PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
35mm判換算で27mm-300mm相当の画角という、一昔前までは画質に関してある程度目をつぶらざるをえなかった高倍率ズーム。シグマは比較的早い時期からこのジャンルのレンズに力を入れていますが、レンズをリニューアルするたびに新しい技術を惜しみなく導入し、その地位を次第に高いポジションへと押し上げてきています。本レンズも、新しい「Contemporaryライン」のレンズとして、これまで以上に磨きをかけてきた印象で、より高い光学性能と驚くほどのコンパクトさを追求しており、新しい標準ズームとして、レンズセレクトの考え方を大きく転換してくれる可能性を秘めたレンズに仕上がりました。実際の作例で確認していただくのが一番ですね。いつもより少し多めの写真を並べていますのでじっくりとご覧ください。
( Photography & Text : T.Nakanishi )
まずはワイド端から。開放絞りでの撮影なのでさすがに周辺光量不足は否めませんが、これくらい落ちてくれた方が筆者的には味があって好みです。比較的フラットな光線状態にもかかわらずトーンをしっかりと描き分けており、重厚感さえ感じる画を紡いでくれました。
撮影中、突然の吹雪に見舞われました。ここまで降られると外での撮影は困難です。そこで、車の窓を少し明け、ズームアップ。こんなシーンでは高倍率ズームが本当に有り難い存在です。レンズ交換の煩わしさも無く、スッとズーム出来るわけですから。
300mm相当まで届くので、離れた被写体もお手の物。フォーカス精度も良く、ピントを外すことは極めて少ない印象です。
この作例ではワイド端を使い少し絞っていますが、これくらい絞ると、周辺光量落ちは解消されてきます。色乗りも良く、大変気持ちのよい画を見せてくれますね。
手ブレ補正機構はもちろん搭載していますから、室内でも安心。お隣のテーブルに置かれていたメニューの質感が気になってテレ端で引っ張ってみましたが、ブレなんてどこへやら。シャープに描きたい部分をきっちりと捉えてくれました。
テーブルに運ばれてきたハンバーグのジューシー感を写したくてぐっと近づいてみました。ナイフを入れた時に肉汁が溢れ出し、、、そんなことを想像させる見事な写りです。最短撮影距離39cmまで寄れますから、テーブルフォトにも最適です。
夕日に向かって走る学生さん。青春ですね。あの頃自分は何をしていたのかなあと懐かしさを感じながら撮影しました。ほぼ真逆光のシチュエーションですが、コントラストの低下もなく、キレ味がスポイルされることもありません。見事な逆光性能です。
太陽をダイレクトに入れてもノープロブレム。ゴーストやフレアも確認出来ません。なにより夕日に輝くビニールの質感描写に唸ってしまうのは筆者だけでしょうか。
黄昏時は実にフォトジェニックです。整然と並べられたレンタカー群なのですが、残照が屋根を照らすことで何やらアートに見えてしまうから不思議です。こんな僅かな光や色にもしっかりと対応してくれる、頼もしいレンズです。
さて、いかがだったでしょうか。広角から望遠はもちろんのこと、マクロまで。しかも、あらゆるシーンでその描写は秀逸です。これを良いレンズと表現せずになんと言うのでしょう。「新しい標準レンズ」とはシグマ社のアナウンスですが、このレンズの特徴をよく表していると思います。もちろん、周辺落ちや歪曲など多少気になる部分はあるものの、それらはどのレンズも抱えている問題であり、このズーム域を有するレンズでよくぞここまでの写りを実現しているなあ、というのが正直な感想です。かつての高倍率ズームの写りを一気に忘れさせてくれる、新しい時代の新しいスタンダードレンズ。こんなレンズを選ぶのが幸せな選択です。
最初の1本にしたら他のレンズを買えなくなりそうですね(笑)。機材をコンパクトにしたい時にも頼れる1本です。
デジタル対応の純正品。レンズとの相性もバッチリですね。