PHOTO YODOBASHI
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SONY SEL70200G2 FE 70-200mm F4 Macro G OSS II
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ソニーEマウント用の望遠ズーム「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」のご紹介です。本レンズはフルサイズセンサーに対応したF4通しの望遠ズーム、いわゆる小三元望遠ズームと呼ばれています。レンズ名の語尾に「II」とあるとおり初代の「FE 70-200mm F4 G OSS」から約9年ぶりのモデルチェンジになります。初代モデルは軽量コンパクトながら高い描写性能と、F2.8のモデル(大三元望遠ズーム)よりも価格が抑えられることもあり長年に渡り人気の高いレンズでした。それゆえに本レンズが、どれほどの進化を遂げたか期待が高まります。前モデルとの大きな違いは、世界初となるズーム全域で最大倍率0.5倍の撮影機能を搭載し、大幅なダウンサイジングを実現。全長は26mm短くなり149.0mm(ワイド時)、質量は約46g軽くなり約794gと、機能を追加しながらも軽量化できているのは流石です。小さく軽く、しかも寄れる望遠ズームによりスナップ撮影からポートレート、スポーツや本格的なマクロ撮影まで幅広いシーンで活躍します。それでは肝心の写りを見てまいりましょう。
( Photography & Text : Z II )
そよ風を受けながら漂う蓮の花びら。その繊細な質感や水面の微妙な表情まで克明に再現されています。淡い色合いと背景のコントラストの描き分けも見事。被写体の動きに合わせてズームリングを回しながら、程よいバランスに切り取ることが容易にできます。
ワイド端での最短撮影距離は0.26mとレンズフードのすぐそばまで寄れます。もし、近づくと逃げてしまう昆虫などはテレ端での撮影がいいでしょう。最短撮影距離は0.42mでハーフマクロが使えます。ズーム域によって被写界深度も変わるのでボケる範囲を確認しながら、いろいろと楽しめそうですね。
数年ぶりに祭りが開催され街は見物客や担ぎ手で大賑わいです。少し離れた位置から程よい画角に切り取れるのが望遠ズームの強みです。およそ90mmでの開放F4です。背景の様子がわかる程度のボケですが被写体はしっかり際立っています。やはりお祭りにはいいシーンがたくさんあります。
カメラを片手で頭上に持ち上げての撮影ですが、安定したAF性能と手ぶれ補正のおかげで難なく行えます。テレ端開放のボケも柔らかで自然ですね。
その場で寄りと引きが撮れるので両方撮りつつ、あとでよいカットを選べるのもズームレンズの利点です。このシーンではワイド端で周りの雰囲気を含めた画角を選びました。
目についた何気ない被写体をサッと引き寄せ、これほど質感豊かに撮ることができます。70-200mmは一般的にポートレートズームと呼ばれたりしますが「お祭りズーム」と呼んでもよい気がしてきます。
いいシーンに瞬時に対応できるのは、いつでも持ち歩けるコンパクトなシステムと操作性のよさがあるからこそ。本レンズとα7 IVとの組み合わせは、手に持った際のサイズ感はもちろん操作性もよくベストマッチでした。
AFの追従では超絶な強さを発揮してくれました。手ぶれ補正モードを3にすると動きの素早い被写体に最適なモードになります。フレームに入ってさえいればガッチリと食いつく。小さなツバメが飛んでいる状態でもトラッキングするのは本当に驚きました。もちろんボディの性能の高さもあるのでしょうが流石はソニー純正レンズ、圧巻の連携スピードです。
完全に陽が落ち、月あかりでの撮影です。レンズ内光学手ぶれ補正とボデイとの協調により、テレ端で1/10秒のスローシャッターで手持ちでの撮影が可能なのは心強いですね。
スイッチ類は上から二つ目の「FULL TIME DMF」が追加されました。DMFとはダイレクトマニュアルフォーカスの略で、ONにしておくとAF時でもフォーカスリングを回すことでピント位置の微調整が可能になります。マクロ撮影時のピント位置を追い込む際にとても有効です。手ぶれ補正のモードスイッチは3が追加されました。1は通常の手ぶれ補正、2は流し撮りの際に最適なモード、3はフレーミングを重視した手ぶれ補正となっていて、不規則に素早く動く被写体に効果的です。
機能が充実した二代目、小三元望遠レンズ
70-200mmの焦点域は風景や人物、クルマやバイクに鉄道など幅広く使えるレンズとして人気が高く、中でもF2.8モデルは大三元望遠ズームと呼ばれ、一眼レフの時代から高嶺の花でした。ところがミラーレス一眼の時代になり、手ぶれ補正の進化や高感度撮影によるノイズの低減、光学技術の向上により、ひと昔前のような明るいF2.8モデルでしか撮れない場面は、ほとんどなくなってきたように感じます。今やF4モデルでも十分に高い画質を得られ、それでいてF2.8モデルより軽量でコンパクトですから、もはや夜でも手ぶれを恐れず楽しめるようになりました。プロフェッショナルに求められるような、コンマ1秒の一瞬を狙う現場ならF2.8モデルが必要でしょうが、我々のような写真好きの日常使いなら本レンズのサイズと軽さはむしろ好都合。しかもズーム全域でハーフマクロ撮影が可能なことで撮れる被写体はさらに広がります。スイッチ類も充実し、これ以上何が要りますか?と言わんばかりの贅沢なレンズに仕上がっています。初代をお持ちの方は、まだまだ使えると思うかもしれません。でもこの快適さを、この写りを味わってみてください。約9年ぶりのモデルチェンジは伊達ではありません。是非とも体感してください。
( 2023.09.22 )
お祭り、運動会、各種イベントに手持ちで軽快に撮影できます。
今回使用したα7 IVはコンパクトで操作性もよく大変使いやすいボディです。
「SONY SEL70200G2 FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」はテレコンバーターに対応しています。本レンズの強力な手ぶれ補正によりF値が暗くなっても問題なし。
こちらを装着すれば140-400mmの超望遠になります。離れた位置から狙うマリンスポーツやモータースポーツの撮影も可能です。