PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY NEX-7 / SHOOTING REPORT
NEXの上位モデルとして登場した「NEX-7」。2,430万画素という画素数の向上したAPS-Cサイズセンサーを搭載し、より精細化が図られたということが一番のポイント。実際に撮影して等倍で眺めてみると普段使いには少々オーバースペックとも思える画素数なのですが、通常の利用サイズで眺めたとき、確実に画の違いを感じることができるでしょう。解像感ばかりでなく階調にも優れた結果が現れることは想像に難くなく、またその通りの結果が得られているという印象です。EVFの搭載や2つのダイヤルなど撮影に際してのインターフェイスも練りこまれており、写真を撮るための道具としてしっかりと進化を見せたモデルと言えるのではないでしょうか。
( Photography : A.INDEN & Y.Moriki / Text : M.Ishizuka )
高精細のセンサーがもたらす緻密な描写と豊かなトーン。
センサーを作れるメーカーということもあるでしょうか、ソニーの画づくりの上手さはNEX-5Nなどでも舌を巻くものでしたが、画素数を増したセンサーは次世代の幕開けを感じさせるものと言ってもよいでしょう。正直なところNEXという軽快なパッケージを考えれば「こんなに高画素必要なの?」という印象を持っていました。撮影してみれば当然のことながら解像感に優れ、レンズの描写を一層そのままに表現してくれるポテンシャルをはっきりと感じさせてくれます。単純に画素数の問題ではなく、よい画を得るための進化なのです。
例えば豊かなトーンも見逃せないポイント。左の写真、黒塗りのハイヤーのペイントや表面の肌触りまで想像できるような、質感溢れる描写と感じませんか? 画素が増えたからといって100%まで拡大してにらめっこするのはやめて、鑑賞サイズや出力サイズに整えたときの画で違いを感じてみてください。きちんと撮影した写真を、追い込んで仕上げていく。そういった写真の面白さを追究したいとき、NEX-7は懐の深い画を見せてくれます。
葉のディテールや葉脈ひとつまできっちり描いた精細な描写。これだけ写ると、絞ってしっかり撮りたくなります。
どこまで描写できるか、ついつい線の多い被写体を選んで撮りたくなりますよね。レンズの性能も如実に表れますから、よりよいレンズが欲しくなるのは玉にキズでしょうか。懐を温めておいてください。
ロートーンでの撮影。このような光の条件で撮影するとNEX-7のトーンの深みと細かな描写力がはっきりと分かります。
ISO6400で撮影。複雑な光の条件でしたが、暗部までしっかりと写っています。こういった被写体ではノイズの乗り方も自然で、十分使える画質であると思います。
質感だけではなく、使いやすさを増したボディ。
削ぎ落したフォルムの従来機に比べると、NEX-7のボディは少し「カメラらしい」カタチになったと言えるかもしれません。大きな特徴は有機ELの電子ビューファインダーを搭載し、2つのダイヤルを備えたこと。ダイヤルを2つ並べてしまうのはNEXらしい斬新なアイデアですが、人差し指と親指だけで各種設定を調整でき、慣れるほどに優れたインターフェイスであることがわかります。
そしてEVF(電子ビューファインダー)は、カメラに慣れた人ほど嬉しいのではないでしょうか。見やすい背面液晶を備えているとはいえ、ファインダーがあるだけで状況に応じた撮影のしやすさには大きな違いが生まれてきます。その情報量の多さも、光学ファインダーには真似できないもの。撮影する人の視点に立って、欲しかったものをきちんと用意した。そんな印象を受けるボディなのです。
走りまわる子供の撮影は難しいものですが、EVFを使うと一眼レフのような感覚で上手く撮影できました。
ファインダーを覗くことでカメラのホールディングが良くなり、瞬間的にシャッターを切った場合でもブレる事が少なくなります。
マニュアルフォーカスで撮影。フォーカスアシストのお陰でビューファインダーの中で細かいピント合わせができます。コーヒーカップの取っ手の頂点に完璧にピントをあわせることが出来ました。
その楽しさはそのままに、細部まで手を入れた新しいNEX。
スペックやルックスの変化から受ける印象は、よりレベルの高い表現や質感を求める人に向けたハイエンド向けのカメラと感じられるかもしれません。もちろん使い勝手の向上や画の精細化は、積極的にカメラを使うユーザ層のニーズに応えたものでしょう。しかしNEXシリーズが初心者にもやさしく、写真を楽しむことにまっすぐなカメラであることは変わりがありません。写真を撮ることの面白さを常に考え、変化を恐れず先進的なテクノロジーを搭載していく。NEX-7からは、そんな姿勢を感じることができます。
ピクチャーエフェクトはファインダーのなかで不思議な世界を見せてくれます。面白いと思ったらシャッターを押す。きっとそれが素直な楽しみ方ではないでしょうか。
スマート&スタイリッシュなフォルムでどちらかというとライトに使ってもらう印象だったEマウントボディが、ユーザのニーズに応えて正当な進化を遂げたNEX-7。NEXシリーズが幅広いユーザに支持されてきた証とも言えるでしょうし、写真を撮る道具として一層深化していくことを約束する1台と言えるかもしれません。搭載された高画素のセンサーは、次世代の写真画質を切り拓くもの。より深く写真を追求しより深く楽しみたい方に、ぜひ一度触っていただきたいカメラです。
すでにEマウントをお持ちの方ならボディだけのアップグレードを。その操作性、段違いに良くなりました。
はじめての方は標準ズームのついたキットがお得。レンズは少しずつ足せばいいのです。
大口径単焦点の写りはピカイチ。ツアイスレンズの切れ味・描写をお楽しみください。
タムロンの高倍率ズームなんていかがでしょうか。これ一本で、画角は自在です。