PHOTO YODOBASHI
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TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 Model A022
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
お待たせしました。ニコン向けのフルサイズ超望遠ズーム「SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 Model A022」の実写レビューをお届けします。通常、望遠ズームといえばテレ側300mm、400mm程度もあれば十分に感じますが、超望遠600mmとなれば、撮れる被写体が変わるだけでなく、見える世界が変わってきます。開放で捉えた画は柔らかいボケと共に(トップに掲載している山羊すらも)天使のようにキラキラ輝いて見えます。まさに肉眼では見えない世界観です。評価の高かった「SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD (Model A011)」が、G2(ジェネレーション2)となってさらに進化しました。ワイド端150mmからテレ端600mmという超望遠ズームレンズとしては1,990gと軽量。高画素化に対応すべく光学性能の向上に、AFの高速化、さらに高画素の大敵でもある手ブレ補正も強化されています。これは眺めているだけでは始まりません。さっそくあらゆるシーンに挑戦してみましたので、作例をご覧ください。
( Photography & Text : T.Takahashi )
陽の射さない薄暗い早朝です。150mmのワイド端、600mmのテレ端でそれぞれ捉えたカットですが、上のカットでシャッタースピード1/100秒、下のカットで1/500秒。いずれも一脚を使用していますが、ファインダーの中は全くブレることがありませんでした。シビアにマニュアルフォーカスでピントを合わせましたが、ブレによってピント合わせを妨げられることはありません。遠景の細かいディテールを表現したいカットでは、ブレないようにすることがいちばん気を遣うポイントですが、強力な手ブレ補正のおかげで見事に捉えることができました。
こちらも1/200秒で開放F6.3での撮影。霞んだ遠景の柔らかい描写ながら、ピント面はしっかりと解像しています。硬すぎることなく、自然な描き方をしてくれるレンズです。
次は動体性能を見ていきましょう。向かってくる被写体は難しいものですが、ピントはしっかりと食いついてくれました。驚くほど速い愛犬ですが、目を輝かせて走ってくる様子がバシッと捉えられています。
急にフレームインする動体なども難しい撮影のひとつです。600mmという超望遠ともなればファインダーの中に被写体を納めるのも一苦労ですが、フレームインした瞬間を見事に捉えることができました。犬の体を覆う毛の一本一本から、砂のはねた様子まで解像力も申し分ありません。
さらに空飛ぶ超音速機にもトライしてみました。F-2の飛行展示はあいにくの空模様でした。フラットな曇り空の中から動きの速い戦闘機を捉えるのは見つけるだけでも至難の業です。航空機マニアともなれば、400mm、500mmという超望遠は当たり前。600mmやさらに800mm、1200mmという巨大レンズを振り回している人も少なくありません。しかしそんな中、当レンズは思いのほか軽量コンパクトで、もちろん空を見上げるショットにおいても気軽に持ち上げることができます。
颯爽と走り去るサイクリストを狙いました。これも一度ピントが合ってしまえば見事に追尾して行きます。またまっすぐの直線道路ですが、600mmによる圧縮効果も強烈で、さらに開放でのボケ味も美しいですね。
とにかく600mmという超望遠ですから、思いっきり寄りたくなるところですが、ワイド端150mmを使って、やや引いた遠景を撮ることで表現の幅も広がります。絞り込んだときの解像力はまた見事で、葉っぱ一枚一枚まで表現されていますが、シャープ過ぎず、心地よい写りです。
最短撮影距離は2.2mmと望遠性能を生かしながらぐっと被写体に寄って、マクロ表現をするのも面白いですね。もちろん手持ちでの機動力を生かして、街撮りも楽しめます。
高画素機に対応したタムロン超望遠の意欲作
気軽に持ち歩くと言うには大柄ですが、150-600mmという焦点距離域を考えれば十分にコンパクトです。デザインもジェネレーション2ではとてもスマートな印象を受けます。新シリーズでタムロンのトレードマークともなっているゴールドのリングが全体のルックスを引き立たせています。使い勝手においても細かく練られているなと感じました。AF撮影時においてもピントリングを回すことでフルタイムマニュアル撮影ができます。フォーカススイッチなどでマニュアルに切り替えることなく瞬時にピントの微調整が可能で、ストレスなくピント調整できるのはとても快適でした。また、フレックスズームロック機構が大変使いやすく、焦点距離を固定しておきたいときに重宝しました。また自重によって鏡胴が動いてしまうのを防いでくれます。操作において、それぞれのトルク感やクリック感なども非常に気持ちよく、作りの良さを感じさせてくれるところも魅力です。風景にスポーツにと、さまざまなシーンで活躍してくれそうな超望遠ズームレンズ最有力候補の登場。タムロン渾身の一本ではないでしょうか。ぜひ、この一本で超望遠の世界へ飛び込んでみてください。
( 2016.10.14 )
タムロンの人気レンズ、150-600mmがモデルチェンジしました。開放からシャープな像を結び、加えて柔らかさもしっかりと共存する、実によいレンズに仕上がっている印象です。超望遠ズームレンズのベストバイです。
マルミのハイエンドプロテクトフィルター。帯電防止、撥水、防汚などデジタル時代のレンズに最適なコーティングを施し、平面度や強度も高めています。よいレンズを買ったらよいフィルターを、鉄則です。