PHOTO YODOBASHI

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SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

フォクトレンダーより登場した、SONY Eマウント用レンズ「MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical」のレビューをお届けします。「APO-LANTHAR」の歴史は古く、1900年にハンス・ハルティングにより発明されたヘリアーが起点となっています。このヘリアー誕生後1954年に新種のガラスを採用し、ヘリアーと同じ3群5枚のレンズ構成でヘリアーを超える性能を有するレンズを開発することに成功。それがAPO-LANTHARです。この「APO」とは、アポクロマート設計のレンズであることを指し、光の三原色RGBのそれぞれ異なる波長に起因する軸上色収差を徹底的に抑えることで、高い次元での色再現度が得られるということが最大の特長。1935年にカラーフィルムが誕生し、それが普及したことで、モノクロフィルムよりも忠実に光を捉え、色を再現する必要があったということがAPO-LANTHARが開発された理由のひとつでした。ちなみに、このAPO-LANTHARが搭載された最初のカメラは、6×9判のベッサII。APO-LANTHAR 4.5/100をはじめ、3種のレンズが用意されていましたが、このAPO-LANTHAR 4.5/100の鏡胴の先端部分には、アポクロマート設計ということを表すRGB色のラインが入っており、特別なレンズであることを示していました。今回登場した「MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical」には、ベッサIIをはじめとするAPO-LANTHARに施されていた装飾へのリスペクトとオマージュとしてこのRGB色の差し色が入っています。本レンズは、当時のレンズ同様にRGBの軸上色収差をゼロに近づけるべく、アポクロマート設計を採用した大口径レンズで、豊麗なボケとシャープな結像性能を有し、最短撮影距離での撮影はもちろん、遠景での撮影まで優秀な解像力を持つ一本です。また、ソニーEマウント用の本レンズは電子接点を搭載しており、Exifデータへの対応、距離エンコーダ内蔵によりフォーカスリングの回転に合わせ、ファインダー内の拡表示も可能となっています。フローティング機構を搭載し、レンズ群を独立して動かしているため、最短31cmでの近接撮影から無限遠での撮影まで高い解像力を安定的に得られるようになっており、2017年のCP+で参考出品されていた際、コシナブースではあのOtusシリーズにも匹敵する解像力を持っているという話しを伺いました。「APO-LANTHAR」と冠されているだけで、すでにその描写力には期待しかありません。さっそく作例をご覧になっていただき、本レンズの実力のほどを実際に確かめていただきたいと思います。


SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

Lyric Pieces

SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

孤高のレンズ

マクロレンズというと「接写」のイメージですが、近年のレンズは万能で用途を問いません。もちろん、マクロレンズにもさまざまなコンセプトがあるわけですが、遠景までしっかり解像するマクロレンズも存在しますし、近年ではそういったマクロレンズが多い印象です。実は、MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Asphericalの噂は発売前から耳にしていました。とにかく「えげつない解像力を有す」と。ですので、今回のテストを楽しみにしておりました。今回は開放・マクロでの撮影を敢行。自転車にカメラバッグというスタイルで身近なあちこちを撮影しました。被写体に目一杯寄って思い切りぼかす。マクロの描写を存分に生かすことで、摩訶不思議な世界に浸ってきました。

α7シリーズのボディに本レンズを装着してフォーカスリングを回すと、ファインダー像が拡大表示され、ピント合わせが楽です。65mm F2の最短撮影距離付近ともなると、ピント面は非常に薄く、そのうえ非常に解像します。ですから呼吸をするだけでファインダーの中でピント面がコロコロと変わって行くのがよくわかります。撮影前半はフォーカスリングを回してピントを調節しながらの撮影。回転角が大きいので絶妙なピント合わせが可能です。フォクトレンダーというと総金属製ヘリコイドユニットと適度なトルク感。これがまたいいのですね。撮影心をくすぐられるのです。撮影後半はヘリコイドを回したい気持ちを抑え、フォーカスリングをあらかじめ最大限まわしておいて、カメラ・レンズを被写体に寄せたり引いたりと微小に動かしてピントを合わせていくスタイルで撮影。手持ちで開放・最短でのピント調整は後述のスタイルの方が確実かなと思います。

肝心の描写は、ピント面の解像力がすごい。これはもう本当にすごいとしか表現のしようがないほど。そしてトロけるようなボケが本当に美しい。徹底的に各収差を抑制したアポクロマート設計の賜でしょうか。 前ボケ、後ボケともにフレームの中に入れ込んでも邪魔になることはなく、被写体のメインとなる部分をくっきりと浮き上がらせてくれました。65mmという焦点距離のワーキングディスタンスを生かした切り取り方をするもよし、31cmという最短撮影距離で迫力のフレーミングをするもよし。「マクロ」という武器を持つ本レンズで、いままでとは違った表現領域に踏み込んでみませんか。(TA)


SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

Landscape Painter

SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

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SONY α7R, Voigtländer MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical

空気はもちろん気温まで写し出してくれる。

初秋の北陸。少しずつ緑もうすれ、ただ、紅葉にはまだ早く、天気はさえることなくグレーの空が続く。霧なのか小雨なのか、ひんやりとした水滴がフロントガラスに滑る。そんな山間の中、車を走らせる。重苦しい空の合間から差し込む光により、時折ドラマチックな光景を魅せてくれる。こんな一瞬のためだけにカメラを携え彷徨うというのもいいものでしょう。

50mmでもない75mmでもない、65mmというMACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical。標準より長く中望遠とまでは行かない。ま、そのままですが(笑)。なんとも親しみのうすい焦点距離であることは確かです。しかし体が慣れてしまえば絶妙な落としどころなのが分かってきます。標準レンズより僅かにフレーミングを詰める感覚で、ひとつ填りだしてしまえば気持ちよく次々とスナップして行けます。

描写についてはマクロレンズであることからも、近接撮影での解像力、歪曲収差を抑えることが優先されているように思いますが、本レンズは無限遠での解像力も見事。無限遠を基準として設計し最短撮影距離付近の補正をするなど、近年のマクロレンズは接写・マクロ撮影以外でも高い解像力を見せてくれます。広大な風景が見渡せる遠景から、街角のストリートショットまで、どの焦点距離でもすばらしい解像力を見せてくれました。今回は遠景スナップをメインに撮影しましたが、レンズの特性上、やはり沈む夕陽と落ちかける葉っぱにグイグイ寄ってしまいました。たまらなく柔らかいボケ玉ですね。最短撮影距離が31cmですから、もう一歩も二歩も寄れるところですが、ここはぐっと抑え、絵としてのバランスで捉えてみました。さらに落ちているものは何でも拾ってしまいます。筆者の撮影した2カット目の写真は、細かい苔の描写とともに、葉っぱに溜まる水の冷たさまで写し撮ってくれました。マニュアルフォーカスですので、動体のピント合わせは難しいものですが、ソニーEマウント対応の電子接点搭載ですから、フォーカスリングの操作によりスッと拡大表示となり大変快適です。次々と速写というわけにはいきませんが、柔らかいボケのアウトフォーカスからのピント合わせも、このレンズの楽しみ方ですね。(EYTZ.T)


  • PHOTO YODOBASHIピント面は浮き立つように、そこから柔らかく柔らかく量感を伴った美しいボケ。ポートレートやテーブルフォトなどでも大活躍してくれることでしょう。(TA)
  • PHOTO YODOBASHI距離にして1mくらいでしょうか。F11まで絞り込んでのカット。ゾクッとするくらいの解像力がみてとれるかと思います。輝度差のある条件下で色にじみなどの嫌な感じも一切見られず、逆光でも色乗りの悪化、コントラストの低下も見られません。さすがの描写力ですね。(TA)
  • PHOTO YODOBASHI峡谷を散策するなか、木々の合間から一軒の宿が佇んで見えます。ピントは奥にF2開放で捉えました。無限遠に近い距離に開放でピントを置くというのはなかなかの無謀な行為ではありますが、手前の木々をぼかしたい要求に負けました。しかし無限遠開放をものともせず、奥の建物はシャープにピントを結び、細かい屋根の瓦一枚一枚までも描き出しています。フォクトレンダーのなかでも特に高性能レンズと言われるAPO-LANTHAR(アポランター)の名にふさわしい見事な描写だと思います。 (EYTZ.T)
  • PHOTO YODOBASHIさらに、軸上色収差を徹底して抑えているというアポクロマートの超絶な解像感を感じられる絵を求め、山から里、そして海まで来てしまいました。夕陽が沈む日本海。穏やかな水面を絞り値F8で捉えました。夕陽に照らされる光の輝きがキラキラと非常に繊細に描かれています。また遙か彼方に見える漁船も再現されていて思わず唸ってしまいました。余談ですがこの写真、サンタナ「ムーンフラワー」のジャケット写真?と思ったのは私だけでしょうか…。と思い、実際にジャケットを確認しましたが、あちらは雲海でした…。(EYTZ.T)

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撮る者、見る者、その両者を魅了する伝説のレンズになりうる一本。

フォクトレンダーのレンズは高精度で加工、調整を施した総金属製の鏡胴が魅力のひとつ。ヘリコイドユニットももちろん金属製で高品質グリースの採用により、なめらかで適度なトルク感のフォーカシングが可能。本レンズも例外ではなく、特にマクロ撮影での微細なピント調整を行う際、このヘリコイドユニットのなめらかな操作感が写欲を高めてくれます。今回の撮り手2名ともがその恩恵をしっかりと享受できたようです。ボリュームのある豊麗なボケ、そしてピントピークのシャープさが同居する本レンズ。最短撮影距離での撮影、そして遠景での撮影でも、その高い描写力、解像力をいかんなく発揮してくれました。フォクトレンダーのなかでも、特に高い性能を有するレンズに与えられる「アポランター」。その描写についてはすでに“神格化”されているほど。デジタルカメラ時代になっても、軸上色収差というのは常につきまとう問題であり、逆光時など被写体のキワの部分に不自然な色が発生するなど、現像時の補正が不可欠なものであるのは既知の通り。本レンズはそういった収差をしっかり抑え、さまざまな条件下で素晴らしい解像感を得ることができました。とろけるようなボケという表現がよくされるわけですが、MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Asphericalは被写体そのものを輪郭から溶かしていくような、たっぷりとした量感を伴っていながらもとてもナチュラルなボケ感。ピントピークのシャープさは目を見張るほどで、コシナが謳う「フォクトレンダー史上最優秀」という文句にも偽りはありません。開放F2での描写は柔らかで繊細ですが、絞るとややその性格を変えしっかりとした線を描き出します。そして、65mmという絶妙な画角も本レンズの魅力のひとつ。そのワーキングディスタンス、美しいボケを利用し、ポートレートの撮影にも活躍してくれるはずです。クリアで透明感のある描写は、どんな被写体を撮影しても、そこから新しい発見を得ることができるでしょう。マクロ撮影だけでなく、優秀なスナップシューターとしての活躍も期待できる、至高の一本です。

( 2017.11.27 )

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色収差をはじめとする各種収差を徹底的に排除。フォクトレンダー史上においてもっとも優秀なマクロレンズと謳うMACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical。SONY Eマウントで登場。マクロ撮影だけでなく、通常の撮影においても最高の解像力を発揮する一本です。

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67S ZX(ゼクロス)プロテクター [レンズ保護フィルター 67mm] 新開発の「フローティングフレームシステム」を採用しています。特殊弾性緩衝剤により、フィルターガラスへの負荷を限りなくゼロに近づけ、レンズ本来の描写力を存分に引き出します。その結果4K・8Kといった高解像度カメラに対応します。

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現行品のα7R II。有効画素数4240万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載したエポックメイキングなモデルです。その解像度にはさらに磨きがかかっており、拡張感度は102400。どんなシーンにも対応できる一台です。

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最新モデルのα7R III。実は、センサー自体は先代のα7R IIを引き継いでいるというのですから、驚きです。もちろん光学式5軸ボディ内手ブレ補正を搭載していますから、本レンズの解像力を十分に発揮させることができるはずです。

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話題にも出たので、秋の夜長にサンタの名盤「ムーン・フラワー」はいかがでしょうか。ライブ音源とスタジオ録音の組合せが気持ちのいいサンタナのロックアルバムです。2枚組、お薦めです。

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