PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA APO 300-800mm F5.6 EX DG HSM
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
実際にレンズと対面すると、かなりの大きさとその重さに驚きます。当たり前の話ですが、遠くを引き寄せる必要に迫られた人達のためのレンズ。いずれにしても、300-800mmのレンジをカバーするレンズは唯一無二であり、必要な人にとってはありがたい存在でしょう。さすがにISO100あたりで条件の悪いときの手持ち撮影は腕力と技量を求められますが、感度を上げて撮影できるのであれば思いのほか画は止まります。絞り開放でも十分なシャープさを持つため、F5.6ほどの明るさであればある程度のシャッター速度が稼げるからです。ところで、300mmを注視とするならば800mmは点で見る「凝視」でしょうか。テレ端までズーミングの最中、ファインダーを覗いているだけでも楽しくなる超望遠。特に、どっしりと構えて撮る被写体、たとえば風景や天体など、このあたりで重宝しそうです。
( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )
独特の油臭が届いてきそうな距離感。テレ側でも絞り開放からこのシャープさです。水蒸気に霞む車輪、錆で覆われたレール。蒸気口から噴き出した細かい水滴もしっかり写し止めています。
ズームレンジの中間あたりの焦点距離にて。煙突の白煙が景色一面をうっすらと覆ってしまったかのように見える朝霧の中。追い打ちをかけるように露出をアンダーにシフトし、重苦しい雰囲気を付与してみました。霞越しから微かに浮かんでくる色合いもしっかりと表現されており、趣があります。
ハイライトの髪の毛やウエットスーツの質感、ボードからしたたり落ちる水滴までつぶさに捉えています。焦点距離800mmにしてこの描写。これぞとは思った被写体を引き寄せてみると、なにか新たな発見がありそうですよね。
気合の入るずっしりとしたレンズですが、引き寄せる楽しさも超ド級。全ズーム域で申し分のない撮像が得られる本気の1本、たまりません。
その姿はまさにバズーカ。撮影ポイントが限られる場所でも、これほどの自在な画角があれば撮れないものはないでしょう。張り切ってどうぞ。
テレコンで更なる画角を手にするも良し。600-1600mmとは、いかなる世界が見えるのでしょうか。