PHOTO YODOBASHI
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PENTAX WG-8 / SHOOTING REPORT
2024年6月発売のペンタックスのタフ系コンパクトカメラ「PENTAX WG-8」の実写レビューをお届けします。前モデルのWG-7まではリコーブランドで出ていましたが、WG-8からはペンタックスブランドに。1/2.3型の2000万画素CMOSセンサーやフルサイズ換算28-140mm相当の光学5倍ズームレンズ、水深20mの防水性能(IPX8)、100kgfの耐荷重に加え、高さ2.1mからの落下による耐衝撃性能、-10度の耐寒性能等の主要な光学性能・アウトドア性能はWG-7から引き継いでいますが、調光可能なLEDのリングライトや屋外撮影でも快適な明るさ調整を備えた背面ディスプレイが採用されるなど、使い勝手の向上が図られました。
スマートフォンの普及とカメラ機能の向上に押され、新品で購入可能なコンパクトカメラがGRのような高級機とタフ系に限られる中、アウトドアアクティビティでの使用を目的にしていない方にも本機を手頃な価格帯のコンパクトカメラとして検討されると思います。既にタフ系カメラとしてのレビューは他でも紹介されていますので、以前レビューした「OM SYSTEM Tough TG-7」の実写レビューと同様に、PENTAX WG-8でも写真機としての使い勝手や写真性能について検証したいと思います。
( Photography & Text : Naz )

まず数枚撮って感じたのは、素直な画像が得られるカメラだということ。昨今のスマートフォンではコンピュテーショナルフォトグラフィーと称した様々な画像補完技術が駆使され、本来持っているカメラ性能を上回る結果が得られますが、発展途上な技術でもあるため不自然に見えてしまうこともありました。一方、本機で得られる画像は、従来のカメラと同様の自然な写りが持つ「写真らしさ」を感じられます。抜けのよさと適度なシャープネスもいいですね。

白い波や砂浜など細かく描かれています。コンパクトカメラとして観賞サイズで十分な解像力を持っているように感じます。1/2.3型センサーで20MPもありますから、画素ピッチは極小となり、ダイナミックレンジの広さは大判センサーのカメラに譲りますが、十分な光量が得られる条件ではご覧の通りです。

ズームレンズのため画角による変化はあるものの、水平垂直を意識したフレーミングでも歪曲収差は気になりません。また深い被写界深度によりパンフォーカス的になりますが、手前の窓枠から奥のフェリーまで前後の感覚もよくわかり、立体感のある描写です。

湿度がとても高い日で霞んではいますが、無限遠まできっちり写せます。水面下の海藻まで見えますね。登山や旅の記録として風景を残すのにもよいカメラだと思います。

一番はっとさせられたのはこちらのカット。手に届くような撮影距離ではご覧の通り力強さのあるいい画を描いてくれました。濡れた葉の手触りや空気まで感じ取れそうなほどで、記録としてだけではない表現としての道具にもなり得る実力を感じました。

都会でのスナップ。操作系がアウトドアでの使用に合わせ、手袋をしていても確実な操作が行えるようになっています。シャッターボタンについても一般的なカメラと比べ重めのセッティングとなるため、「指先でそっと」というような感覚では撮れません。ただこれは慣れてしまえばそんなに問題にならないと思います。むしろ確実な操作が求められることもあり、操作ミスが少なくなる印象でした。

非球面レンズを5枚採用した9群11枚構成と、コンパクトカメラとしては複雑で贅沢な構成です。ズーミングをしてもレンズが飛び出さないのは嬉しいですね。トラブルにも強いと思います。

動作も十分な速さがあり、スナップシューティングもしっかりできるカメラでした。

レンズ最前面に樹脂製カバーが備わるため、逆光時にフレアやゴーストが目立ちます。これは撮影の際に画面を通して確認できるので、撮り手の工夫で対処できると思います。
レンズ先端から1cmという近接性能が素晴らしいですね。身近にある小さなものさえ写真表現に使えそうです。調光可能なLEDライトも備えていますから、資料的な撮影でもバッチリです。

ハードに使えるコンパクトカメラ
基本的な性能は前モデルを踏襲し、細部で使い勝手が向上しています。カメラとしての信頼性は抜群に高いですから、常時カバンに裸のまま突っ込んだり、首から提げて歩くようなハードな使い方でも問題なく行けてしまうでしょう。精密な電子機器であるカメラを神経質に扱わなくていいというのは持ち歩く際の緊張感も随分と軽くなります。ひとつ注意点を挙げるとしたら、RAW出力がないということ。JPEGオンリーになりますので、後処理をするというよりは撮影時にある程度追い込んでおく必要があります。とはいえ、ご覧の通り撮って出しで十分な画が得られましたから、このあたりは運用次第で解決できると思います。使っていて嬉しかった点としては、昔使っていたGR Digitalと同じ操作体系のメニューであったことも記しておきます。
( 2025.10.21 )
手頃な価格で、スマートフォンにはない写真機らしい画が得られます。コンデジブームの中、新品で買える貴重な存在です。
専用のシリコンジャケット。アウトドアアクティビティの際には装着しているだけで絶大な安心感が得られます。もちろん落下時にの故障や傷の保護にも期待いただけます!
保護シートの装着もお忘れなく!!
