PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY VLOGCAM ZV-E10 II / SHOOTING REPORT
VLOG撮影用カメラにおいて豊富なラインアップを揃えるソニーからAPS-Cセンサー搭載の「ZV-E10」の後継機となる「ZV-E10 II」が登場しました。主な進化ポイントはイメージセンサーの画素数が2420万画素から2600万画素にアップし、画像処理エンジンは上位モデルの「α7 IV」と同様の「BIONZ XR」に刷新されたことです。処理速度は従来よりも約8倍になりAFの高精度化など従来よりもカメラ自体の性能が1段階上がった印象です。バッテリーも変更されα7シリーズと同様の「NP-FZ100」を採用し、バッテリーの持ちが大幅に向上しています。それでもサイズは横幅約114.8mm、高さ67.5mm、奥行き54.2mm(グリップ先端からモニター)とコンパクトなサイズです。それでは、その他の進化した点を確認しつつ、作例をご覧頂きたいと思います。
( Photography & Text : Z II )
画素数のアップは高周波な被写体を捉えるのにも威力を発揮します。細かな葉や枝を細密に記録しフリンジはほとんど感じません。また、空の濃淡を階調豊かに再現できています。これほどの描写をこのコンパクトなボディで得られるというのですから驚きです。
こちらはソニー独自の撮影モード「クリエイティブルック」の「ViVid」を使用した画像です。黄色、緑色をより印象的に表現しています。質感も見事で触り心地まで伝わってきそうです。
画素数がアップしたことで細部まで鮮明に描写できています(画像をクリックすると等倍画像がご覧いただけます)。グリップが深くなった分ホールドしやすく、片手を伸ばして撮影も容易です。キットズームレンズ「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS II」もII型になり、AFがさらに静かになりました。このように近づいても作動音で逃げられることはありませんでした。
ボトルの艶やかな質感と立体感、水面の表現も文句なしの描写です。前ボケも自然で画に奥行きを感じます。また、縦位置で撮影する際、液晶画面内に表示する撮影情報のレイアウトが縦位置用に自動で切り替わる仕様になりました。近年では写真や動画をスマホで見ることが多くなり、それに合わせて操作しやすい縦位置表示にいち早く対応したのはさすが。おかげで動画、静止画問わず使いやすさがアップしました。
シューティンググリップを装着し手持ちによる4K動画撮影です。イメージセンサーや画像処理エンジンの進化により高画質な映像が得られ、しかもAF動作はとても滑らかです。さらに強力な電子手ぶれ補正アクティブモードにより、自然で見やすい動画を容易に録ることができました。
遠景を少し絞って撮ってみると画面全域で曖昧さのないクリアな描写を得られます。一般的なサイズで見る分には十分に高精細な描写です。
建物のディテールをきっちりと出すために、同じく絞り込んでの撮影。キットズームレンズですが、窓ガラスそして手すりの網目までキレキレに描いています。絞ってもいい仕事をしてくれます。
苔の緑は光の当たり具合で発色に微妙な変化があるのですが、ご覧のとおりさまざまな緑色を再現できています。また、シャドー部が潰れることなくしっかりと残り、ダイナミックレンジの広さを感じます。
デジタル画像が苦手とする赤の色再現を見てみましょう。色味、艶感、立体感どれも素晴らしく、このあたりの再現性にも画素数アップや画像処理エンジンの進化を感じました。
サイズ感はそのままに大きく進化したAPS-C VLOGCAM
SONYのVLOGCAMシリーズは大きく分けると、フルサイズセンサー搭載のZV-E1系、APS-Cサイズセンサーを搭載したZV-E10系、1.0型センサーのコンデジサイズのZV-1系の3機種があります。それぞれに特長があり撮り手が何を優先するかで選ぶ機種が決まるのですが、どれも捨てがたく小型軽量か高画質か迷うところです。今回ご紹介した「ZV-E10 II」は3機種の中でいえば中間のスペック。とはいえ「II型」になったことでサイズ感はコンパクトのままに、画質とAFは上位モデルに迫る性能を実現しています。それでいて価格は上位モデルのおよそ半分ですからかなりお買い得でしょう。画質にこだわり静止画も動画も楽しみたい方。とりわけサイズはコンパクトに、かつ価格も抑えたいという方にマッチするカメラだと思います。
真上から見比べると前モデルより若干厚みが増したのがわかりますが、幅はほんの少し狭くなり全体としてコンパクトさを維持しています。また、バッテリーを格納したグリップ部分は前機種より深くなったことでホールドし易くなりました。バッテリーはα7シリーズと同じ「NP-FZ100」に変更したことで1回の充電で静止画は約610枚も撮影が可能になり、動画だと約195分間の動画連続撮影が可能です(XAVC S HD 60p 50M 4:2:0 8bit)。カードスロットはサイドに配置され交換がし易くなりました。
( 2024.10.28 )
コンパクトなセットでこの写りが得られるならお買い得と言っていいと思います。
白もいいですよね。シルバーのレンズが似合います。
今回使用したシューティンググリップです。動画撮影の際に手首に負担なく安定して録画できます。
画質がいいだけに、音にもこだわりたい方にはこちらがおすすめです。
ダブルズームキットにシューティンググリップを付けても20万円を切るのですから、予算が許すならこちらが断然おすすめです。
VLOGなどで自撮り録画の際、画角が狭いと感じた方にはさらにワイドなズームがあると解決します。しかもGレンズですから写りがさらによくなります。