PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

今回ご紹介する「65mm F2 DG DN | Contemporary」は、新生「Iシリーズ」中で最も望遠寄りの単焦点レンズとなります(フルサイズEマウント用)。65mmの単焦点というのはちょっと珍しい気もしますが、24-70mmといった標準ズームの望遠側、あるいは望遠ズームの広角側あたりと捉えると、割と慣れ親しんだ世界にも思えてきます。文字通り、50mmよりは狭いが75mmや85mmよりは広めとなりますが、この標準と中望遠の間というのは、ちょっと写真をやり込んできた方には「刺さる」スペックなのではないでしょうか。ズームリングを回した先に落ち着く65mmと、初めから固定された65mmでは全くアプローチが異なり、そこに期待する向きもおいでかと思います。また本レンズは開放値もF2と十分に明るく、最短撮影距離も55cm。マクロではないものの十分大きなボケも期待できますし、口径食にも配慮した設計ということですから、色々と楽しそうなレンズです。いってみましょう。

( Photography & Text : TAK )

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この造り込みの精度。見ているだけでも想像がつくのではないでしょうか。仕上げも実に滑らかで、フォーカスリングのトルクも絶妙。絞りリングのクリック感も出色の出来ばえで、回すのが楽しくなります。フォーカスリングと絞りリングの間には「指かかり」が設けられ、着脱がよりスムーズになりました。まさに見てよし、触ってよし。では写りは?早速ご覧いただきましょう。

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

まずは最もボケが大きくなる開放、最短撮影距離(55cm)でのカットをどうぞ。やはり、いや想像以上に大きいと感じます。そしてこの玉ボケ。波打ち際でぼかしてみたのですが、予想を超えた美しさです。四隅でさえも円形が大崩れしていないことにも感服いたしました。前ボケもスムーズですね。

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

背景まで少し距離を取ってみます。ピントはシャープですが、少しふんわりとした画面全体の雰囲気が何とも心地よいです。逆光下でも色再現は忠実。コントラストもしっかりと保たれ、幹に紅葉の赤がうっすらと映り込んだ様子もリアルです。ゴーストにはIシリーズ共通の雰囲気を感じますが、これもまた良い塩梅に出てくれています。「美ボケ」も相変わらずで、玉ボケの形もお見事。とろけ具合もまろやかですね。ちなみに他社製ですが、フルサイズ対応のEマウントにはもう1本65mmのマクロレンズがございます。サイズも用途も異なり単純比較は難しいのですが、ページ最下部オススメ記事をご参照の上、口径食をご確認ください。本レンズの「まんまる具合」がお分かりいただけるかと思います。

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

F2.8からF4あたりで玉ボケの形状も均一になります。円形絞りの効果も大ですね。この水準なら、主役をキリッと引き立たせるために絞る余裕も生まれるというものです。


SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

65mm。結論から申し上げると、画面整理が容易で至極使いやすい焦点距離です。50mmあたりの感覚でファインダーを覗くと、既に余計なものが取り払われ整理が終わっている、トリミングを自動でやってくれているようなイメージです。この現場の少し上には電線、左右には他の人工物があったのですが、それらを簡単にフレームアウトさせることができました。絞り込んで深度を稼いでいますが、うっすらとした霧の背後に木々や家々の様子がしっかりと捉えられており、微妙なトーンの描き分けにも感心しました。

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

フレームの右には建造物が並んでいたのでギリギリ排除できるポイントまで左に振ってみましたが、思いの外、左側に余計なものが入ってくることもありませんでした。65mmでも短すぎるかも?と思ったのですが、何とかなるものですね。ピントは水鳥。背景の船はボケているので、分離力もなかなかのものがあります。四隅の落ち込みも美味ですね。

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

遠近感も圧縮感も両方出せるので、ポジションやアングルを少し変えるだけでも世界が激変します。ズームしか使ったことがない方にこそ、オススメしたい1本です。

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

画角にすると36.8度。見せたい世界を抽出しやすい画角ですね。


SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK


SONY α7 III, SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

ちょっと遠くを、ちょっと広めに。使い勝手の良い65mm。

「もうこれ1本でいい」と何度思ったことか。単焦点としての65mmは、何で今までなかったのだろうと思ったほど腑に落ちる焦点距離で、ほとんどの状況で何とかできてしまう柔軟性を持っています。少し昔の話になりますが、Leica M8(クロップ係数1.33倍)に50mmレンズを付けると66.5mm相当の画角になり、これが絶妙でした。また、マイクロフォーサーズ機に「30mm F1.4 DC DN | Contemporary」を付けた時の、60mm相当の好感触も蘇ってきます。標準と言うには狭く、一人前の望遠を名乗るほど長いわけでもない。中途半端、ではありません。少し離れたシーンを遠近感をもって捉えたり、程よい広がりの中でも緊張感や奥行きを持たせることができる。それが65mmの特性なのです。ご覧の通りかなりボケますし、味わいも極上です。サイズもコンパクトで重量はわずか405g。明るさをあえてF2として、気張っていないところが良いのです。標準と中望遠の間に埋もれていた宝石で、じっくりと向き合う。豊かな時間だと思います。

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通常のプラスチック製に加えて、マグネット式のメタルキャップが付属。磁力は強すぎず弱すぎず、逆さまにしても落ちることはありません(フィルターを装着した状態では装着不可)。操作部品も無いので耐久性も高いというメリットもあります。仕上げも凝っていまして、装着面には丁寧に生地が貼られております。

( 2020.12.22 )

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Iシリーズ中、ある意味最もキャラの立った1本でしょうか。何を見せるか、見せないかのコントロールがしやすく、シャッター数が増えますよ。

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メタルキャップ併用時は使えませんが、フードを装着していればフィルターだけでも十分な保護になります。帯電防止、撥水仕様です。

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