PHOTO YODOBASHI
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TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD Model A062
旅にも最適。とにかく全てがちょうど良いのです。
TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)を携え、滋賀県東部を走る近江鉄道に乗りのんびりと旅してみました。当初は京都を撮り歩く予定でしたがあまりの人の多さに圧倒され、真逆の環境に身を置きたくなった次第です。ゆったりと流れる車窓はまさに願い叶ったりの眺めで、目的地を決めずただ乗っているだけで幸せな気分になります。本レンズは超広角から準標準域をカバーし、F2.8固定でありながら軽量コンパクトで取り回しも良いのが特長で、旅そのものを邪魔することがありません。この20-40mmというズーム域、実はSP AF20-40mm F/2.7-3.5 Aspherical IF(モデル名は外観違いで166D、266D)において1994年から採用されております。当時のカメラ誌の月例コンテストなどでも常連のレンズで、カメラ屋さんでも「これいいよ」と言われたことを記憶しています。そしてカメラが動画も記録できるようになった今、自ら切り拓いた焦点域を再び召喚したタムロン。まさに慧眼の持ち主であることは、このレンズが発売以来、静止画動画双方の世界で高く評価されていることでも証明済みです。広角端20mmは言葉の上では「超」が付くほど広く、多くの被写体をフレーム内に収めやすいのは事実です。それでいて、どうしたものかと悩むほどに広過ぎるわけでもなく、少々煽ったりしても不自然に先すぼまりになることがないので扱いやすいのですね。望遠端が40mmというのもこれまた絶妙で、35mmよりは少しだけ圧縮効果も出てくるので、ちょっと工夫すれば50mmのようにも撮れてしまいます。同時に、50mmほどのわかりやすい緊張感はなく余白を持たせた表現も可能です。そして大切なのが、「この焦点域で撮れないものは撮らない」と思わせてくれること。良い意味での諦めが迷いを消し去ってくれます。特に旅において「あれもこれも撮ろう!」となると旅よりも撮影が主となり、旅そのものが楽しめなくなる危険性がありますからね。
とにかく何もかもがちょうど良い20-40mm。そこに早くから着目したタムロンは、本当に写真が好きな人が集まっているメーカーなのだなと感じます。28mm、35mmあたりの単焦点をお使いの方も腕が鳴るズームレンズでしょう。写りに関しても今更申し上げる必要もありませんが、豊かな発色、上品な解像感、優しいボケであくまで被写体そのものを主役にしてくれる「タムロン節」をしっかりと踏襲しております。画質、使い勝手、価格と三方良しのまさに近江商人のようなレンズ。他のマウントも是非出していただきたいですね。
( Photography & Text : TAK )
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TAMRON特集:タムロンのズームレンズ
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旅にも最適。とにかく全てがちょうど良いのです。
TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD Model A062 -
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開発者特別インタビュー
TAMRON特集の最終回は、開発者へのインタビューをさせていただきました。バラエティ豊かな焦点域のズームレンズが生まれてくる背景や、どのレンズにも感じる“タムロンらしい写り”の秘訣はどこにあるのか等々、直に伺ってきました。
( 2023.11.24 )