそのお話を。・・・毎度の事ながら機材選択は悩ましいものです。ここから旅がはじまっているようなもので、楽しみと言えば楽しみなのですが。

カラーフィルターを持たず、1画素がそのまま1pxに直結する LEICA M Monochrom。圧倒的な解像力を誇るカメラで、人の懐具合も省みずレンズを猛烈に選びます。したがって基本的に現行レンズを用いるのがおすすめでしょう。オールドを使うなら、できれば高性能な物の多い焦点距離の長いレンズがまずおすすめ。その他、オールドには個性際立つレンズが多数あります。たとえば画を滲ませたいなんてときに使うとうってつけ、といったレンズ。目的がハッキリしているならば、そんなチョイスもありだと思います。ただ、本当に目的がハッキリしていないと、カメラ側の能力が高すぎてなんだかしっくり来ない画になるのが M Monochromです。もちろん使えないことは決してないのですが、現行レンズと組み合わせた時の画があまりに素晴らしいのです。さて、今回悩みに悩んでチョイスしたのは以下のレンズ達です。チョイスした理由と共にご紹介。

LEICA SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH.

発売から7-8年経つと思いますが、未だにインパクトある写りの1本。M Monochromが相手でも全く問題ありません。至高の1本ですね!

LEICA SUMMILUX-M f1.4/35mm ASPH.

35mmは個人的にあまり使いません。しかし、NYの通りを背景含めて撮影するなら必要かなとチョイス。気持ち悪いぐらい写る1本です。

LEICA SUMMILUX-M f1.4/35mm

開放の滲み具合が、特に大した写真でなくても雰囲気を加えてくれる素敵な1本。現行レンズでは硬すぎる時に少し絞って使うことも目論んでチョイス。

Leitz Hektor 7.3cm f1.9

主にシアトルでの使用を目論んでのチョイスですが、タンバールほど滲まず、よい塩梅のソフトなレンズ。機会あればポートレートにも使おうと。

Leitz Elmar 9cm f4(triplet)

開放から大変シャープで、大変繊細な線を結ぶ、小さくて軽い90mm。先日、M Monochromを使う知り合いがこのレンズを使っていたのに触発されてのチョイス。

Carl Zeiss Hologon T* 16/8

周辺はデータが無いんじゃないかという、凄まじい周辺落ち。おもに建物を捉えるのに使おうとチョイス。球面ズミルックス同様、力技的に写真をまとめるのに可。

GRをチョイスした理由は先述の通りですが、その昔フイルムGRのころは「GR21」というモデルが存在していました。当時から撮影している皆さんにとっても「GR21」は、特別な響きがありませんか? 一度ワイドコンバータを取り付けて、それだけで撮ってみるということをやってみたかったのです。ワイドコンバータを取り付けるとそれなりのサイズにはなりますが、真冬に着る大袈裟なジャンパーのポケットに入れるのは容易いこと。この組み合わせを持って行けば、メインのM Monochromで持って行く交換レンズを減らすこともできますよね。ワイコンを取り外せば28mm相当もカバーできます。基本的には現像時にモノクロームに変換しますが、M Monochromの画と見比べるのも楽しみです。 その他のページでご覧いただきたいのですが、結構いい画が撮れますね!

システム全体がコンパクトなレンジファインダーカメラは、周りを威圧せず携帯性も高いので、海外の撮影などでは筆者の場合まず第一選択となります。ただ、ファインダーがかなりアバウトなので厳密なフレーミングには向きません。レンズも機構上単焦点となります。作画の自由度を考えると一眼レフも頭にちらつくのですが、撮影の自由度は筆者の場合レンジファインダーカメラに軍配があがります。どうしたってじっくり構えるより、ひょひょいと撮るのに向いたカメラですから、撮影スタイルもそれに準ずるというか。しかし毎度毎度本当に迷います。時間を作ってお金をかけて渡航するわけです。後悔したくないと本当に迷います。GRに関しては・・・リコーさん、なんとかして最初から21mmが搭載されたGRを作っていただけないでしょうか。レンズが嵩張って作るのが難しいのでしょうか。

機材選択の悩ましさと楽しさ撮影行脚の記録撮影カット集シアトル撮影カット集ニューヨーク撮影後記