PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

α7C II, FE 24-105mm F4 G OSS, 1/160, F5, ISO 100, Photo by NB

SONY α7C II / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

ソニー「α7C II」のシューティングレポート第二弾・・・ですが、今回はちょっと趣向を変えています。

初代「α7C」を購入し、使えば使うほどに惚れ込んだ私。新型が出たら即座に買うことを、かなり早い段階から決めておりました。そして2023年9月、いよいよα7C IIが発表されたわけですが、ここで想定外の事態が発生しました。同時に「α7CR」なるモデルも発表されたのです。

比較検討した結果、私はα7C IIを買いました。もちろん満足しています。この上なく素晴らしいカメラです。しかし、α7CRのことを完全に忘れたかと言えば嘘になります。依然として気になる存在です。皆さんの中にも、この2機種のどちらを買うべきか、決め切れずに躊躇している方がいらっしゃるかもしれません。

そこで今回はこの2機種を同時に持ち出し、代わる代わる使ってみて、その違いを確かめてみたいと思います。とは言っても、「両者の写りを徹底比較!」とか、今さらそういうことをしたいのではありません。それはもう、発売当初にあちこちでされ尽くしているでしょうし、フォトヨドバシはそういうのが苦手です。

ではいったい何を確かめようと言うのか? それは、こう、何と言いますか、「心持ち」の部分。それぞれのα7Cが、撮り手である自分にどんな変化をもたらすのか。気分をアゲてくれるカメラはどちらなのか。なので、今回は「写り」についてはほとんど言及しないと思います。その点に関してはこちらこちらをご覧ください。それにしても、このレポートがいったいどこへ行き着くのか? 不安と疑念しかありませんが、とりあえず前に進みます。

( Photography & Text : NB )

α7CR, FE 28-60mm F4-5.6, 1/1250, F5.6, ISO 100, Photo by NB

α7C IIとα7CR、果たして撮影中から違いは感じられるのか

「心持ちの違い」だの、「撮り手への影響」だの、ずいぶんカッコいい台詞を並べましたが、なにしろ姿カタチ、重さ、操作系、それらは完全に同一の両者。果たして撮影時から明らかな違いが感じられるのかどうか。まずは両者の差異ポイントをおさらいしてみます(カッコ内は、左:7C II / 右:7CR です)。

  • 画素数(3300万画素/6100万画素) ※いずれも静止画時の有効画素数
  • 光学ローパスフィルター(あり/なし)
  • 測距点数(759点/693点) ※いずれも静止画時最大
  • ISO感度(100〜51200/100〜32000) ※いずれも静止画撮影時の非拡張
  • ピクセルシフトマルチ撮影(なし/あり)

静止画の撮影に関する範囲で言えば、このぐらいでしょうか。言い換えれば、これら以外はすべて同じ。当然EVFも背面液晶も同じですから、使っていて違いを感じる箇所はほぼ無い、ということになります。うーむ。このレポートは成立するんでしょうか。これは企画倒れなんじゃないかと、早くも思い始めます。

α7CR, FE 28-60mm F4-5.6, 1/1000, F5.6, ISO 100, Photo by NB

おっと、もうひとつ大事なスペックの違いを書き忘れていました。

  • 価格(295,900円/429,600円、いずれも2024年7月現在、ヨドバシカメラ税込販売価格)

α7C II, FE 24-105mm F4 G OSS, 1/100, F5, ISO 100, Photo by NB

次にルール。2台を同時に持ち歩き、1時間おきに使うカメラを交換するというルールで2日間、撮影を敢行しました。割と忙しかったです。被写体は特に定めず、場所も行き当たりばったり。とにかく目についたものを撮る感じで。

α7C II, FE 24-105mm F4 G OSS, 1/125, F4, ISO 12800, Photo by NB

使用するレンズは、α7C IIには「FE 24-105mm F4 G OSS」を、α7CRには「FE 28-60mm F4-5.6」をそれぞれ固定。立ち位置がまったく違うこれらのレンズですが、この組み合わせに意図はなく、たまたまです。ここに掲載した作例は両者から5点ずつセレクトして時間軸に沿って並べたものですが、どちらで撮ったものかは各カットの隅にある撮影データでご確認ください。字が小さくてすみません。

α7CR, FE 28-60mm F4-5.6, 1/1000, F4, ISO 100, Photo by NB

確かに違いは感じた。が・・・

で、本題です。α7C IIとα7CRを交互に使ってみて、撮影中に違いを感じたか? 笑わないで聞いてくださいね。私、これをちゃんと感じたのです。α7C IIの方が大きくて重いレンズを組み合わせたにも関わらず、軽快に感じたのです。おそらくみなさんはここで「ほ〜お、それで?(笑)」と呟かれたに違いありません。ちょっと説明を試みてみます。

α7C II, FE 24-105mm F4 G OSS, 1/250, F4, ISO 100, Photo by NB

何がそう感じさせたのか? ボディの重さは、仕様を見ると1gだけα7C IIの方が軽いことになっていますが、もちろんそういうことではありません。あと考えられるのは何でしょう。シャッターを切った後のデータの書き込みスピード? それも多少は違う筈ですが、連写を多用するわけでもないし、その時間を気にした記憶はありません。ではAFのスピードか? それともシャッターの反応速度か? いやいや、そこにも違いはないでしょう。ではなぜ軽快に感じたのか?

α7C II, FE 24-105mm F4 G OSS, 1/25, F16, ISO 100, Photo by NB

それはおそらく、自分のアタマの中に「こっちのボディは3300万画素、こっちのボディは6100万画素」というインプットが予めされていたからだと思います。物理的にはなんら違いは無いにも関わらず、そのインプットがα7C IIの方を軽快に感じさせたのです。

そうです、これはただの錯覚です。

はい。でもこの錯覚って、とても大事だと思うのです。だって、新たに欲しいレンズが出てきた時の「このレンズがあれば、傑作が撮れるに違いない」という例のアレだって、錯覚以外の何物でもないですよね? でもその錯覚が、写真という趣味をさらに面白くし、人生を豊かにしてくれているわけです。今回の錯覚の裏にも、私のα7Cに対する思いがあります。

α7CR, FE 28-60mm F4-5.6, 1/30, F4, ISO 10000, Photo by NB

「ロータス(Lotus)」をご存知でしょうか。英国の老舗スポーツカービルダーのことです。スポーツカーというと、強力なエンジンが唸りを上げて走るイメージですが、ロータスは伝統的に、小型軽量のボディに非力な小排気量エンジンを組み合わせます。その理由は「バランス」。パワーよりもハンドリング性能に重きを置いているのです。なので加速や直線のスピードはぜんぜん大したことありませんが、いざワインディングロードに入ると、そのバランスの良さで、まるでアメンボのようにスイスイとコーナーを駆け抜ける。それがロータス。

α7CR, FE 28-60mm F4-5.6, 1/13, F4, ISO 12800, Photo by NB

4年前に初代α7Cを見た時、「これはカメラのロータスだ!」と思いました。α7Cの強みもまた、バランスの良さから来るハンドリング性能。大き過ぎず、小さ過ぎず。使う上で何ら制限はないけれど、欲張ってもいない。すべてが必要にして十分。そのバランスのとれた、むしろ謙虚とも言えるカッコ良さが、私の考えるα7Cなんです。

「α7Cはロータスであって欲しい」

この思いが、件の錯覚を引き起こした。そう自己分析しています。以上です。


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「意思疎通しながら機械を御する」感覚

とまあ、そういうことなのです。なんだかすみません、お忙しいのに。

α7C IIを発売直後に買いましたが、ここまで申し上げた理由で、α7CRとどちらにするか、実はあまり悩みませんでした。もちろん決して小さくはない価格差(参考までに、2024年7月時点で133,700円)の問題もありますが、私の勝手な「α7Cはこうあって欲しい」と照らし合わせた時に、α7C IIの方がそれに近いところにあったのです。それも圧倒的に。

本文でも繰り返し書きましたが、α7C IIには、この上ないバランスの良さを感じます。違う表現をするならコントローラブル。さながら「意思疎通しながら機械を御(ぎょ)する」感覚が、α7C IIにはあるのです。これは間違いなく名機です。もちろん、6100万画素のα7CRが驚愕の高性能カメラであることに疑いはありません。今回のレポートは、単に「どっちが好み?」というだけの話。上から3枚めのカット(噴水の水が跳ねている様子)はα7CRで撮ったものですが、α7C IIではこうは撮れなかったかもしれませんし、大きく引き伸ばせば、その違いは歴然である筈です。

( 2024.07.03 )

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バランスのとれた、ソニーαの名機。一台持っていて損はありません。色は他にブラックがあります。

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この小型軽量のボディに6100万画素!こうなると、撮れる世界が明らかに変わってきます。色は他にシルバーがあります。

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テレ端が105mmまであると、使い勝手は想像以上に変わります。もちろん写りはGレンズの名に恥じないもの。つまり最強の普段使いズームレンズがこれというわけです。

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お求めやすいズームレンズですが、侮るなかれ。逆に「この価格で、これだけ写るのか!」と驚愕すると思いますよ。

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