PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY α7C II / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2
待望のα7Cの新モデル、「α7C II」のシューティングレポートをお届けします。3年前、「世界最小・最軽量のフルサイズミラーレス一眼カメラ」を標榜して登場したα7Cですが、「II」に進化したからには、自慢のポイントはもうそこではありません。その小ささの中に何を詰め込めるか? というフェーズに当然入っています。では実際に何が詰め込まれたのでしょうか。主な進化点を列挙すると、イメージセンサーは2420万画素から3300万画素へ。画像処理エンジンはBIONZ XからBIONZ XRへ。693点だった位相差AFは759点へ。ファインダー倍率は0.59倍から0.7倍(ドット数は変わらず)。ボディ内手ブレ補正は5.0段から7.0段。そして液晶モニターは92万ドットから103万ドットとなっています。これらを分かりやすく言い換えると「α7 IV」と多くの点で同じ諸元なのですが、α7C IIの方が優っているのはAIプロセッシングユニットの搭載とボディ内手ブレ補正(α7 IVは5.5段)。反対にα7 IVの方が優れているのはファインダー倍率(α7 IVは0.78倍)とスロット数(α7C IIはシングル、α7 IVはデュアル)。それではさっそく、作例でその進化を確認してみましょう。
( Photography & Text : NB )
多くの進化点があるα7C IIですが、依然としてその最大の性能は「機動性」(と、そこから生まれる瞬発力)でしょう。「おっ」と思ってバッグからカメラを取り出し、電源スイッチを入れ、ファインダーを覗いて構図を決め、フォーカス位置を確認し、そしてシャッターを切る。この一連の動作に5秒以上かけたら、もうこんなシーンは撮れないかもしれません。そんな時に威力を発揮するのは、やはり小さくて軽いカメラです。
予め構図を決めてピントを固定。あとは誰かが横切るのを待つ、というような撮り方もよくします。小さいカメラなら目立たず、周囲に警戒心を与えません。
常に傑作を撮りたいですか。常にみんなに褒められたいですか。それよりも「あっ」と思った時に、一切のストレスなく自分の気持ちにシンクロしてシャッターを切り、撮った(撮れちゃった)写真を眺めて一人でニヤニヤするのがいちばん幸せじゃないですか。本当は。
イメージセンサーの画素数は3300万画素にアップ。はい、解像力はこの通りです。さらに新搭載の「AIプロセッシングユニット」の恩恵もあります。AI処理による人物の骨格や姿勢などの詳細に基づいた人物認識に加え、動物や昆虫、乗り物など、人物以外の被写体認識にも対応。これにより、さらに高精度で信頼性の高い被写体捕捉・追尾が可能になりました。
強い日差しが当たる真っ白な壁。当然、露出補正はプラス方向で撮るわけですが、ここまで上げても壁のトーンはしっかり残り、左官屋さんの仕事の跡がはっきり見えます。ダイナミックレンジの広さが窺えます。
こちらもダイナミックレンジの広さがわかるカット。上とは反対に、空や雲のトーンを見ながらマイナス補正で撮っていますが、手前の桟橋のトーンは残り、シャドウに埋もれることを辛うじて免れています。ハイエストからローエストまで、階調がなだらかに移り変わり、とてもバランスの良い写りです。
高感度2連チャン。こちらはISO 2000。日はとうに暮れ、真っ暗になる直前の時間帯。雲ひとつない空が画面の大半を占めるという、かなり意地悪な構図で撮ったつもりでしたが、ISO 2000ぐらい、α7C IIにとっては超イージーだったようです。
そしてこちらはISO 6400。目を皿のようにして粗探しをすればノイズが確認できますが、それでも目立つというほどではまったくありません。常に持ち歩いて、出会ったシーンを即座に撮るカメラ。これなら文句のあろう筈がありません。
- 左がα7C II、右がα7Cです。ボディの厚みはわずかに増しているのですが、いわゆる「軍艦部」のデザインの妙か、あまり違いを感じさせません。実際に持ってみても、α7Cをずっと使ってきた私でも違和感はありませんでした。高さと幅は変わらず。実はいちばんの違いはグリップかもしれません。α7C IIではグリップが大型化しており、これは握り比べてみると、安定感に見た目以上の違いを感じます。これは良いです。
- 手前がα7C II、奥がα7Cです。背面のメニューボタンの隣に2つめのCボタンが、またグリップの人差し指が当たるところにダイヤル(前のカットにちらっと写っています)がそれぞれ新設され、カスタマイズの自由度が格段にアップしています。このダイヤル新設のため、電源スイッチのレバー位置が少し横向きに、またモード切り替えダイヤルの基部にスライドレバーが追加され、モード選択の仕組みが変更されています。
再降臨。
3年前にα7Cが登場した時のことを思い出してみます。あの時の感情をひとことで言えば、「いよっ、待ってました!」でした。「ペンタ部の “でっぱり” が無いα7」をずいぶん長いこと夢想していたものの、やっぱり無理なのかなー、なんて諦めかけた矢先、綺羅星のごとく登場したα7C。「光学式一眼レフじゃないなら、あの “でっぱり” は要らない」論者の私。購入検討なんていうステップを軽やかにすっ飛ばして買ったのは言うまでもありません。
あれから3年。浮気もせずにα7Cを使い続けてきた人間にとって、次に買うカメラは「α7Cみたいなカメラ」か「α7Cの次期モデル」しかないのです。α7シリーズ中、唯一となる「異形の」(もちろん悪い意味ではなく)カメラ。その姿カタチだけとってみても他には代え難い魅力があるのに、これだけの内容で再登場したとなれば、これはまた購入検討を軽やかにすっ飛ばして買うしかありません。というか、すでに注文済みです。そして! なんと! さらに高性能を詰め込んだ「α7CR」なるモデルまで同時に登場したではありませんか! いずれもこの記事が出る頃にはデリバリーが始まっているはず。皆様におかれましても、購入検討をすっ飛ばしてとは申しませんが(ご家庭の問題までは責任持てませんので、そこはしっかりコンセンサスをとって)、どうかお早目に、この下にある「例のボタン」を軽やかにクリックしていただきますようお願いいたします。
※上の商品カットではズームレンズキットに同梱されている「FE 28-60mm F4-5.6」が装着されていますが、ここでの作例はすべて「FE 35mm F1.4 GM」で撮影したものです。
( 2023.10.16 )
定番のブラックボディ。やっぱりカメラは黒ですかね。
こちらはシルバー。と言っても白っぽいシルバーではなく、ガンメタっぽい燻し銀です。渋いです。
ブラックボディと「FE 28-60mm F4-5.6」のズームレンズキット。やはり小さくて軽いレンズをつけてこそ、このボディの真価が発揮されます。
まず部屋の中を3周、スキップで回ります。大きく腕を振って。そうそう。そしてパソコンの前で、フィギュアスケーターよろしく3回転半。振り向きざまに下にあるボタンをクリックし、最後にポーズを決めます。華麗に、軽やかに。スマホの場合もほぼ同様の動作で大丈夫です。