PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 30mm F1.4 DC HSM | Art
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
APS-Cフォーマットの一眼レフ用のレンズとしては、Artライン第一弾の大口径標準レンズとなる本レンズ。35mm判換算では標準域の単焦点レンズとなり、ボケを楽しみたい方の最初の1本としては有力な選択肢になるでしょう。光学性能と表現力を追求した同ラインだけに否が応でも期待が高まりますが、浅い被写界深度により主題を浮かび上がらせるといった、大口径レンズならではの表現を存分に味わえるレンズに仕上がっています。APS-Cサイズのボディと本レンズなら、大変コンパクトで表現力にあふれた撮影パッケージになるはずです。
( Photography : M.Ito / Text : Taka )
まずは、開放でぐっと寄った1枚を。開放F値の明るさもあって、大きなボケを楽しむことができるレンズです。ピントの合った部分は質感豊かに描写し、錆や表面のざらざらした手触りが伝わってくるようですね。ボケもなかなかにスムースであると思います。
開放で少し引いてみます。この距離でも大胆なボケで遊べますね。少しややこしい背景ですが、決してうるさくないボケ具合だと思います。ボケについては背景となる被写体や距離感、光の具合等によってクセの出方も変わりますので、お好みの条件を探っていくのがレンズを手にしてからのお楽しみ。曇天下での撮影ですが、色乗りもしっかりしていますね。
このあたりの距離感で被写体を浮かび上がらせるように表現できるのは、大口径レンズの魅力です。開放から切れ味よく、積極的に開いて使うことができます。せっかく明るいレンズですから、できるだけ開いて。おおいに楽しみましょう。
開放から十分に使えますが、少し絞るとより端正な描写が得られます。こういった被写体はキリリとシャープに描きたいもの。ハイライトからシャドーまでの階調も良好で、その場の雰囲気を思ったように持ち帰ることができました。
F8ともなれば隅々までシャープです。強烈な反射光にもかかわらずゴーストやハレーションもしっかり抑えられ、安心してシャッターを切ることができます。この切れ味を武器に、都会のシーンをドライに切り取っていく。そんなスナップはいかがでしょうか。
歩き疲れたら少し休憩を。ボディを含めてコンパクトに収まりますから、撮り歩いても負担がないのはうれしいところです。テーブルの上をさっと写しとるような使いかたにもぴったりで、あらゆるシーンで違和感のない存在となってくれることでしょう。様々なものに目を向けて、日常を綺麗に残してみてください。
APS-C専用レンズとしては随一のスペックを誇る大口径標準単焦点。コンパクトなパッケージでこの世界が得られるというのは、フルサイズとは違った魅力があります。ズームレンズで一眼レフの世界に入った方々に、絞りによる描写の違いや被写体との距離感といった基本的なことを教えてくれるのは、きっとこんなレンズでしょう。明るいレンズをお求めの方にはもちろんのこと、写真を撮り始めたばかりの方へ。
レンズを替えれば世界が変わるということを、ぜひ実感してください。
APS-Cボディ用としては唯一のスペック。それだけでも、手に入れる価値はありますよね。じっくり使い込んでいく価値のある一本ですよ。
うっとりするほどの前玉。しっかり護ってあげてください。