PHOTO YODOBASHI
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ZHONGYI SPEEDMASTER 50mm F0.95 III vol.1 vol.2
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
一本道にて
with SONY α7C
好きな道があります。ゆるく蛇行しながら、やがて深い森の中へと消えていく、長い一本道。時々、理由もなくここへ来ます。ある暑い日の午後、カメラを携えてこの道を歩きました。
これが春か秋だったら、もう少し彩りがあったでしょう。冬枯れの景色も、それはそれで味わい深いものだったと思います。しかし真夏はひたすら緑一色。「目に青葉」などと言いますが、写真的には圧倒的に変化に乏しい。おまけにこの日は最高気温37度ときた。汗が滝のように噴き出す。小さな虫が顔の周りをぶんぶん飛び回る。密度の濃い、ねっとりとした空気が息苦しい。正直、写真どころではない。いささかウンザリしながらふと遠くを見やると、夏の霞んだ空気の向こうに、ごくうっすらとではあるけれど富士山の姿が。これを「富士山効果」って言うんでしょうかね。なんだかちょっと元気が出たのです。銭湯の壁に富士山の絵が描かれているのって、案外ちゃんとした理由があるのかもしれません。
α7Cにつけた「SPEEDMASTER 50mm F0.95 III」の絞りは、開放で固定。当然です。ファインダーの片隅でシャッタースピードの数値がしきりに点滅しますが(シャッタースピード不足の警告)、そんなこと構うもんですか。切るんです。
極薄のピント面は、そこそこの遠景でも面白い写りが得られます。奥行きのある風景では、手前でも奥でもなく、その中間あたりにピント面を持ってくるとイイ感じになるでしょう。ボケは大きいだけでなく暴れます。ハイライトはふわーっと拡散してRogan(こう書くとちょっとカッコイイ)の目にはもはやピントが合ってんだか合ってないんだか。しかしそれこそがF0.95のレンズに期待している写りでしょう。F0.95に至ってもまだ「普通の写り」を求めていらっしゃるなら、悪いことは言わないのでF1.4あたりのレンズを買った方がよろしいです。これは普通じゃない人のための、普通じゃないレンズですから。
( Photography & Text : NB )
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お買い得大口径標準レンズ特集
( 2022.08.31 )
アンダー1.0体験がこの価格で出来るのなら、安いと思います。