PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Nikon AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
35のイチヨンは、MFレンズにラインナップされていましたが、AF版は長らくF2止まりでした。その沈黙を破るかのように満を持して2010年にリニューアルされたニコンユーザ待望の1本。非常に明るいレンズということで、屋内はもとより夜間での撮影に重宝します。その際、高輝度なものがはいってしまうこともしばしばですが、ナノクリスタルコートの恩恵を実感することができます。また低照度下での撮影以外にも、被写体の周りまでを輪郭を落として写し込める35mm F1.4は、スナップで使ってみるときっと楽しいのではないでしょうか。印象的なのは、鉄板に油を垂らしたような潤んだボケ味。これはなかなか美しいものです。描写は絞り込むと凄みのあるシャープさを見せてくれますので、対価に見合う魅力をしっかり備えたレンズなのであります。
( Photography : K & S.Zets / Text : KIMURAX )
ボトルの映り込みによる艶感、肩口にうっすらとかぶった埃。シャープに捉えたピントピークから前後へとなだらかにつらなるボケ味は、実に自然な雰囲気を添えています。
さすがに絞り開放からキレキレの描写とはいきませんが、このシャープさはなかなかのもの。被写体それぞれの質感がしっかりと伝わってきます。上品なボケ味のさりげなさが絶妙ではないでしょうか。
昼下がりからすっかり太陽が隠れてしまいましたが、明るいレンズにはまだ絞る余裕があります。APS-C機での画角は52mm程度。画角周辺寄りで捉えた神輿に施された細工も鮮明に描き切っているのがわかります。
半段ほどしか絞っていませんが、いかがですかこの解像。力が入り隆々とした右腕、油で艶めく焼き機と、ピントピークで捉えた鮮明な立体感には目を見張ります。色乗りのよさも好影響をもたらしているのかもしれませんね。
これで撮りたいと思わせるレンズがあります。ニコン渾身の35mm。どうぞお試しください。
よいレンズこそ、余計な影響を与えないよいフィルターを。